早いもので、もう4回目になる延原武春さん指揮フィルハーモニア福岡の定期演奏会。そして今回のメインは延原さんが大好きだと言うメンデルスゾーンの中でもマイナーな交響曲第5番「宗教改革」。。。前回、この曲ではお客さんが集まらないだろうと思った演目でしたが、さて結果はいかに?笑
ということで今回は少し捻って、後半のメンデルスゾーンから。以前このコンビで聴かせてもらった交響曲第3番「スコットランド」でのキーワードは「解釈」。よくあるロマンチックな重厚長大なものではなく、モーツァルトに寄った軽やかな演奏にこの曲の新たな面を教えてもらったといういい思い出がありますが、今回のキーワードは「初稿」。
ですが、初稿のことはまずは置いておいて、その演奏ぶりから。。。笑
まずは「真夏の夜の夢序曲」ですが、出だしの木管と弦楽器の掛け合いからこの曲初めての生演奏に興奮。そして盛り上がっては歌い、歌っては決めるべきところはしっかり決めるあたり、さすが延原さんとこのオケ!いかにも「これから何かが起きるぞ」的な劇付随音楽の序曲を期待感たっぷり、メリハリの利いた素敵な演奏で堪能させてもらいました。
次に恒例の延原さんのマイク解説でしたが、メンデルスゾーンのイメージ?金持ちの息子、神童、天才、成功者、幸せな人、それだけに深みのない音楽e.t.c.と思われがちだが、実は不幸な人だったと。。。曰く、プロテスタントに改宗したにもかかわらず、ユダヤ人としての差別に苦しんだ人。次の「宗教改革」もルーテル教会300周年のために書いたにもかかわらず採用されない憂き目にあった曲とのこと。でも、ベルリンの壁崩壊以降、急激な見直しの進むメンデルスゾーンに乞うご期待!等々、この曲で使われている宗教的モチーフの演奏も少し入れつつ、説明が終わり、演奏へ。
今回は「スコットランド」の時の反省を踏まえて色んな演奏を聴いてちゃんと予習してきたので、準備は万端!さて、今回の延原さんの解釈は如何に?と気合いを入れて臨んだのですが、これがかなりオーソドックスな解釈で少し拍子抜け。でも、これまでどおり延原さんの指揮に食いつくオケは、荘厳な第1楽章出だしを緊張感を持って見事に乗り切り、第2楽章では楽しい雰囲気を醸し出し、一転、第3~4楽章では印象的なフルートのコラールを始め、宗教的な静けさ、重厚な盛り上がりで見せ場を作る等、楽章毎、場面毎の色合いの違いを打ち出すことに成功した好演で、私的には素直に満足したのですが。。。いかんせん曲がマイナー過ぎる、かつ、荘厳な感じでそれほど盛り上がらないだけに終演後の客席の盛り上がりに欠けたのは仕方がなかったかと。。。苦笑
いずれにせよ、このメンデルスゾーンのお蔭で、前日に東京で聴いた超有名指揮者・交響楽団の演奏会で覚えた不満、指揮者がどのくらいオケをドライブしたいと思っているのか?指揮者のやりたいことをオケがどれぐらい必死に体現しようとしているか?が解消出来て、スッキリしました。
ちなみに初稿ですが、「真夏の夜の夢序曲」「宗教改革」共に最終稿では削られた部分があったそうで、確かに今回の演奏では通常聴くこれらの曲にはない部分がありましたが、改訂で削ったのは正解?と思ったのが正直なところでした。笑
そして、最後に最初の曲に戻りますが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番皇帝。。。残念ながら、個人的にこの曲があまり好きではないことが全てでしょうか。ピアニスト、オケ共に熱演だったと思いますし、この曲にも素敵なところもあるんだなと思った場面もあったのですが、如何せん1階中央の席からでは延原さんの指揮が全く見えず、この派手な割に単調なメロディーの反復の多い曲をどう表現しようとされて、オケがどう反応したのか出来なかったのか、2階から聴けば良かったなぁ。。。と思いながら拍手していました。
ただ今回のコンサート、実は私の予想に反してかなり多くの人で客席が埋まっていました。これは一重にピアニストの集客力(教え子とその親御さん?)に負うところが大きかったようで、心から感心してしまいました。笑
さて次回18年2月12日(月・祝) は、何とベートーヴェンの交響曲第4番と第7番。。。あのカルロス・クライバーの東京公演等でもお馴染みの実力派王道プログラム。無茶苦茶、楽しみにしています!
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