juliaが来た!【北九州・小倉 オーディオ・ビギン 番外編】

このタイトルを見て、何のことかピンと来た方は相当なオーディオ通!

とは言え、わからなくて普通ですので、ご安心を。


juliaは、北九州・小倉のオーディオ・ビギンのオリジナル・スピーカー。

その juliaがこの10月、我が家にやって来たのです。(注1)



私はクラシック愛好家にして、スターリングTWWを愛用してきたタンノイ党。

そして近年は、ジャズ・スポットを巡り、その音楽に魅せられてきたジャズ愛好家。

更には、オーディオ愛好家としての感性も磨いてきたつもりでしたが。。。


いやいや、あっさり、脱帽!



声や楽器の生々しさ、空気感、音の拡がり、切れ味の良さに単純に酔い痴れた第一段階。

色々なアルバムを聴き直している内に、そのアルバムに謝る状況が頻出した第二段階。


うわっ、何?!

このピアノ、こんなに凄かった?このヴァイオリンってこんなに美しかった?

この艶っぽいサックス、リズム隊の躍動感。こんなカッコ良かった?

この演奏ってこんなに良かった?この曲ってこんなにいい曲だった?

このアルバムの本当の魅力がわかってなかった?!ごめんなさい!



そして、今。

「いいオーディオとは、音楽好きが他のことを何も気にせず、純粋に音楽を楽しめる道具」

というオーディオ・ビギンのオーナーの信念を実感。


オーディオに起因する余計なこと(注2)を一切考える必要もなく、アルバムに刻み込まれた音楽の世界に浸れることが、こんなに楽しく幸せなことだったとは。。。



あれもこれも聴き直したいアルバムは増える一方。この年末休みも、手当たり次第にとっかえひっかえ聴いていますが、本当に素晴らしい時間。


この幸運な出会いとご縁に心から感謝すると共に、

「オーディオ・ビギン・シーズン2」の更なるご発展を祈念いたしております。



ということで、ここからは、導入経緯・事情やその想い、及び、マニアックなお話ですので、ご興味のない方は飛ばしていただいて結構です。


(注1)julia導入の経緯あれこれ:

1.スターリングTWWについて

私が愛用してきたスターリングTWWはクラシック愛好家ご用達、25cm同軸型2ウェイの逸品。その実力を十二分に発揮させたいとの想いからオーディオへの投資もどんどん加速。結構大変なことになったのも事実ですが、東京で購入して以来、約20年間、メキシコ~愛知~福岡~熊本~岐阜と転々と転勤する私にずっと連れ添ってくれた相棒であり、クラシック音楽において、何度も心の底から感動させてくれた銘機。


2.ジャズへの想い

一方、ジャズを懸命に追いかけ始めるようになって、10数年。残念ながらジャズの再生においては、いいお店で聴くレベルには全く届かず※、お店で聴き惚れてつい購入したものの、単なるコレクションになるアルバムが多発。九州時代は「ジャズはお店で聴けばいい!」と割り切っていたものの、中津川に異動してからはその機会が激減。まともなジャズをもっと聴きたいという想いが募っていました。

※アルバムによっては、スターリングの奏でる上品な表現が心地良いものもありましたが、その心地良さがそのアルバムの本質ではないのも事実。


3.悪魔の誘惑?

ちょうど1年前の年末。オーディオ・ビギンを訪問したところ、

「誰か、この展示・試聴用のjulia、買ってくれそうな人、知らない?」

と、オーナー。

これには困りました。。。しかも、中古価格でいいとのこと。



4.juliaの紹介と第一印象

juliaは、オーナーが惚れ込んだPA用38cmウーファーをベースに開発されたオーディオ・ビギンの主力機種。クラシック用、ジャズ用、ポピュラー用の3つの回路BOXを繋ぎ変えることで、それぞれの音楽が生き生きとした音に変わるという魔法のようなスピーカー。

でも、私のお気に入りは、その上位機種のROSE(上の写真では、juliaの外側のごっついスピーカー)。と言うのも、juliaは、ジャズにおいて「こんなのが聴けたら、ホンマいいわなぁ」とその実力を認めていたものの、クラシックにおける繊細な表現力・空気感ではスターリングの方が上だと感じていたので。


5.ROSEの圧倒的な進化

ROSEは、juliaをベースにオーナーが磨き上げたフラッグ・シップ機だけあって、初めて聴いた6年前からクラシックにおいても高い表現力を誇っていましたが、好みの問題もあり、ずっとジャズを聴かせてもらっていました。

でも、全てが変わったのが、コロナ禍自粛期間中。訪問する度に、ROSEでクラシックを聴かせられるようになり、その都度、凄まじい進化ぶりに感心。そんな訪問が続いたある日、私は遂に降参。

このROSEなら、買ってもいい!


6.コロナ禍自粛期間にオーディオ・ビギンで起きたこと

実は、コロナ禍自粛期間中、スピーカーの受注が全くストップ。オーナーは、次から次へと送られて来るオーディオ修理品と格闘※しながらも、それまでスピーカーの受注生産に追われ、やれなかった改善アイテムやアイデアを展示・試聴用ROSEに実施。そして、クラシック用の被験者の一人として選ばれたのが、ちょうどいい間隔で訪問する私。私の喜んだり、感心するポイントや感想等を参考にされては、延々改造されたそうで、最終的に凄いレベルに到達。

結果論ですが、コロナ禍自粛期間も悪いことばかりではなかった一例でもあります。

※オーディオ・ビギンは、器用なオーナーの噂が広がり、どこでもやってくれない修理を最後にお願いするお店としても有名なのです。


7.ここから始まった喜怒哀楽満載のドタバタ劇

ようやく、コロナ禍自粛が終息。juliaにもROSEの改善ポイントをフィードバック。

さぁ、これから、また売るぞ!とオーナーの意気が上がったところで悲報。

要となるウーファーが生産中止?!もう同じ juliaは作れない?

でも、受注が4セットも入ってしまった。どうする?!

窮地に追い込まれながらも、色々実験を繰り返され、無事に新ユニット決定!


8.現行の展示・試聴用 juliaの売却へ

「今回の実験中にも大きな発見があったし、これで何とかなりそう。

受注分を出荷したら、julia2(新ユニット仕様)の展示・試聴機を製作せんといかんわなぁ」

そう言って、ホッと一息つかれたオーナー。

これが、上述「3.悪魔の誘惑?」につながる訳です。


9.困った私の胸の内

オーナーのコロナ禍自粛期間中の凄い進化、その後起きたドタバタ、喜怒哀楽劇をずっと見てきた私。

「やっぱり、うちの顔は julia」とおっしゃるオーナー。その初代 juliaの最後の1台。

しかも、その最終進化の被験者。引き取り手として、私以上の適任者がいようか?

でも、やっぱり。。。スターリングを越えていなければ、無理。


10.決断

そんな複雑な想いを胸に、意を決して、juliaでクラシックを聴かせてもらいました。


あっ?!


空気感、拡がりは、スケールの違いはあれど、降参したROSE直系。

楽器の生々しさも申し分なし。juliaももの凄い進化を遂げていたのでした。

その後、聴かせてもらったジャズ用、ポピュラー用の素晴らしさ、気持ち良さは想像どおり。

有難くいただきます。思わず、そう言っていました。



11.悩み

さて、そうなった時、私の大切なスターリングをどうするのか?

サブ・システムにする手もあるけど、スピーカーは鳴らしてあげてなんぼ。

こんなに良く鳴るのに、メイン・システムで聴いてあげられないなんて、可哀想。


12.良縁

一番嬉しいのは、直方谷尾美術館室内楽演奏会を一緒にサポートしているメンバー。

まずは、その感性を一番信頼している高校の美術の先生に、恐る恐る打診。

と、有難いことに受け取っていただけるとのこと!破顔一笑。あっさり大団円。

持つべきはいい仲間。ここでもいい縁に恵まれたと感謝!


13.納品

購入を決めてから10カ月。その間に受注していた4セットを製作・納品、私の juliaの手直し・調整をしていただいたようです。

そして、北九州・小倉からフェリーで大阪南港を経由、はるばる愛知までお越しいただき、オーナー自ら、納品・調整。お手伝いとして、旧知の某有名喫茶店の店長さんがいらっしゃったのも嬉しいサプライズ。

尚、納品された製品が、すぐにお店より自宅の方がいい音で鳴るなんて、オーディオ界の常識ではあり得ません※ので、念のため。


※ julia、ROSEは完全受注生産品。購入者の好みに合わせた製作・調整(例えば、ポップス用であれば「ビートルズが一番よく鳴るように」等)から、納品後の現地での最終微調整という手厚いサポートまで、オーナーの誠実な仕事ぶりを客の立場で感じ取ることが出来たのもいい経験でした。


14.後日談

この感謝、感激をどうやったら表せるだろう?と考えた挙句、こんな手書き表彰状を作成。

先日オーナーに手渡してきましたので、きっとお店のどこかに飾ってくださったはず。

オーディオ・ビギンをご訪問された方は、是非一度、ご確認くださいませ。



(注2)オーディオに起因する余計なこと

スターリングTWWの奏でる音は、どう置いてもそれなりに良かったとは言うものの、実は空間とのマッチング、セッティング次第で大きく変わると教えてくれたのもこの銘機。

熊本で遭遇したコロナ禍自粛期間中、外出が基本的に禁止された2週間近くのGWがありましたが、ここで私がやったのが、オーディオのセッティングの大実験。存分に時間をかけ、やってみたかった配置転換や改良を全て検証・実施。

そのお陰で、スターリングTWWはあの熊本で奏でた音が最高だったといい思い出になっていますし、悔いがありません。



ただ、あそこまで追い込むのに必要となるパワー、時間、お金。

更には、もっとこう鳴らない?もしかしたら、あれをやればもっと良くなるかも?等と考え始めると止めどなくなる恐るべきオーディオの深い沼。

それはそれで魅力的とは言え、残された時間が気になるようになった今となっては、音楽だけに専念出来る幸せを有難いと思う次第です。


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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑