「九響創立65周年記念」と題された小泉和裕さん指揮の九州交響楽団のマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」 を聴いて来ました。
3階席まで完売御礼、ほぼ満員のお客さんの前に、座席を6列目まで潰した巨大ステージに並ぶ特大オーケストラとその奥に壁のように立ち並ぶ合唱団、その最前列に居並ぶ8人のソリスト、そして全てを束ねる指揮者が登場しただけで高まる期待感。
気合の入った小泉さんの指揮の下、始まった約80分の長巨大交響曲。出だしの迫力も十分、合唱団も立派な立ち上がりで、上々のスタート。
この第1部は大きな波のように盛り上がり、また引いて、また波が来てと揺さぶるように繰り広げられるマーラー独特の世界。コンマスの扇谷さんの聴かせるソロや少年少女合唱団の見事なGloria等、聴き所は色々ありましたが、オケと合唱団が一体となった凶暴なまでの盛り上がりはライブならではの愉しさでした。その最後は舞台下手(シモテ)に近い2階席からのバンダの響きも効果的で、盛り上がって、終了。
第2部は出だしからオケ中心のP系の音楽がずっと続くのですが、九響の緊張感を持った演奏に物音一つ立てずに聴き入る客席、人で埋め尽くされたホール全体がマーラーの音楽を通じて一体となって流れていく時間。。。とても素晴らしかった。この日の白眉だったと思います。
段々と熱を帯びる音楽にマーラーらしい音が響き始めたかと思えば、また表情を変える音楽。弦楽ソロ同士の掛け合い、ハープと1st.ヴァイオリンの掛け合いの妙味。オケ、ソリスト、合唱団が築き上げたねっとりとしたマーラーの耽美な世界。少年少女合唱団の鮮烈な響き。この大人数の演奏者全員が紡ぎ出したppの威力。聴き所満載の好演。
手を変え品を変え、飽きさせることなく音楽は進み、ソプラノ・ソロの熱唱に先導され、いよいよクライマックスへ。2階席からのバンダも加えた強烈無比なfffff。長い間、じっと耐えてきた末にようやく到達したかのような歓喜の開放感。圧倒的な響き。カタルシス。
この長時間にわたって集中力を保ち続け見事に演奏し切った演奏者には数多くのブラヴォーが飛んでいましたが、皆さんの満足そうな笑顔が印象的でした。
また、ライブで聴いてみて初めてわかる・気づく等ということはよくある話ですが、この「千人の交響曲」は一度はライブで聴くべき曲だと思わせられた演奏会でもありました。
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