プロジェクト・リ!トレーン②20/02【マイ・フェイバリット・シングスの誤解】/北九州”ご無沙汰訪問”ツアー

先日、私が応援している直方谷尾美術館室内定期演奏会(注1)の事務局の飲み会があり、北九州へ。。。それに併せて、最近北九州で訪問することが出来ていなかったお店への”ご無沙汰訪問”ツアーを敢行したのですが、また思いも寄らない縁☆サーフィンにつながり、素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。

そのキーワードは、現在邁進中のプロジェクト・リ!トレーン

今回まず最初に訪問したJazz & Drink Hancock(ハンコック)さんで、「何かコルトレーンを聴かせてほしい」とマスターにお願いしたところ、かかったのは、同名の超有名アルバムに収録されている1曲目のマイ・フェイバリット・シングス。

そう告げておけば良かったのですが、実はこのマイ・フェイバリット・シングスは私の大の苦手。。。変化に富むライブ盤の演奏に比べ、あまりにも単調過ぎて聴き続けるのがしんどい、がその理由。

せっかくかけていただいたマスターには本当に申し訳なかったのですが、まともに聴かずにさっさと話題を次に移して、いつもどおり楽しい時間を過ごさせていただきました(注2)。

その後、小倉のジャズ・ストリート52さんを訪問したのですが(注3)、10回目の訪問にして初めてかかったコルトレーン。何というタイミングの良さ!押し出しの強い濃厚な音で響くコルトレーンに気分良く、この日は終了。 

そんな流れの中、翌日訪問したのは同じく小倉にあるオーディオ屋 オーディオ・ビギンさん

・コルトレーンは好きとか嫌いとかじゃない、スゴいとしか言えない

・コルトレーンはバラードとフリー(注4)

コルトレーンはお好きですか?と尋ねたところ、すぐに返ってきたこのマスターのお言葉にさすが!と感心したところまでは良かったのですが、その後に流れてきた前奏を聴いて、え?!

何とまた、あのマイ・フェイバリット・シングス。

さすがにここまで続くと、逃げるな!聴け!!というジャズの神様のお告げとしか思えず、腹を括って真正面からじっくり相対峙したのですが、あれっ???

この録音のサックスって、こんなに色彩が豊かだったっけ?全然、単調どころかいいじゃん?聴けるよ、これなら。。。と茫然自失。

音も音楽の大切な一部。

ということで、コルトレーンさん、これまで勘違いしていました。ごめんなさい。この音(注5)で聴いて、初めて貴方の演奏の真価を認識するに至りました。

ただ、大音量・いい音で聴かないと、とは言うものの。。。このアルバムに関してはあまりにも有名過ぎて、ジャズ・スポットでリクエストするには少し躊躇するのも事実。

等という話をその後、直方の事務局の方にしたところ、容赦なく見事なまでにバッサリ切り捨てられました。何で、躊躇するの?

そう、それは、初心者に見られたくないという見栄が邪魔するから。

いやいや、今回指摘されて気づきましたが、いつの間にか慢心していました。自分をありのままさらけ出すことが大切だとわかっているはずだったのに、気がつけばこの有様。小っちゃい!カッコ悪い!!苦笑

翌日、アクロス福岡でフィルハーモニア福岡の定期演奏会を聴いた後、今回のツアー最後のお店と決めていた鳥栖のコルトレーン・コルトレーンさんへ。

この老舗ジャズ喫茶で、堂々とマイ・フェイバリット・シングスをリクエストする!そう意を決して入店したのですが、その直後、えっ???

大音量で流れていたのは、マイ・フェイバリット・シングスのニューポート・ジャズ・フェスティバル’63でのライブ盤。

ただただ縁☆サーフィンのスゴさに驚き、呆れ、そして感謝しながら、力強く大暴れするコルトレーン、その初めて聴くライブ盤、鳴り響く凄演に、周りの目も気にせず没頭した次第です。

【おまけ】ちなみに今回の縁☆サーフィン、まだこれで終わった訳ではありませんでした。

マイ・フェイバリット・シングスがようやく終わり、その余韻に浸って珈琲に口をつけた途端、耳に飛び込んできた聴き覚えのある出だし。えっ?嘘っ???トランジッション?!

まさかこのタイミングで、このとてもハードで、最近私が一番聴き込んできたこのアルバムがかかるとは。。。

後でマスターにお聞きしたところ、「マイ・フェイバリット・シングスに気づいた時の(私の)気合の入った顔を見て決めた」のだとか。

1曲目トランジッションだけでなく、2曲目ディア・ロードでかわいいマッコイ・タイナーと甘くなり過ぎないコルトレーンが沁みたこの音響も含め、どうやら今回の縁☆サーフィンの最後の教えは「コルトレーンに取り組むのなら、もっとこのお店に来た方がいいよ!」だったようです。笑

今回のツアー中、私におつき合いくださいました皆様、どうもありがとうございました。

プロジェクト・リ!コルトレーン、まだまだ始まったばかりですので、引き続き、よろしくお願いいたします。

(注1)直方谷尾美術館室内定期演奏会は今年で10周年。記念冊子をどう作るのか、検討中なのですが、クラシックの室内楽のテンションの高さはジャズと極めて近く、次回3/7(土)の演奏会も楽しみにしています。

(注2) ハンコックのマスターは情報通。いつも色々なジャズ・スポットのこと等を教えていただくのですが、また今回一番興味深かったのは、オーディオ小物の音チェックをするのに元MEGの寺島靖国氏が使ったというこのCD。

いい音がするからとかけていただいたのですが、確かにスゴかった。。。ドラムの振動、その空気の震える様まで見えるようで、こんなCDまであるのだとビックリ。

雑誌に取り上げられていた上原ひろみさんを見つけたのですが、そこで昨年観戦して感動した話を聞いていただけたりするのも、有難い話。

更には昨年、プレオープンした大分・竹田の一粒万倍で鳴らし始めたパラゴンの話をしたりと、いつもながらあっという間に時間が過ぎ去りました。

(注3)ジャズ・ストリート52さんは常連さんで賑わい、マスターもお元気そう。この変わらぬ風景をいつもどおり黙って端の席で楽しむ。。。ここでしか味わえない気が引き締まる気分、大切な空間。

(注4)えー?フリーですか?と言った私に、このラスト・ライブの良さがわからないんだったら、エリック・ドルフィーとかオーネット・コールマンを聴き込んでから、もう一度聴き直してごらん、とアドバイスをいただきました。

(注5)今回の立役者は、このお店の旗艦スピーカーROSE。そのスゴさは以前から知っていたものの、改めて感心しました。

また、「レコードはタイム・カプセルなので、ちゃんとその時代に飛ばしてあげるのがオーディオの役目」とおっしゃり、この曲が録音された時代背景を語るマスターを見ながら、やっぱりこのお店にはジャズ喫茶を併設してほしい!と心から願った次第です。

※余談ですが、今回このお店を訪問してもう一つ驚いたのが、現在開発中のこのChloe(クロエ)。

エレクトロ・ボイスのユニット供給終了に伴い製作出来なくなったPLUTOの後継機種で、ポップス用のネットワークで聴かせていただきましたが、浮かび上がる音像・立体感と言い、エレキ・ギターのカッコ良さの表現力と言い、このスピーカーのサイズでは考えられない出来にほとほと感心。

これまでオーディオ・ビギン製品が持っていた音の方向性から初めて外れましたが、その特徴である「購入するだけで、努力することなく悩む必要もなく、高いレベルで音楽を楽しめるスピーカー」という理念にブレはないようです。


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九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑