延原武春 指揮 フィルハーモニア福岡 第38回定期演奏会@アクロス福岡 (ベートーヴェン交響曲1&3)


いつも楽しみにしている延原武春指揮 フィルハーモニア福岡の定期演奏会。

創立20周年記念と銘打たれた今回はベートーヴェン生誕250年記念・交響曲連続演奏会の2回目で、曲目は交響曲第1番と第3番「英雄」。

前半の交響曲第1番はなかなか聴く機会のない曲ですが、恒例の延原さんのマイク・パフォーマンスの中で触れられた「ハイドンでもモーツァルトでもない独自」の魅力が十二分に伝わってきた好演。

流れのある生き生きとした感興もさることながら、静寂の中から沸き上がるpppで奏でられる弦楽アンサンブルの響き、mpの美しい響きを保ちながら次々に引き継いでいかれるメロディ等の新たな気づきは、演奏会ならでは。また柔らかいfffで切った後、次の旋律に移行するまでに生み出された一瞬の静寂は、コンサートホールならではの美しさで素敵でした。


後半の交響曲第3番「英雄」はこのオーケストラが最初の定期演奏会で取り上げたという記念の曲で、これが4回目の演奏になるとのこと。

ベートーヴェンのメトロノームを目指している、指揮者が引っ張ってうねりを作る必要があるロマン派とは違い、オケが勝手にやって自然に沸き起こるようにやった方が上手くいくのが古典派、という延原さんのコメントを受けて始まったこの曲。

少し早目のテンポを基調とした流れるような演奏で、大曲だけに色々な見せ場がありましたが、特に第一楽章の盛り上がりにはワクワクさせられました。また延原さんのコメントの中で、演奏のキズも生演奏ならでは、いつも同じでは楽しくないでしょ?とありましたが、特段の大きなキズがなかったことも申し添えておきます。笑


次回の第39回定期演奏会「ベートーヴェン・シリーズ第3回」は2020年7月26日(日)、アクロス福岡にて、交響曲第6番「田園」と第8番。

田園ももちろんですが、このコンビで聴いてみたかった第8番がどんな演奏になるのか。。。EU統合以降、オケのインターナショナル化が進み、地方のオケの方が味わい深いという現実の中、ウィーン古典派をハイドン、モーツァルトから積み重ね、同じ語法を繰り返し演奏する中で成長してきたのがこのオケといったコメントがある等、20年という長い歴史の中で延原さんから絶大なる信頼を得たこのフィルハーモニア福岡の皆さん。

そして実際、この指揮者に懸命に食らいつき、上手くいった時には一流オケと変わらぬ充実した響きを奏で、その世界を見事に体現出来る能力を持つこのオーケストラ。

この度は、20周年、おめでとうございました!

延原武春という名指揮者のベートーヴェンを体感出来る幸せな機会に感謝すると共に、次回も楽しみにいたしております。


フィルハーモニア福岡さんの以前の記事は「クラシック演奏会/ジャズ・ライブ」の目次にて

第37回(ベートーヴェン交響曲2&5) 第36回(ブラームス交響曲2) 第35回(未完成&ザ・グレート) 第34回 (ベートーベン4&7) 第33回(メンデルスゾーン 宗教改革他) 第32回(シューマン交響曲2他) 第31回(メンデルスゾーン スコットランド他) 第30回(ブラームス 交響曲第4番他)


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