佐賀市内、ジャズ・バーの老舗ロンドさんの近くにあるクラシック喫茶モーツァルトさん。
昨年末に初めて伺って以来、2度目の訪問でしたが、やはりクラシック愛好家にとってクラシック喫茶は最高にくつろげる場所。。。というのも、クラシック喫茶を名乗るお店は減る一方(注1)なので、クラシック喫茶で時間を過ごせること自体、本当にありがたいこと。
マスターは東京の大学を卒業後、ディスクユニオンにご就職された後、佐賀に戻られ、場所は違ったもののご開業とのことですから、既に40数年の歴史を持つ老舗。
メイン・スピーカーは最初からタンノイの銘機スターリングTWで、その音はちょっとくぐもってホール・トーンを思わせるタンノイ・サウンドそのもの。
尚、私の愛機がその一世代後のスターリングTWWということもあり、クラシックを聴くにはこの音調が最高だと思っています。笑
前回は、このスターリングが特に得意としている室内楽ということで、ブラームスのクラリネット五重奏曲から聴かせていただき、その流れでブラームスのピアノ協奏曲第1番(ジョージ・セル指揮、カーゾン独奏)を聴かせていただきました。
そして今回は、前回見つからず、わざわざ探しておいていただいたジョージ・セル指揮クリーブランド交響楽団のブラームスの交響曲第2番からヴァイオリン協奏曲(イッセルシュテット指揮、ジネット・ヌブー独奏)。
サンドイッチと珈琲をいただいた後、じっくり音楽に浸る時には、少し甘めのウィンナ珈琲が美味しい。
ちなみにマスターは、ジョージ・セルやトスカニーニ等、甘い表現・過剰な表現を排した演奏がお好きなよう。。。もしかすると、モーツァルトの演奏も過剰な表現をするとおかしくなる傾向があるので、「モーツァルト」という看板を掲げておられるお店のマスター達の趣味もみんなそういう傾向にあるのでしょうか?笑
先日のツアー2019Jan.で初めて知った鹿児島のクラシック喫茶もたまたまモーツァルトさんだったので、今度訪問する機会が作れたら聞いてみたいと思います。
また、これは極めて個人的な話ですが、クラシック喫茶ならではのマスターとの会話の楽しみ方について、もっと模索したいと思っています。 (注2)
尚、遠方からお越しの方は予めお店に電話してから訪問するようにしてください。
(注1)マスターによれば、クラシック喫茶を名乗るお店だけでなく、喫茶店そのものが減っているとのご認識でそのとおりだと思いましたが、一番の打撃は「土曜半休がなくなった時」というお話には驚きました。
結局、土曜の午後を持て余していた人々、待ち合わせ場所に喫茶店を使っていた人々等がいなくなったことが、喫茶店文化衰退の一因。。。いい勉強になりました。
(注2)ごく個人的な話で恐縮ですが、実は「クラシック喫茶のマスターとの会話」が初めての経験でもあり、とても戸惑っています。
ジャズは修業中の身なので、ジャズ☆スポットでは人・演奏・作品等々、マスターから色々教えてもらうことが当たり前。更にはそれを目的として会話し、そこに大きな楽しみ・喜びがあるのですが、クラシック喫茶の場合、新しい知識の習得という意味では、ジャズ☆スポットほど刺激がない。。。私の知識・記憶の曖昧さに気づかされ、カッコ悪いことは多いのですが。(苦笑)
もちろん、別に通常の会話は何ら問題なく出来ますし、そういう会話もしますが、でも、ここはわざわざ来ている特別な場。クラシック喫茶ならではのマスターとの会話の楽しみ方がもっと他にあるはずなので、もう少しこのお店に通わなければと考えさせられた次第です。
また、楽しみ方と言えば、ジャズ☆スポットとの間にもう1つ大きな違いがあります。
それは、ジャズ☆スポットでは先日アップした八代・ファーストさんの記事で書いたとおり、「同じ曲の違う演奏者による聴き比べ」を現在実施中ですが、この聴き方はクラシックでは当たり前の話。とは言え、ジャズの1曲とクラシックの1曲では長さが全然違うので、クラシックの場合、お店でやれるような話ではないのも事実で、これにも困惑。
マスター、色々面倒なことを言って申し訳ごさいませんが、長い目で見てやってくださいませ。よろしくお願いいたします。
【駐車場:有、喫煙:可】
【2020.08.02記事【待望!店のジャズ】九州一周弾丸ツアー2020.5~6総括より転載】
最後に、今回のツアーの中で悲しかったニュース。
佐賀のクラシック喫茶 モーツァルトのマスターが昨年秋に亡くなっておられたこと。
お店は名前もそのまま残っていましたが、代替りされ、お店は完全にリニューアル。何より、あのマスターとはもっと語り合ってみたかった。
何度か近くを通った時に電話したものの、出ていただけなかったりとタイミングも合わなかったのですが。。。失ってしまってからでは、本当に取り返しがつかないことを改めて嘆息した次第。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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