【追記 23.3.31】いつ行っても、穏やかに包み込むような温かさで迎え入れてくださるマスターのいる50年超の老舗。
実に有難い存在ですが、私や多くの常連さん、更には、今でも遠くからわざわざマスターに電話をしてくる昔の常連さんがこれを証明しているように思います。
マスターはこの4月で傘寿のお祝い。
まだまだお元気なので、このままいつまでも頑張ってほしいお店です。
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【以下、2017/11の記事を転載、23.3.31一部改訂】
宮崎・高鍋にある喫茶モルゲンさんはジャズとは関係なく、クラシック専門のいわゆる名曲喫茶。
近くにあるジャズ喫茶Down beat(ダウンビート)のママに教えていただいたので、喜び勇んで来たものの、駐車場がわからずマスターに電話。。。わざわざ店の前まで出て来ていただき、教えていただいた近くの契約駐車場に駐車して、さぁ、いざ出陣!一体、どんなお店だろうと興味津々で入った店内にはそこはかとなく流れるクラシック。。。単にBGMがクラシックというだけの、昔ながらの普通の喫茶店?
テンションが一気に下がったものの、カウンターに座らせていただき、肌寒くなってきていたので、ホット珈琲を注文。
気を取り直して、マスターとおしゃべり開始。。。このお店の名前の由来(注1)等を伺いながら、流れているラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いていると、あれ?ボリュームは小さいながらも板張りの細長い部屋とマッチしたまろやかな音で、これはこれで悪くない。
店内を眺めて見ると。。。いやいや、普通の喫茶店等と失礼なことを疑ってしまい、申し訳ありませんでした。このお店のスピーカーは、前日、大分・佐伯のいとうさんで聴いたばかりのダイヤトーンの往年の銘機2S-305!しかも面白いことに、鳴らされている時間の違いでしょうか?開業以来45年間鳴り続けているこのお店の2S-305の方が年季の入った柔らかい音色でちょうどクラシック向きな感じ。
これもやっぱり縁だなぁ、今回も行くお店、行くお店で同じ機器に巡り会ったりするんだろうなぁ等とすっかりいい気分になって、お店の壁を見て歩いていると。。。
妙に惹きつけられた中国の風景画が。。。よくありそうでいてあまり見たことがないちょっと不思議な構図と確かな色使いやタッチが引っ掛かったのだと思いますが、お聞きしたところ、地元高鍋の道北昭介画伯の油絵。
ちなみに、このお店はこの画伯の休憩の場だったそうで、マスターとの親交も深かったとのこと。それなら、ということで、この画集を見せていただきましたが、画伯の専門は抽象画。。。
意味はよくわからないものの、色と形の組み合わせが好きな作品も何枚かあり、結構楽しんで見せていただきました。
あと、画伯は宮崎弁で言う「ひょうすん坊(カッパ)」の九州第一人者。全く知らない世界でしたが、世の中には河童連邦共和国なるものが存在し、全国でサミットが行われるのだそうです。そして、そうおっしゃるマスターの名刺にも「日向ひょうすん坊共和国」の文字が。。。笑
挙げ句に作られたこの作品は画伯の絵にマスターが言葉をつけられた力作。
そうこうお話をさせていただいている内に、この74歳のマスター、若山牧水がお好きだとか、他にも色んな趣味をお持ちだということがわかってきて、どんどん面白くなってきました。
まずは写真。。。何枚か見せていただきましたが、構図がとても印象に残る作品でした。
そして、磨崖仏。。。こう書いて、読めますか?私は全くその言葉を知りませんでした。笑
マガイブツと読みますが、よくTVの海外ロケ等でよく見る崖に彫られた仏様のこと。大分にはこの磨崖仏が多いそうで、よく長い距離を歩いて見に行かれては、そこで写真を撮ったり、何時間も見ながらぼぉ〜っと過ごされるとか。
この大分元町の薬師如来像の写真もマスターが撮られたものですが、この仏様のきれいなお顔には実に惹きつけられました。
また興味深かったのは、昭和52年、開店5年目34歳の若き日のマスター達が高鍋町公民館ホールにて開いたクラシック・レコード・コンサート(この写真は第3回なので、昭和54年)。写真を見せていただきながらそのお話を伺ったのですが、この町の仲間達と精一杯頑張っておられた当時の空気感が伝わってきて、何とも言えない感慨に耽りました。
楽しい時間は本当に早い。いつの間にか、来てから2時間を越えており、びっくり。
まだまだ長居したかったのですが、深夜までに宮崎市内に行かなければならなかったため、この日は残念ながらお暇することに。。。
すると、何と何と!マスターから道北画伯のひょうすん坊の「悦」というリトグラフ(注2)を頂戴してしまいました。同じ作品をもう1枚持っているからと。。。
あまりに突拍子もなく嬉しいことがあった場合も言葉が出なくなることを初めて知りました。。。文字通り、有難いこと。マスター、改めまして心から感謝申し上げます。
それにしても、先のDown beatさんと言い、このモルゲンさんと言い、こんな昔ながらのジャズ喫茶や名曲喫茶が未だに残っている高鍋という町は昭和の匂い・空気が色濃く残っている貴重な場所なのかもしれません。。。完全にハマってしまったので、また時間を作って、再訪します。
(注1)このお店の名前「モルゲン」はドイツ語で「朝」の意味。マスターは最初、串田孫一氏の山の随想に出ていた「モルゲンロート(朝焼け)」にしたかったそうですが、お父さんのアドバイスもあり、「モルゲン」だけに。。。洗剤モノゲンとの関連を聞かれたり、昼から開店するようになった時に「ヒルゲン」と揶揄されたりしたそうですが、いい名前だと思います。
(注2)後日、ひょうすん坊について調べていたら、見つけましたこの本、九州河童の会編「九州河童紀行」。世の中、色んな本があるんですね。。。
そして、発注する時は何も気づきませんでしたが、手元に届いてびっくり!
何か引っ掛かりませんか?そう、この表紙のカバーイラスト、何といただいたリトグラフの「悦」。。。道北画伯がこういうところに採用される絵であったことに、改めて感激。
また、この本には道北画伯も投稿されており、少しそのお人柄にも触れることが出来て良かったです。
あと、八代の方も多く投稿されているので、八代・ミックさんにこの本を持って行き、マスターにお聞きしたいとも思った次第です。
河童にまつわる縁・サーフィンもまだまだつながって行きそうで、楽しみです。【駐車場:有(わかりにくいので、電話でご確認ください)、喫煙:可】
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