今回ようやく、佐賀市内にあるジャズ喫茶+BARシネマテークさんをまともに訪問することが出来ました!
私のようなオーディオ・マニアにとってシネマテークさんは、九州ジャズロード掲載店の中でも特に気になる存在です。が、これまで不思議なぐらいタイミングが合わず、うまく訪問出来ないままズルズルと月日が過ぎ去っていました。
毎年1月は暖かさを求めて九州ツアーをしているけど、今年は鹿児島で雪に降られたりして寒いので、来年はインドネシア辺りに行きたい等、金澤さんの軽く場を温めるMCから始まった1stステージは、ベースとピアノの二重奏。選曲も派手さを全く排除し、単色の濃淡で内面の盛り上がりをも描いてしまう墨絵のようで、通好み、いぶし銀の音楽。
また演奏中、掛け声をかけるお客さんが二人ほどいらっしゃったのですが、最近なかなか聞けなくなった絶妙なタイミング、いい声で、こういうお客さんがいらっしゃると盛り上がるのがライブというもの。
そしていい雰囲気のまま始まった2ndステージは、一転して、バラエティに富んだ編成の妙味が存分に味わえる色彩豊かなステージ。
まずドラムの杉谷信政さんが加わり、二重奏がピアノ・トリオに。。。ドラムが入るだけでその色合いが鮮やかに変わって、びっくり。古い例えで恐縮ですが、イメージは単色から一気に総天然色に!
ちなみにこの杉谷さんは、金澤さんにジャズの楽しみを教えた上、業界にまで引き込み、昔は一緒に仕事までされた仲だそうです。今は他にご職業をお持ちとのことですが、その演奏はさすがで、ベースとの気心のあった演奏ぶりはまさに「ジャズは対話」。
また選曲ももちろんあるのですが、ベースとドラムが正統的なリズム・セクションとしてしっかり支えると何と音楽が落ち着いて聴こえることか。驚かされると同時にピアノ・トリオという編成がジャズにとって基本であることを改めて理解することが出来ました。
次にアルト・サックスの須古大寛さんが加わり、サックス・カルテットに変身。その変わりっぷりは、これはもうハイヴィジョン級?ともかく色鮮やかで、表現の振り幅の広がりもあって音楽が映えること!
しかも須古さんが、味わい深い音・演奏・風貌等で見事なまでの存在感を魅せつけ、気持ち良くサックスが歌える選曲も併せて素直に楽しく聴かせていただきました。
尚、後で調べてみると、須古さんは「佐賀にこの人あり」と評判の僧侶プレイヤー。。。世の中、色んな才能があるものですね。
あと、先に書いた気持ち良い掛け声を掛けておられたお客さんは、実はこの杉谷さんと須古さん。。。なるほど、プレイヤーの感性で掛けていたからかと理解したのと同時に、須古さんの唸り声に至っては本職だったんだ、と妙に納得した次第。笑
もうこのまま終わっても問題ないぐらい満足していたのに、これで終わらなかったのが、この日のライブ。。。何とサプライズ・ゲストで福岡のヴォーカル・山口葵さんが飛び入り参加!
思いも寄らなかったヴォーカル・トリオでしたが、今度はベースとピアノが実に見事な伴奏ぶり。。。最後は最初に戻って二重奏で締めくくられたのですが、目まぐるしく変わる編成の中でもそれぞれしっかり押さえるべき所は外さないという仕事ぶりが実力者の貫禄、ということでしょうか?
それにしても初めて聴かせていただいた山口さんですが、誰でも知っているイパネラの娘でお客さんを惹きつけ、大人の魅力満載のBlack Coffeeという名曲を上品な可憐さを残しつつ情感豊かに歌い上げるという見事な演奏をご披露。。。琴線に触れる歌声を持っておられる上に余韻のコントロールが絶妙で、実に訴求力の強いヴォーカリスト。聴けて良かった!
ちなみに、山口さんの飛び入り参加ですが、何と決まったのは当日の朝とのこと。。。その伏線は以前金澤さんがこのお店で山口さんのCDを聴かれた時に遡るようですが、この朝、山口さんとマスターとのフェースブックでのやり取りがなければ来られることはなかったとのこと。。まさに縁。ありがたいことです。(注)
ライブ当日ですので、じっくりマスターのお話を伺うことは出来ませんでしたが、ご厚意でこうしてサインをいただくことまで出来、大満足。
ただ、このお店にはオーディオやレコードだけでなく、ジャズやオーディオ関連の読みたい本が山のようにあるので、近所だったら良かったのに、と少し嘆息したのも事実ですが。笑
マスター、お忙しい中にも関わらず、ありがとうございました。
(注)こんな通常あり得ない縁を大切にするのが、「縁・サーフィン」の鉄則。この3/11(日)に福岡・スカラエスパシオで行われる山口さんのライブにも伺おうと画策中です。
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