山口葵 Swing in Strings vol.2【ジャズ・アルバム紹介③】

ジャズ・アルバム紹介の第3回は、山口葵さん(vo)のSwing in Strings vol.2です。

最近ますます活発にご活躍されておられる葵さん(親しみを込めて!)ですが、このアルバムは今年2018年3月11日に行われたライブ「Swing in Strings vol.2」からの7曲に、後日東京でスタジオ録音された3曲を追加したもの。

そのライブの模様は以前アップしたとおりで、その内容がいいことに驚きはありませんでしたが(笑)、録音がとてもライブとは思えないものだったのでビックリ!

少し言葉を補足します。「ライブ録音はどうあるべきか?」という質問に対し、「そのライブ会場にいるかのような臨場感を味わいたい」という答えと「ライブ会場で聴くよりいい音で聴きたい」という答えに大きく分かれるかと思いますが、今回の録音はまさに後者。それも相当優秀なスタジオ録音と変わらない出来栄えで、「葵さんが自宅に来てくれて自分のためだけに歌ってる!」と思えるほどです。笑

ということで、超優秀録音のこのアルバムの内容を当日のライブ等を思い出しながら紹介します。

1曲目は当日のライブの流れどおり、日本古謡「さくらさくら」をテーマとした弦楽四重奏。当日はこの雰囲気が出来上がったところで葵さんが颯爽と登場されましたが、このアルバムにおいてはその録音レベルの高さや方向性をここで明示している、といったところでしょうか。

2曲目の力強い前奏で始まる「MY FAVORITE THINGS」ではその世界を一気に葵さんの色に染めてしまったライブ当日を思い出しましたが、今年の1月、金澤英明さん(b)の「裏二重奏」ライブに飛び入り参加された葵さんが最初にご披露されたのもこの曲(下の写真)。

私がその世界に魅せられ、このライブ・チケットを購入しただけでなく、金澤さんにも見初められ(?)、それ以降、葵さんが金澤さん達とライブを行うキッカケとなった思い出深い歌でもあります。

ヴィブラフォンの伴奏も印象的な3曲目「THE LOOK OF LOVE」 に続く4曲目はライブ当日、私が一番感銘を受けた武満 徹の映画音楽「WALTZ〜他人の顔」。改めてこうやって聴き直してみても弦楽四重奏、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、そしてカホンをバックに歌う葵さんは妖しい魅力満載。

「震災を風化させたくない」という願いから東北大震災の起きた3月11日という日にこのライブを開催された葵さんですが、ライブ録音編最後となる5曲目「SUKIYAKI」から続く3曲はその想いを込めた熱唱ぶりが聴きもの。

以前、葵さんのことを「歌にその細やかで深い情感を込められる方。言葉を慈しみ、柔らかく温かい日本語の歌を紡ぎ出される方」と書きましたが、特に日本語で語りかけるように歌われた6曲目の「哀しみの終わりに」は、ライブで聴いた時よりそのメッセージが強く心に響きました。

7曲目「PEOPLE」は当日のアンコール曲でしたが、「Swing in Strings~弦楽カルテットで紡ぐJazz(下の写真)」や「Aoi Yamaguchi featuring Bill Mays&Friends」といった以前のアルバムにも収録されている葵さんの大切な作品で、人と人とのつながりの大切さを歌い上げて、ライブ録音編終了。

続く8曲目「OBLIVION(忘却)」、9曲目「鳥の歌」、10曲目「ROUND MIDNIGHT」の3曲は後日スタジオ録音されたものですが、豪華な伴奏陣に負けない葵さんの気合の入った濃厚な表現ぶりはこの素敵なアルバムの締めくくりにふさわしいもの。

ちなみにこのアルバムとはまた違った趣ですが、大口純一郎さんのピアノ伴奏による「OBLIVION」がYoutubeにアップされておりましたので、併せてどうぞ!

尚、このアルバムはオーディオ・マニア御用達の下記2誌でも取り上げられ、評論家の方にも好評のようでしたので、ご参考まで。

・Audio Accessory 2018 winter号(音元出版)

・Stereo12月号(音楽の友社)

山口葵 Swing in Strings vol.2

[メンバー] 

01-07[2018年3月11日 スカラエスパシオ 福岡 コンサート・ライブ録音]山口 葵(Vo)、塚本 美樹(p)、丹羽 肇(b)、伊藤 公了(ds)、松本 さくら(vln)、中村 弾(vln)、森下 香蘭(va)、永野 紗佑里(vc)、香取 良彦(弦楽アレンジ)

08-10[2018年8月23日,24日@池袋 / Studio DeDe スタジオ録音]山口 葵(Vo)、フェビアン・レザ・パネ(p)、川村 竜(b)、野沢 宏信(ds)、真部 裕/石橋尚子(Vn)、渡部 安見子(Va)、四家 卯大(Vc)、香取 良彦(vib)

[収録曲] 01.Opening - さくら(日本古謡)Instrumental、02.MY FAVORITE THINGS (R.Rogers)、03.THE LOOK OF LOVE (B.Bacharach)、04.WALTZ(武満 徹)from「他人の顔」、05.SUKIYAKI(中村八大)、06.哀しみの終わりに(M.Delpech)、07.PEOPLE (J.Styne) from ‘Funny Girl’、08.OBLIVION (A.Piazzola)、09.鳥の歌(カタルニア民謡)、10.'ROUND MIDNIGHT (T.MONK)

[発売日] 2018年12月21日

[その他] 葵さんのFBによれば「サイン入りはこちらの公式オンラインストアか、ライブのみでご購入頂けます。アマゾンなどでは12.21発売ですが、予約可能です!」とのことです。


汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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