【紹介:お父さんとお母さんの店】大分 佐伯・JAZZ&珈琲いとう 22/05

大分 佐伯(※1)にあるJAZZ&珈琲いとうさん

※1:佐伯とは言っても、海から遠く離れた山の中ですが。


前回このお店の記事を書いてからも、何度か訪問していますが、毎回思うことは同じ。

・このお店で過ごす時間の心地好さは格別。

・辿り着くまで、この道で正しい?とドキドキ出来る九州一の「隠れ家」(※2)。


逆に変わることも同じ。

・いつの間にか、マスターとママのことをお父さん、お母さんと呼んでいる自分。

・季節に合わせて目まぐるしく変わるお店の周りの風景。

・いつも素敵な玄関や店内の飾りつけ。。。これは、季節に加え、お母さんの気分次第?笑

・鳴らされる機材もオーディオ・マニアのお父さんの気まぐれ次第。(最近は大きなホーン付きのJBL4343を使用。ただ、この広々とした空間で聴ける響きの爽快さは、このJBLもダイヤトーン2S-305も同様です。)

・どんどん増えていく、このお店に辿り着けず、ママが軽トラに乗ってお迎えに行くお客さんの数。


「元気だけど、ちょっともうろくした!」等と腹の底から楽しそうに大声で笑うお父さん。

ますます才気煥発ぶりに磨きを掛けられ、思いも寄らない笑い話を連発されるお母さん。

俗世を全く忘れさせてくれる清々しく気持ちの良い空気、自然の音も含めた音響、空間。

何度行っても、このお店で過ごす時間の心地好さは魅力たっぷり。


あと、このお店について書き留めておきたいことと言えば、常連さんがお創りになられたというこの二冊の写真集「或る日のいとうさんち」。


お店の四季折々の表情の変化、魅力がとても伝わってくるこの素敵な写真集。

残念ながらこの作者の方とお会いしたことはありませんが、きっと愛情のこもった優しい眼差し、繊細な感性をお持ちの方だと思います。

お店をご訪問された際には、是非ご覧ください。


以下は、私が初めてこのお店を訪問した時の感動が感じられる前回の記事。

そのまま再掲いたしますので、併せてご参考まで。(注:この記事の一番最後に今回の追記も記載)


※2:この「隠れ家」をご訪問される方へ

・ご訪問される前には「必ず」お店に電話してください。(せっかく辿り着けても、もしお父さんとお母さんがご不在だった場合、悲劇です。)

・このお店にはご飯類はありませんので、お弁当を持って行くことをおススメいたします。

・現在のところ、カーナビ、グーグル・マップだけでは辿り着けません。(それも含めて、「隠れ家」としてのこのお店の魅力です。)


・必要になるのは、この地図。本当に良く出来ていますので、この地図だけで辿り着けたら最高です。

・でも、これはダメだと思ったら、すぐにお店に電話してください。このお店の場合、全く恥ずかしいことではありませんので。笑



~~~以下、2017.11.10掲載の記事(一部表現を改訂、年齢等の情報は当時のまま)~~~


大分 佐伯にあるJAZZ&珈琲いとうさん。


カーナビに迷子にされ、頼りのグーグル・マップにまで裏切られ、全く違う場所に誘導。

あちらこちら迷った後、最終的な決め手になったのは、この立て看板。


辿り着くまでにすごく時間はかかったものの、辿り着けば、そこはまさに「隠れ家」。

そしてそこは、お店と言うより、ジャズや音楽をこよなく愛され、初対面の方でも旧知の友達のように温かく迎えられる伊東ご夫妻のご自宅であり、素敵なオーディオ・ルーム。


別府で電話した後、あまりにも到着が遅くなった私をご心配されて、玄関口までお迎えに出ておられた奥様。

到着が遅くなって申し訳ありませんでしたが、玄関に入って、まず驚かされたのはその広さ!

そして、奥様の細やかな感性満開のデザイン、季節感満載の飾りつけ。


24畳の広いオーディオ・ルームに通されましたが、今回鳴らされていたのは、往年の銘機ダイヤトーン2S-305。


マスターお手製のアンプでドライブされているのですが、高い天井の解放感もあり、実にほのぼのとした温かい音。


今年76歳のマスターは、本当におしゃべり好き。

素朴な語り口で繰り広げられるのは、ここにこの家を建てるまでの不思議な縁や苦労話、このオーディオ・ルームの工夫、季節感たっぷりのこの家の魅力等々(注1)、どれもこれも尋常ではないお話ばかりで、とても楽しく温かい気分になれました。


でも、その途中でおっしゃった言葉には、思わず絶句。

今度、ピアノの菅野邦彦さんがライブに来られるんだけど、いかがですか?


というのも、昨晩、深夜まで居座っていた別府のファンクさんで、菅野さんのライブ会場の話になり、散々探したのですが、大分公演だけは、結局わからずじまい。

「また何か情報があったら、連絡します!」と言って、ファンクさんを出たのは、たった10数時間前のことだっただけに、その巡り合わせの不可思議さに仰天しきり。

その会場って、ここだったんだ。。。


そこから話は広がり、このお店で行ってきた数々のライブ(上の写真参照)でのエピソードに。

また今回のライブについては、「ライブはもう体力的にキツい(注2)ので、昨年の開店12周年12回目で終わりにしたつもりだった。でも、5年前にここに来られた菅野さんのたっての希望で実現することになった」とのこと。


せっかくだからと、菅野さんが前回ここで演奏された時の秘蔵の録音を聴かせていただいたのですが、その盛り上がりっぷりにも感心。


ちなみに、菅野さんご自身も80歳の大家。

翌日、会社があるとは言え、こんな良さそうな一期一会のライブにこんな流れで誘っていただいて、誰が断ることが出来ましょうか?

「秋のジャズ祭り(注3)」に追加決定!ですが、いつもながら、縁の不思議な結びつきに心底驚くばかりでした。


今回はお弁当持参だった(注4)こともあり、最初に出していただいたのはお茶。

その後、名物どんぐり珈琲を注文したのですが、一緒に出していただいた奥様お手製のさつまいもケーキ共々、しみじみ美味しいこと。


次のお店に行く予定時間を過ぎたものの、次から次へと続くマスターのお話が面白くて、全く飽きない。

更には心からくつろいでしまい、「まぁ、もう今日はここで終わってもいいや!」と思い始めたところに、奥様がいらっしゃって、一言。「お父さん、今日の外出、もう止める?」

「うん、行かなくていいよ、止めよう」と二つ返事で応えるマスター。


マスターがそうおっしゃったことを素直に嬉しく思いつつも、意を決して「いや、私も次のお店がありますので」と少し遅れたものの、次に進むことに。


いやいや、危なかった。

やっぱり、中部九州ジャズ・ロード一周ツアーは誘惑だらけ。完遂の難しさを改めて実感し、気を引き締め直した次第。


それにしても、伊東家の居心地の良さは格別。

11/19(日) 菅野邦彦ピアノソロ・ライブ@いとう、楽しみにまた伺います!


(注1)この家が建つまでの紆余曲折のお話についてはまた後日、アップします。

と、以前書きましたが、やっぱりお父さんから直接聞くのが一番面白いので、そのままにしてあります。悪しからず。(22.5.10追記)


(注2)ライブは体力的にキツい。曰く、ここでライブをやると皆さん帰れなくなるので、雑魚寝だけど泊まっていただいて、ご飯も用意しなきゃいけないから。

良くも悪くもおもてなしの手を抜けないご夫妻だけに素敵な時間が過ごせると思いますが、普通にライブを開催するだけでも大変なのにそれはキツいと思います。

本当に特別な場所ですので、菅野さんが再訪をご希望になられる理由もよくわかりますが、くれぐれもご無理はなさいませんようお気をつけくださいませ。


(注3)元々計画していた宮之上貴昭トリオ@ブラウニー板橋文夫@風土ZEKトリオ@ニューコンボ梅津和時@ドルフィーズというラインナップが更に豪華になりました。


(注4)うちのお店にはご飯類はありませんので、皆さん、よくお弁当を持って来られるんですよ!是非、そうしてください。と電話した時にいただいた奥様からのアドバイスによるものです。



(2022.5.10の注) 

1.長女さん

今回、たまたま東京からご夫婦で里帰り中。以前からライブのチラシ等で、この方のセンスの良さにはいつも感心させられていたのですが、今回はお店でのアルバム・チョイスで久しぶりに実感。

「私が来る」とお母さんから聞かれた長女さんが選ばれたのは、この2枚。


一枚目はトゥーツ・シールマンスのハーモニカで、新緑の美しい季節、澄んだ空気を演出。

なるほど、こんなアルバムも気持ちいいなぁと思わせた後の二枚目に、何と、そのシールマンスがあの辛島文雄さんと絡んだこの名盤をチョイス。

そのセンスの良さに、改めて痺れさせられました。


ちなみに、そこからまだ更に長居してしまった私に、お父さんがかけてくださったのは、初めて聴く山本剛トリオの隠れた名盤。


最後に聴いた名曲「イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ・オブ・ザ・モーニング」の余韻を楽しみながら、夕暮れの里を気持ち良く下山したのでした。


2.お母さんのお姉さん(86歳!)

ピアノの上にあるのは、開店お祝いの時にもらった作品。


そして、この絵と最初の方に挿入した油絵は、このコロナ禍自粛中にこのお店のために描かれた作品とのこと。


鶴瓶さんではありませんが、素敵なご家族に乾杯!です。

【駐車場:有、喫煙:可】


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※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第③号( ↓ )」にも掲載されておりますので、よろしくお願いいたします。 

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑