広上淳一 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 @アクロス福岡 (金子三勇士 リスト ピアノ協奏曲、シェエラード 他) 17/02

昨年に引き続き、日本フィルハーモニー交響楽団の九州公演の演奏会に今年も行ってきました。

指揮者は、私にとっては昨年の九響演奏会以来の広上淳一さん。。。後援会の方が頑張ったお陰か、ほぼ9割方埋まったホール。さて今回はどんな演奏を聴かせていただけるのか。。。

まずはモーツァルトの交響曲第32番。やわらかい音等を要求する指揮者とそれに楽々と応えるオケ。やっぱり日フィル、上手い!広上さん流の過剰な表情づけやオーバーアクションがほとんど見ることが出来ず残念でしたが(笑)、特に変な味付けもなく、厚みのある美音で粛々と進み、フィナーレ。この後に期待が高まる演奏でした。

そして!次はリストのピアノ協奏曲第1番。ピアニストは今回の目玉、金子三勇士(みゅうじ)さん!

金子さんはTV「題名のない音楽会」にもたまに出演される若手演奏家の一人ですが、初めて聴いた時のドビュッシーの柔らかいタッチに耳を奪われて以来、一度実演に接してみたいと思っていたピアニストでしたが。。。いや、本当に素晴らしい演奏でした!

リストのピアノ協奏曲第1番はリストらしい派手さと優美さが混在した聴き映えのする曲ですが、力強い強靭なタッチから持ち味と思われるふわっとしたタッチまで駆使して自分の音楽を堂々と奏で続ける金子さん。そして、その金子さんの世界を男性的な響きの中にいやらしいまでの弱音を織り交ぜ、引き立てる広上さんとオケ。。。特に第2楽章開始部のオケからピアノへのとても柔らかい歌の受け渡しは鳥肌が立つほど素敵でした。

ピアニストのアンコールは同じくリストの有名曲「愛の夢」。溶けんばかりの優美なタッチ全開で実に見事!

鳴った後の残響を聴かせる、”間”を聴かせる。。。楽譜上の単なる休符を表現としてこのように体現出来る演奏家はなかなかいないように思っているのですが、ピアノ協奏曲といい、この曲といい、金子さんは若いにもかかわらず、それが出来るピアニストのように思え、とても感動しました。今後も注目していきたいと思います。

そしていよいよ最終ステージ、リムスキー・コルサコフのシェエラザード。。。この曲は以前、グスタヴォ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルの演奏を同じホールで聴いたことがあるのですが、思う存分ねっとり歌ってほしいという個人的な好みと合わないのは仕方ないにしても、あまりにも解釈の方向性の見えない演奏にガッカリしたことがあったため、ちょっと鬼門のような怖さがあったのですが。。。

結果は私の好みとはやはり違ったものの、新たな一面を聴かせてもらえて、とても楽しい演奏でした。曰く、今回、広上さんが両手をいっぱいに広げる、ジャンプする、ハープをかき鳴らすマネ(?)等のオーバーアクションの指揮で引き出したのは、これはR・シュトラウスかと思うくらいオケの楽器としての魅力満載、とてもクッキリした輪郭で男性的なシェエラザード。この曲の盛り上がる部分はこんなにも鳴らせることが出来るんだと感心し、その引いては返すように盛り上がっていくオケの音響、壮大な建築物のような音楽に遂には感動している自分がいて、これはこれでビックリ。こんな曲を聴きに来たつもりではなかったのに。。。笑

それにしても鳴りにくいこのホールをコントラバスが7本のオケでこんなに鳴らせるのはすごいことです。。。もちろん、オケの力量の高さがあってこそ、とは言うものの、広上さんのオケのドライブ能力の高さにはほとほと感心しました。

また前回の九響の時も感じたのですが、広上さんが生み出す場面転換の鮮やかさ。一気に変わるホールの空気の色。。。うまく表現出来ないのですが、燃え盛っていて暖色を帯びていた空気が一瞬にしてキリっとした寒色に変わってしまう、みたいな。。。ともかく、広上さんでしか聴けない音楽があることは事実です。

またオケはその演奏も十分立派でしたが、その魅せ方もプロ。盛り上げて終わる楽章の最後は弦パートが全員弓を高々と上げて終わる等、見栄の張り方に意識の高さを感じました。

今回は終演後、CDを購入したら指揮者とピアニストがサインするというサービスがあったのですが、何の迷いもなく購入し、サインをしてもらうために並んでいる自分がそこにいたのは言うまでもありません。笑

また、今回のコンサートはやはり感動した方が多かったようで、サイン待ちで並んでいると後ろで「ごめんなさい!CDが売り切れました~」とちょっと残念そうな販売担当さんの声。。。その後、「カレンダー、まだ使えるカレンダーは販売しております!」という商魂たくましい声が響いた時には笑わせてもらいました。。。

ちなみに私は、いい演奏会の後にこういうサービスがあるとほぼ並んでしまいます。公演の関係者への支援になる上、演奏者と少しおしゃべり出来るので、というもっともらしい理由で。。。単なるサイン好きであることも、もちろん否定しませんが。苦笑

それにしても、金子さんは折り目正しい好青年でますます好感を持ちましたが、驚いたのは広上さんのサインのお客さんに開口一番「楽しんでいただけましたか?」等と話しかける明るさと、何より背の低さ!ステージで見ている限り、これほどまで背が低いとは思っていなかったので、あの指揮のオーバーアクションの原点がわかったような気になりました。

また機会を作って、聴きに行きたいお二人です。今後ますますのご活躍を祈念いたしております。どうもありがとうございました。


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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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