福岡 遠賀川にあるJazz Cafe ドラム館さん。ほぼ毎日ライブをされておられるこのお店は、北九州圏内の福岡寄り、福岡から車で約1時間10分。会社が終わってから、車を飛ばして行ってきました。
と言うのも、この日は福岡を拠点にしながらも東京でもご活躍されておられるギターの田口悌治(テイジ)さんがご出演される日。ただ、他の共演者3人~宮崎華子(Sax)、赤松貴文(B)、綱川康太郎(Dr)~は福岡でプロとしての道を歩み始めたばかりの若いメンバー。今までこんなメンバーでの演奏を聴いたことがなかっただけに始まる前から興味津々でした。
結果、若手プレーヤーの皆さんは田口さんというビッグ・ネームに気後れすることなく、持てる実力を存分に、時には越えて、発揮されておられたのではないでしょうか?終わった後の満足そうな笑顔がとても素敵でした。
それにしても田口さんのギター、久しぶりに生で聴させていただきましたが、さすが!の一言。圧倒的な切れ味鋭い正確なプレーで格の違いをきっちり魅せつける一方、若手に華を持たせながらも演奏全体のレベル引き上げに腐心されておられ。。。ということで、今回一番印象に残ったのは、ギターという楽器のスゴさ、でした。
ギターのリード楽器としての能力の高さはもちろん知っていましたが、伴奏に回った時の多彩な技の数々、変幻自在な音の厚みづけ、そして全体の音楽を引っ張る強さまで合わせ持っていることを目の当たりにし、今更ながらつくづく感心してしまいました。
これは、途中でMCを振られた田口さんがご紹介された新譜P's Dream。
購入して早速聴かせていただきましたが、田口さんが東京でよくライブされておられる池袋のP’s Barというお店が企画されたもので、10曲中9曲がDUO。ベース、ギター、ヴァイオリンがそれぞれ3曲ずつとなっており、曲調の違いに加えて編成の違いも交互に楽しめるという面白い試み。
また、ギター2本とサックスという編成のzephyr(ゼファー)で一緒に活動されておられたサックスの井上淑彦さんの追悼アルバムという位置づけでもあり、同名のアルバムzephyrに収録されていた井上さんの曲をサックスのない編成で演奏されておられたのは興味深かったです。そして、このアルバムの最後の曲だけはギターソロで、井上さんに捧げるバラード。心に染みるような印象深い音で締めくくられています。
10曲中5曲がご自身の曲でその他も自家薬籠中の曲、ということもあるのかもしれませんが、ギタートリオの前々作 Moment’s Noticeの持つカッチリした重厚感のある演奏とは編成の違い以上に違った雰囲気で、いずれの曲も全く気負いもなく、かと言って緊張感に欠ける訳でもなく、自由な雰囲気の中にも調和の取れたアンサンブルが美しくも楽しい、今の田口ワールド全開といった感じでしょうか?とても聴き応えのある気持ちの良いアルバムでした。
それにしても、これまでライブをやっているお店ではマスターにサインをしていただいたり、お話を伺ったり出来なかったのですが、今回のライブでは前後半の休憩時間にサインをしていただいた上、ほんの少しだけですがお話を伺うことも出来て、幸運でした。
この遠賀川でお店を始めるに当たって、ジャズを聴くようなお客さんはそんなにいないと言われたし、やっぱりいないけど、結局どこでも同じ。それどころかお店の前にあるアート・ブレイキーの大きな看板、夜に見ると怖いから外してくれと時々言われるけど、これだけは絶対に外さない!というお話には笑ってしまいました。。。実際、迫力があって我々から見たらカッコいいのですが、全く知らない人から見たら?確かにそうかもしれません。
今回のライブは若手に対する親心というか、後進育成をお考えになって組まれたのですか?という私の質問に対しては「いや、そんなことじゃない。単に若い子達のいい経験にしてもらえば」と口を濁されましたが、特にサックスの宮崎華子さんの堂々としたプレーぶりを見守るマスターが、我が子の晴れ姿を見ているお父さんのようで微笑ましいものがありました。笑
若手プレーヤーの皆さんが、今回の経験をバネにますますご活躍されることを祈念いたしております!
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