静岡 浜松・Tournez La Page(トゥルネラパージュ) ②22/05

久しぶりに、静岡・浜松駅にあるTournez La Page(トゥルネラパージュ)さんに行ってきましたが、相変わらず気持ちのいい時間を過ごさせていただきました。


「お客さんにリフレッシュ出来る場所を提供すること」をコンセプトとしているこのお店。

ハイエンド・オーディオと広々とした空間の融合から生み出される他では聴けないジャズの響きもさることながら、飲食の充実、そして何より、店長さんや従業員の方々の笑顔、丁寧な応対ぶりが織りなす極上の非日常。。。こんなお店が近くにある浜松の方が羨ましい、の一言です。


飾りつけが少し変わったとは言うものの、基本的なものは以前訪問した時と変わっていない様に思えましたので、その時に書いた記事をそのまま再掲いたします。(注:この記事の一番最後に今回の発見を少し記載)


~~~以下、2018.5.1掲載の記事(駐車場等の情報や一部表現を改訂)です~~~

静岡・浜松のTournez La Page(トゥルネラパージュ)さんに行ってきました。

ジャズ喫茶案内の管理人さんに教えていただき訪問したのですが、これまでの「ジャズ喫茶」のイメージとは何から何まで外れている規格外のお店で、最初っから最後まで驚かされっぱなし。

JR浜松駅北口から徒歩5分程度の所にあるこのお店ですが、こんなビル・店構えのジャズ喫茶なんて見たことがない、というのが、最初の感想。

中に入ってみると、奥に広く、明るくとてもきれいな店内。ジャズがかなり大きい音量で流れていること自体にはそれほど驚きませんでしたが、かわいい店員さんにいらっしゃいませ!と笑顔で迎えられたことには大きな違和感が。笑

お店に入ってすぐにあるテーブル席、カウンター席はお喋り可能なエリア。そこにおられる多くのお客さんは、恐らく特段のジャズ好きではない方々ですが、その音の大きさを意に介さず普通に会話しておられるのにはびっくり。

そして、そこを通り抜け、一段下がった奥にあるのが、リスニングエリア。

そこで目に飛び込んで来るのは、吹き抜けの高い天井、大きなスクリーンに映し出された無声映画、そして、その下に置かれた現代アートのモニュメントにしか見えないアヴァンギャルド社のホーン・スピーカー群。

その風景は、ただただ圧巻、としか言い様がありません。

この左右のカラフルなラッパの形をしたTRIOというスピーカーは、今年閉店されてしまった東京・吉祥寺のメグさんや、北九州・若松のELLE EVANS(エル・エヴァンス)さんで知っていましたが、その間に挟まれたホーン型アクティブサブウーハーBASSHORN3ペア(6本)とは初めての遭遇。やはり実物の存在感、美しさは格別。

近くで聴いてもうるさくないのは、さすがハイエンド・オーディオ、の一言ですが、その音は意外なまでに圧迫感のない自然で繊細な音。

最初に流れていたのはBGMっぽい耳当たりのいいレコードだったので、やはりこういうタイプのものだけをかけられるのかな?と思ってしばらく聴いていましたが、何のことはない、単なる勘違い。

60年代、70年代のアルバムもかかったりして、守備範囲は多少広いかもしれませんが、昔ながらのジャズ喫茶のラインナップと同じ。

でも驚いたのは、途切れることなく次々と入れ替わるお客さん達。彼らの大半も決してジャズ・ファンではなさそうなのに、BGMっぽい耳当たりのいいレコードであろうと所謂ジャズ・マニアが入れ込んで聴いていてもおかしくないレコードであっても、何の違いもなさそう。

これは一体、どういうことなんだろう?正直なところ、驚きを通り越して悩んでしまいました。

このお店のコンセプトは「トゥルネラパージュ」という店名に込められた願いのとおり(上の写真参照)、「お客さんにリフレッシュ出来る場所を提供すること」。

それが色々な物があるもののモノトーン系で統一された落ち着いた空間であり、行き届いた心配り・気配り、そして珈琲・紅茶の「専門店」というサービスに結実した、といったところでしょうか?

結構長い時間滞在させていただきましたので、多くのスタッフの方々とお話させていただきましたが、どなたも意識が高く、その感じの良い接待・応対ぶりは実に心地好かったです。

また、その意識の高さは調度品、サービス等にも表れており、いつまでも長居出来てしまう掛け心地のいい椅子、綺麗なカップ、それらに相応しい美味しい珈琲。

最初にお願いした水出し珈琲も美味しかったですが、次に注文したこのポット出しの珈琲は秀逸。美味しいだけでなく、そのアイディアが素晴らしい!

このクオリティの高さを経験したので、次回は紅茶にもチャレンジしてみたいと思います。

この左側面の壁に白黒交互にきれいに飾られたアルバムは、デザイン的な美しさも兼ね備えたリクエスト募集板。この他にも、お店にあるアルバムなら何でもリクエスト可能とのことですが、ちゃんとそのアルバム一覧が整理され、さっと見せていただいた辺りもさすがでした。

しかも、とても気持ちいい笑顔と共に。

これはなかなかジャズ喫茶ではあり得ない光景で、思わずドキドキしてしまいました。

また、リフレッシュするためには、笑顔が大切?確かにごもっとも。

上の写真の真ん中はレコード・リクエスト用のペン立てですが、これがまたとてもユーモラス。

という視点で店内を見出すと、そこかしこにある遊び心満載の飾りつけ。

気がつけば、無声映画も全て喜劇王バスター・キートンのもの。確かにこの映画も楽しかったです。

あと、もしかしたら、このお店に初めて来られるお客さんにとってのキーワードは「インスタ映え」でしょうか?

超ド級のスピーカーとそれに見合った喫茶店とは思えない広い空間、色んな飾りつけの仕掛けに、私だけでなく、多くのお客さんが嬉々として写真を撮っておられました。

そんな中で、真剣に一眼レフで撮っているお兄さんが一人いらっしゃったのですが、尋ねてみたら、近くの静岡文芸大の学生さん。一度来た時に写真を撮りたくなったから再訪した、ジャズはお姉さんの影響で一番好きな音楽とのことでしたが、その後の一言がカッコ良かった。

「このお店のオーナーさん、きっと音楽の街 浜松だから、こういうお店を考えられたんだと思います」

これまで知らなかったこの新しい感覚のジャズ喫茶。

今年でもう13年目を迎えられたそうですので、単に私が知らなかっただけですが(苦笑)、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。

あまりにも面白かったので、そんなお店ではないことは承知の上ですが、ずっとお忙しくてお話を伺えなかった店長さん、そして、一般的なジャズ喫茶とは全く違った動機でこのお店を始められたオーナーさん(注)にも、いつかお話を伺ってみたいなぁと思いました。

この素敵なお店に心から感謝です。ありがとうございました。

(注)浜松市文化振興財団の情報誌の2018Spring号(vol.28)にこのお店のオーナーさんのインタビュー記事が掲載されており、開店の経緯やお考え等が掲載されています。


(追記)私はその思い込みから、このお店を終始「ジャズ喫茶」として捉えていましたが、オーナーさんのインタビュー記事を読み直して、考えを改めました。

このお店は、「本格的なジャズが流れるとっても贅沢な珈琲・紅茶専門店」。

「お客さんにリフレッシュ出来る場所を提供すること」というこのお店のコンセプトの下に選ばれた音楽がジャズ。

こう考えると、このお店が従来のジャズ喫茶として「規格外」なのは当然。また、一番最初の写真にある「珈琲・紅茶専門店」という看板に「ジャズ」という言葉が入っていないこと、更にはこのお店の人気ぶりも理解出来ますし、途中で抱いた疑問の数々も全て解消。


ただその判断は、一度訪問してみないとわからないと思います。そして何より、他のお店ではなかなか味わえない快適な空間・サービスが病みつきになること、必至ですので、お楽しみに。


(2022.5.5の注)

1.男性用トイレ内にて

男性用トイレに飾ってあったのですが、この洒落た感じとユーモアぶりがまさにこのお店らしい!と思わず写真を撮ってしまいました。


2.店内に置いてあったこのお店を紹介した本

このお店を取り上げて紹介している本は色々ありますが、この本は特に秀逸。他のお店の紹介も同様ですが、この筆者が体験・取材された内容を頁数を贅沢に使って克明に記載。そこでどのようにお感じになられたのかがよく伝わり、実に興味深く読ませていただきました。

トゥルネラパージュさんも置いておられますので、併せてご報告まで。


【駐車場:無(近隣にコインパーキング多数有)、喫煙:不可】


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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑