【紹介:音の魔術師】北九州・小倉 オーディオビギン 22/08

北九州・小倉にあるオーディオ・ビギンさん。

数々のお店の音響サポートをされておられますが、オーナーの優れた音に対する感性・才能※は、同じく小倉にある老舗 Jazz Street 52さんで「熱いジャズの音」をご堪能いただければ、「百聞は一聴に如かず」です。



また、私が顧問を務める大分・竹田の一粒万倍(イチリュウマンバイ)は、この22.10.2に本格オープンいたしますが、その過程で、JBLパラゴンの音響調整を依頼※したことからもその信頼ぶりはわかっていただけるかと思います。


※「依頼人が鳴らしたい音楽のイメージを理解した上で、そのイメージ通りに改善が図れる凄い才能」を現地で目の当たりにしましたが、「全てが同じ条件なのに、ここまで音が変わるんだ?!」と魔術でも見ている気分でした。(詳細はこちらにて)



ちなみに上の写真の青い顔をしたスピーカーはこのお店のオリジナル。そのフラッグシップ機ROSE(両端にあるホーン外付きの製品)は元々過不足のない高いレベルのスピーカーでしたが、今回大幅なバージョン・アップを実施。

先日再訪した際、何も知らされずに聴き始めたのですが、その進化ぶりに驚愕。中でも特に感心したのは、クラシックにおけるホール感・静寂の表現で、上には上があるものだと思わず嘆息。ずっとタンノイ党を標榜している私ですが、さすがに魅かれてしまいました。


その一方、今回の改善ポイントから考えて、私の存在も刺激になったのでは?と秘かに自負している次第です。笑


<2022.11追記>思い起こせば、このお店を最初に訪問してからちょうど4年。最初は「熊本の冷やかし」と揶揄されながらも、これまでずっと通ってきましたが、今年に入ってからの進化のスピードは異常。何と、上記記事を書いた8月からこの数か月の間に、ROSEの空間再現性がまた更にレベル・アップ。

ずっとタンノイ党を堅持してきた私ですが、あそこまで凄い再生をするROSEには、さすがに白旗。遂に、資金・場所の条件さえ許せば乗り換えてもいいかも、という気にさせられました。


ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー 


【以下、2018/11の記事を転載、一部追記・改訂】

北九州・小倉にあるオーディオ・ビギンさんは、ジャズ喫茶を併設していないのが不思議なくらいのオーディオ屋さん。

北九州 黒崎・Jazz Spot 風土さんの常連の方にススメられたので行ってきましたが、ともかくオーナーのお話が興味深く、いつまで聞いていても飽きない。。。ということで、失礼な話ですが、冒頭の言葉となりました。笑



この写真中央でとても存在感を放っているスピーカーは、自分の聴きたい音を出すスピーカーが既成品になくなったからとご自身で開発されたJULIAですが、そこから流れるジャズはまさにジャズ喫茶ならではの音!お店に入った瞬間にこの音を浴び、単純に嬉しくなってしまいました。


オーナーのご持論の1つは「楽しく聴けるスピーカーがないから、みんな自分の好きな音楽を聴かなくなる」ですが、論より証拠。この鳴らしていただいたエリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポットが何と楽しく響いたことか。



またこれもそのご持論の1つで、特徴的なご意見ですが、「1つのスピーカーで全てのジャンルの音楽が鳴らせるはずがない」。。。ということで、オーナーが考えられたのが「ネットワークを外付けBOXとして取り替えること」で、ジャズ用、クラシック用、ポピュラー用を製作。


ネットワークを取り替えることで音をこんな風に変化させる発想自体、私にとっては衝撃的でしたが、その音楽に合った雰囲気を見事に醸し出しているそれぞれのネットワークにも、驚かされっぱなし。(注1:オーディオ愛好家の方へ)



その後開発されたという3機種、フラッグシップのROSE(写真奥のゴツいスピーカー)、「ユニットが入手出来なくなって生産出来なくなった、代わりのユニットが見当たらない」と嘆いておられたPIANO2(写真真ん中の小さなフルレンジ・スピーカー)、その上級機種に当たるPLUTO(写真PIANO2の下にあるエレクトロ・ボイスの同軸2ウェイ・スピーカー)とそれぞれ聴かせていただきましたが、その音の雰囲気や傾向が全く同じであったことにもビックリ!


もちろん値段の差は音の余裕、広がり等の差となってきっちり現れるのですが、この統一感はスゴい!と驚嘆していたら、「そんなの同じ人間が作っているんだから、自然とそうなるよ」と事も無げにおっしゃるオーナー。



ただそうは言っても、元々ジャズやブルースがお好きなオーナーにとって、クラシック用の音作りにはご苦労されたのだとか。

そこでクラシックと言えば、ということで、英国タンノイのスピーカーのネットワークをご研究。初めは「学術的には音を悪くする方向なのであり得ない回路」としか思えず理解出来なかったものの、ある日わかったそうです。


全ては音のためだ!


それ以来、タンノイの創業者G.R.ファウンテンを尊敬されておられるとのことですが、タンノイ党の私にとっては嬉しい話。


かと言って、クラシック用ネットワークをつないだJULIAからタンノイの音がするかと言えばそうではありませんが、タンノイでは聴こえにくい音がちゃんと聴こえるのは悩ましい話。。。実際に後ろに置いてあった実物との聴き比べですので、間違いありません。



その他にも「ジャズは他の芸術同様、時代の空気を反映している」「いいジャズはどんなに崩しても原曲がわかる」「ジャズはアメリカの、クラシックは欧州の民族音楽」「クラシックのオーディオ再生から電気の音がしてはいけない」等々、これまで培われてきたバックボーンの深さ、独特な表現の上手さ、痛快な一刀両断ぶり。

本当に楽しかった!


オーナー、お忙しいところを長い時間お相手いただき、ありがとうございました。

当方、タンノイ党を離れられず、かと言って、これ以上スピーカーを置くスペースがないため、図々しいお願いですが、また伺っていいですか?


【駐車場:有(裏に1台、電話でご確認ください)】



<追記>この4ヶ月程、オーディオ道を突き進む方々のシステムを集中的に聴かせていただく機会に恵まれたことから、その道にどんどん惹かれ、色々考えさせていただいた結果、その世界が自分なりに何となく見えてきました。

入力系から出力系、その響かせる箱(部屋)に至るまで様々な要因が絡み合う複雑なオーディオの世界。その変化ポイントがあまりにも多くてキリもないことから、自分の聴きたい音のイメージがしっかりしていればどんどんそこに向かって昇りつめていける魅惑的な世界でもある一方、客観的な判断がないといつの間にか深い沼に飲み込まれている可能性も高いキケンな世界。。。それでもやっている人間にとっては楽しいのですが。笑

お陰様で、この九州ジャズ・ロード巡りを始めた目的の一つである「色んなシステムを聴きたい」という欲求についても現時点でお腹いっぱいになり、自分自身の位置づけもオーディオ・マニアの端くれではなく、オーディオ愛好家と晴れて認識出来ました。


ということで、少し路線を切り替えて、ジャズの奥深さを追求する道に戻ります。。。とは言え、ジャズ・オーディオとは切っても切り離せない関係なので、そこでいい音が欲しくなってくる気もしますが、その時はまたその時ということで。



(注1:オーディオ愛好家の方へ) 1つのスピーカーで全てのジャンルの音楽が鳴らせるはずがない。。。という考え方をどう思われますか?

これは完全に肯定派と否定派に分かれる考え方ですが、原音再生が出来ると考えるか否かという根本的な問いに戻るような気がします。

元々、タンノイというメーカーが志向していた音作りは、原音再生を諦めた所から出発し、それらしい音を追求していたと思うので、タンノイ党である私にとってはとても自然に受け入れられたオーナーの持論。


これまで最先端のハイエンド・オーディオの音も数々聴かせていただいたので、その可能性は否定しませんが、そこに至るまでの困難さ(注2)を思うと、このスピーカーが魅せてくれた世界はとても誘惑的でした。

もし気になられるようでしたら、恐らくご参考になると思いますので、是非一度このお店でご試聴下さいませ。


(注2)オーディオ機器から部屋(家)等を購入するお金の工面、そこに費やす労力・根気。。。皆様、ご存知のとおり。



<2018.12.19追記>このお店から車で約20分南下した所にあるマスターおススメのイタリアの家庭料理のお店B&Wさん。。。そのお店のメイン・スピーカーは、オーナーがこのお店の空間に合わせて音響調整されたJULIA。

そのお店の様子はこちらをご覧ください。



その他のオーディオ・ビギンさんの記事:

「20/02【マイ・フェイバリット・シングスの誤解】/北九州”ご無沙汰訪問”ツアーの一部」へ



※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第②号( ↓ )」にも掲載されておりますので、よろしくお願いいたします。 

0コメント

  • 1000 / 1000

汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑