今年の福岡クラシック界は大盛況、そのトップバッターがこのコンサート。
たくさんのCD、特にベートーヴェンの交響曲全集のその軽やかな解釈と演奏で一躍人気の出たこのコンビの演奏会。。。ヴァイオリンのギドン・クレーメルに惹かれて行ったのですが、実に素晴らしかった!
まずは、そのギドン・クレーメル!
モーツァルトの協奏曲も素敵だったのですが、アンコールが白眉。シルヴェストリ作曲のセレナーデという初めて聴く曲だったのですが、まさに名人芸!
昨年末に聴いたクリスチャン・ツィメルマンはホールの奥へ飛んでいく弾いた和音の塊にすべての聴衆の耳を惹きつけるという名人芸を見せてくれたのですが、それに対し、このギドン・クレーメル。。。曲の最後、デクレッシェンドで音の消える瞬間に向け、すべての聴衆の耳を自身のヴァイオリンに惹きつけるというこれまたすごい名人芸で、心から打ち震えるような感動を味あわせてもらいました。
そして、この日の主役はまったくの想定外でしたが、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団という本当に素晴らしく訓練されたオケでした。。。これはジンマンの功績なのでしょうが、R.シュトラウスのティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらからブラームスの交響曲第4番まで機動性豊かで、輝かしく、温かく美しい響き。。。そして何より、fffで切った時の音の処理の実に実に見事なこと!ホールに立ち昇り消えていく音があんなに美しいオケは初めてでした。。。
このコンサートで唯一の不満は、ブラームスの交響曲において、ジンマンの曲の解釈があまりにも淡白すぎて趣味に合わなかったこと。苦笑
でも、それを補ってあまりある素晴らしいオーケストラに満足しきったという不思議な演奏会。。。彼らの来日記念CD全集を思わず大人買いしてしまったぐらいなので、その惚れっぷりも本物です。
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