【紹介:カオス好きには最高の場】福岡 柳川・Groovy(グルーヴィ) /宰府屋(サイフヤ) 旅館 22/06

福岡の観光地 柳川(ヤナガワ)にあるGroovy (グルーヴィ) さんは、60年超の老舗・宰府屋(サイフヤ) に併設された40年超の老舗ジャズ喫茶。



マスターは旅館の三代目で、久留米の老舗ルーレット門下生の一人。



エネルギッシュでヤンチャでサービス精神旺盛、セロニアス・モンクが大好き(そのエピソードはこちら)、閉店後も明け方までYoutubeで新たな音源を探索をする等、音楽が好きで好きで仕方がないオーラを発散させている方。



しかし、半世紀以上ジャズ一辺倒だったこのマスターが突然「アルゲリッチはジャズだ!」と言い出した時には驚きました。

「大分・別府アルゲリッチ音楽祭で聴いて驚いた。一音一音が生きていて、同じ音を弾いても違う響きがする。モンクと同じ。あれはジャズだ」(詳しくはこちら


その後、凄まじい勢いでクラシックを聴き始め、今ではクラシック演奏家の譜面の制約の中での自由さを語れる域にまで到達してしまったのも、驚愕の一言。



そんな柔軟な感性、打ち解けやすい雰囲気、フットワークの軽さ、凄まじい突進力等々、どの魅力に魅き寄せられたのかは各々違うと思いますが、いずれにせよ、このお店の客層の幅広さ、多彩さは特筆もの。

更にこの旅館は映画関係等の長期滞在者(その一例はこちら)も多いので、混沌(カオス)好きには最高の場です。



その一方、ママ/女将は、料理の腕前※と温かく親切な応対で心を掴む癒し系。

その魅力ぶりは旅館の高いリピーター率が証明していますが、近年は「柳川の堀にうなぎを復活させる活動」等、生まれ故郷・柳川の今を明日につなぐ活動にもご注力。(柳川の魅力の一例:白秋祭についてはこちら

その他、「柳川ゆるり旅」という市/観光協会の街おこしイベント」では、郷土料理を作る企画や、その書の腕前(関ケ原古戦場記念館や新聞の題字等で採用されておられます)から郷土の文豪・北原白秋の詩を書く企画を立案・実施する等、持てる才能を惜しみなくご提供。



その八面六臂のご活躍ぶりに、実はマスター以上のバイタリティの持ち主だったのか?と遅まきながら、ようやく気づきました。


※「今日って、何か食べるモノ、お願い出来ますか?」「じゃあ、適当に」という会話でいつも美味しいご飯をご馳走になっていますが、旅館のお客様次第で嬉しいご相伴もあったり、これもこのお店の楽しみの一つなのです。



ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー 

【以下、2018/09の記事を転載】

福岡の観光地 柳川(ヤナガワ)にあるGroovy(グルーヴィ)さん。。。前回の「アルゲリッチはジャズだ!」というマスターの強烈な名言にはすっかり参りましたが、このお店には強い中毒性があるらしく、またついふらふらっと行ってしまいました。

アルゲリッチを聴いてしまったから聴くものがまたなくった、と嘆かれるマスターは興に乗ったら一晩中いい音楽を探してしまうYoutuber。

そしてこのお店はそのマスターが話に上がった音楽をYoutubeですぐに取り出し、一緒に聴けてしまうとても楽しいお店。。。ということで、今回は私がマスターと過ごした時間をダイジェスト版でお届けしてみます。


1.ジャズは間、タメが大切

これ、聴いたこと、ある?ないんだったら、聴いてみる?とおっしゃってマスターが流し始めたのはこのThe Great Guitarsの1曲目。

その中で、3分40秒辺りから7分15秒ぐらいまでの三人のソロの聴き比べが今回のポイント。

全員もちろん上手いんだけど、最初の二人に比べて、最後のバニー・ケッセルの間、タメはちょっと違うよね?テクニックに走り過ぎると間が失われがちで、そうなると軽く聴き流せてしまう。でも、名人は間で聴かせるんだよね。

確かにわかりやすくて、納得。。。この演奏自体も相当楽しかったので、ちょっとこのまま聴かせてもらってもいいですか?とお願いしてしまいました。笑


2.ジャズ・ボーカルの聴き方

ジャズ・ボーカルをボーカルとしてじゃなく、一度トランペットとかと同じように器楽的に聴いてごらん、とおっしゃって、まず聴かされたのは、エラ・フィッツジェラルドのMack The Knife。

あら?!この演奏は知ってはいましたが、聴き方を変えるとまた面白い!


次に聴かせていただいたのが、ビリー・ホリディのFine And Mellow。

これはバックが超豪華メンバーですが、ジャズ・ボーカルを聴いているという感じが全くせず、ボーカルも楽器としてセッションしているとしか思えない素晴らしい演奏!更にはちょこんと腰掛けて歌うビリー・ホリディがとてもチャーミング。こんな映像が観れるYoutube、恐るべしです。


そして極めつけは、このクラーク・テリー(注)とアレサ・フランクリンのMUMBLES 2001。

この二人の訳のわからない掛け合いの楽しいこと!思わずイェ~!と掛け声を掛けてしまいました。笑

この他にも、ビリー・ホリディとレスター・ヤングのAll of Meアニタ・オディのFly To The Moonを聴かせていただきましたが、今回教えていただいたジャズ・ボーカルの聴き方は目からウロコで、本当にタメになりました。

尚、途中でマスターが真面目な顔でおっしゃった「アルゲリッチに勝つにはボーカルしかないかもしれない」というご発言にはズッコケそうになりましたが、それ程、ボーカルは奥が深い楽器、不思議でスゴい楽器なのだそうです。

最後にしみじみとおっしゃった「ボーカルを聴かないのはもったいない」というご発言は胸に留めておきます。


3.ちょっと一休み

この名盤は知っているよね?昔、ルーレットに久留米医大の軽音の連中が来ては必ずリクエストして、黙って聴いていたなぁとおっしゃりながら流されたのが、ライオネル・ハンプトン・オール・スターズのStardust。

この日、最初に聴いたバニー・ケッセルのギター、ライオネル・ハンプトンのヴィブラホン等々、次々に出てくる気持ちいいソロ、腹にズッシリ響くソロ、楽しい女声のスキャット。。。思い切り聴き入って、そして一休み、終了。笑


4.ジャズはベースが引っ張るもの

この話題からご紹介いただいたのは、レイ・ブラウン・トリオのLady Be Good。

ドラムより少し前に出るベース。。。確かに!


続いて、オスカー・ピーターソン・トリオのC Jam Blues。

音楽をベースが引っ張る安心感とスイング感。それにしても、レイ・ブラウン、カッコいいなぁ、と聴き惚れてしまいました。


5.パット・メセニー

これを聴くまであまり好きじゃなかったんだけど、と言って流されたのは、ビートルズの曲ですが、And I Love Her。 

いやいや、確かに、これも無茶苦茶いい。。。

そして、最後はパット・メセニーとチャーリー・ヘイデンのニュー・シネマ・パラダイスの気持ちいい演奏を聴いて、長時間にわたるこの日の音楽談義も、終了。

それにしても、前回も書きましたが、とてもYoutubeとは思えないいい音が鳴るこのお店。

本当に楽しかったです!と伝えると、一緒に聴いている人がいいからじゃない?とマスター。。。そのお茶目な笑顔に、思わず、そうかも?と思ってしまいました。笑

それにしても、長居させていただいたにも関わらず、あっという間の時間でした。。。またお邪魔しますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【駐車場:有、喫煙:可】


(注)このクラーク・テリー(以下、CT)がマイルス・デイヴィス達からも愛されていた話から、その晩年のドキュメンタリー映画Keep On Keepin' On (地道にやり続けなさい)を教えていただいたので、また即発注。

何度か観ましたが(英語の字幕しかないので。。。苦笑)、CTと奥様、弟子の盲目のピアニストとの温かい交流、若かりし頃の演奏やクインシー・ジョーンズ、ハービー・ハンコックを始めとする巨人達のインタビュー等々を通して、CTの滲み出る魅力を描いた素晴らしい映画。それにしても、そこかしこで流れるCTのスキャットの素敵なこと。おススメです。(但し、私が買ったDVDはリージョン1でした。ご購入の際にはご注意を!)


その他の柳川・グルーヴィさんのページ

まずはおススメの3本から

・このマスターの強烈に印象に残っている一言「アルゲリッチはジャズだ」 

 

・19/11【岡本喜八監督作品等の映画カメラマン 加藤雄大氏、さいふや旅館等】


・柳川・白秋祭2019。。。実に心に残る楽しい時間でした。


その他の記事

①18/06 プロジェクト・リ!トレーン①20/02の一部  ④20/05



※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第②号( ↓ )」にも掲載されておりますので、よろしくお願いいたします。 

0コメント

  • 1000 / 1000

汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑