今回のコンサートは何とチャイコフスキーの交響曲4,5,6番の3曲を一夜でやってしまうという日本初の試み。。。18時30分開演、休憩を2回挟んで21時半過ぎ終演の長丁場!
当然演奏者は大変ですが、オペラより集中力を強いられる交響曲を連続で聴かされるとなると聴く側も大変で、頑張って聴いてきました。苦笑
このかなり無謀な演奏に挑んだ(挑まされた?苦笑)のは、ワレリー・ポリャンスキー指揮のロシア国立交響楽団(正式名称:ロシア国立シンフォニー・カペラ)。
ちなみに、ポリャンスキーは普通のクラシック愛好家にとっては無名の指揮者ですが、私の大好きな現代作曲家シュニトケのファンにはCDでお馴染みの指揮者。中でも私の愛聴盤の一枚となっている「混声合唱のための協奏曲」は、精緻な響きが何とも美しい名演、ということもあって、今回のコンサートのチラシに書かれた「爆演系指揮者」というキャッチコピーには「またテキトーな」と呆れていました。笑
さてさて、前置きが長くなりました。肝心の演奏会の感想ですが、3曲共、ある一定以上のレベルを保った素晴らしい演奏でした。初めてナマで聴くポリャンスキーの指揮も良かったですし、何より、ロシア人の体力と集中力、恐るべし、でした。
最初の4番はその気になれば、軽めに快速に飛ばして終わらせることも出来る曲なので、そうするのかと思っていました。ところが、第1楽章の出だしから通常以上に重々しいテンポと歌い回しに驚かされ、この曲の目玉である第3楽章のピチカートもきっちり歌い切り、全編至る所で登場する荒々しく盛り上げるべき所を期待どおりに爆発させた辺りに彼らの「どや?!」というプライドを感じた熱演で、1曲目からブラヴォー!でした。
続く5番はさすがにテンポを早めたのでしょうか?その結果、オーソドックスなテンポで全編進み(こうなると音色、細かいニュアンス等々、オケの地力勝負になるため、私は全く酔えませんでしたが(苦笑) 。 堂々たるフィナーレの後は、4番にも増してブラヴォーが飛んでいました。
最後の6番「悲愴」はまたテンポを落としじっくり歌う演奏で、途中の爆発ぶりとの対比もあり、聴き応え十分。。。そして美しくも悲しい歌を歌い上げた最後に訪れる静寂の中、命の火が消えるかの如きベースの消え行く音の何とも切なかったこと。実に感動的な演奏でした。。。
惜しむらくはせめてあと10秒、いや、5秒。。。拍手を待ってほしかった。平均年齢恐らく50歳台で9割程度埋まった客席の誰か一人。たった一人。仕方ないけど、心から残念。。。苦笑
最後に、同じロシアのオケとは言うものの、先に聴いたフェドセーエフのチャイコフスキー・シンフォニー交響楽団とは音色、音量始め、色々な違いがあって、興味深かったです。
あと、ポリャンスキーの指揮が合唱指揮者らしく(?)、もっともっと歌え!とばかり、腕を回すことが多かったのも印象的でした。
尚、このコンサートの後、とてもカッコいいジャズ・ドラマーで、また近日聴きに行くのを楽しみにしていたヤス岡山さんの訃報を知りました。悲しい気分に襲われると共に、悲愴の最後のベースの消え行く音が鮮やかに蘇りました。
ご冥福を心からお祈りいたします。
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