熊本・Jazz Inn おくらさんで行われた「池田芳夫 with 園田智子」と題されたベースとピアノのDUO。
先日の小島のり子さん(fl)のライブでとても素敵なピアノを聴かせていただいた園田さんをもっと聴きたい!と思っていた時に教えていただいたライブがこれ。よりによって、何とベースとのDUO!しかも、お相手の池田さんは~若々しくてとても76歳には見えませんでしたが~重鎮と称されるベーシストの一人。すごく楽しみにして行ってきました。
1stセットは、J・J・ジョンソンのラメントから始まり、クルト・ヴァイルの三文芝居からの美しい曲やムードたっぷりなマイ・オールド・フレイム等をはさんで、最後は力感のこもったオーネット・コールマンのターン・アラウンド。唐突なフィニッシュで池田さんが見せたいたずらっ子みたいな笑顔がとても印象的でした。
熟練のベーシストとピアニストが築き上げる二人の世界。特にこの編成だからこその、通常の編成では使いにくいpppや軽くフワッとした音を多用され、響きを大切にされる音楽作りがとても心地良く、カッコ良く、もうイャ~!乱発。心の中で、ですが。。。笑
そして、昔、ヨシモトで白木みのると仕事をしたこともあるとおっしゃる池田さんは茶目っ気もたっぷり。2ndセットの最初、池田さんがソロで演奏された「黒いオルフェ」。。。その濃厚な世界、激しい中の反則的なやわらかいpppには思わずゾクッとさせられたりしたのですが、最後の最後、ビアノを叩いた一音には思わず苦笑。でも、この演奏が聴けて良かったです。
その後は二人の演奏に戻って、ジョー・スタッフォードのハウンテッド・ヒート。その多彩なタッチで魅せた園田さんが「普段演奏しないんだけど、池田さんとだから」とおっしゃって次に続けられたのが、レニー・トリスターノのレニーズ・ペニーズとキース・ジャレットのケルン・コンサートから。信頼感たっぷりのベースの上で表情いっぱい自在に鮮やかに舞うピアノ。とても面白く、楽しめました。
最後のチャーリー・ヘーデンのエレン・デーヴィッドはこの日の白眉。厚みのあるシブいベースに美しく可憐に呼応するピアノ、渋くダンディーな男と美しい女の大人の会話。。。胸に沁みる映画のワン・シーンのようで、実にシビれました。
そして、明るく洒脱なアンコールでフィニッシュ。
背筋をピンと伸ばしたピアニストとベースと踊るベーシスト。力強さからやわらかくフワッとした音まで自由自在に操るピアニストと腹にズシッと響く音からやわらかく繊細な音(注)まで唸りながら搾り出すベーシスト。
二人共、多彩な音色と多くの引き出しの一部をチラッと見せられただけだとは思いますが、十二分にその世界に魅せられ、いいものを聴いた!という満足感で充たされたライブでした。
(注)池田さんのベースは「40分もやったら、チューニングが狂っちゃう」とおっしゃるナイロン弦、だからでしょうか?実に温かくやわらかい気持ちのいい響きで、CDを2枚、即購入。ちなみにここでの池田さんはツー・ホーンのピアノレス・カルテットのリーダー。とても聴き応えのあるアルバムで、池田さんのまた違う側面を楽しませていただきました。
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