山口葵ライブ「Swing in Strings vol.2」@スカラエスパシオ 18/03

本日、山口葵さんのライブ「Swing in Strings vol.2(注1)」に行ってきましたが、まさに「山口葵の世界」。。。歌も当然そうですが、音楽・プライヴェート問わずこれまで培ってこられた交友関係も含めた彼女の生き様そのもの。すっかり魅せられてしまいました。

以降、敬愛の念を込めて葵さんと呼ばせていただきますが、思い返せば今年の1月、佐賀・シネマテークさんでの金澤英明さん(B)石井彰さん(p)のライブに飛び入り演奏された葵さん。その歌にノックアウトされたご縁で今回、このライブに行ったのですが。。。まず何に驚いたと言って、天神南にあるスカラエスパシオという300人以上入る広い会場が満員御礼!ジャズ・シンガーのソロ・ライブでこれだけ集客されるなんて、本当にスゴいこと。(注3)

それを今回、やってのけた葵さんは、素直でとてもきれいな声と多彩なテクニックの持ち主。うまく表現出来ないので単純に書いてしまいますが、飛び抜けて歌が上手い方。でも、世界中で才能が溢れているこの時代、歌が上手い方は何人もいらっしゃいます。その中で彼女を特徴づけているもの、それは、良くも悪くも大人の日本女性であること、でしょうか?

歌にその細やかで深い情感を込められる方。言葉を慈しみ、柔らかく温かい日本語の歌を紡ぎ出される方。 震災に遭われた方々への強い想いが歌に滲み出る方。。。色んな側面をお持ちですが、どれも全て、葵さん。実に素敵な大人の日本女性。まだ私の知らない面もたくさんお持ちだと思いますが、その魅力の程は、東京・愛知等、わざわざ遠方から多くの方々がいらっしゃっていたことからもわかります。

さて、日本古謡「さくらさくら」をテーマとした弦楽四重奏から始まった今回のライブ。。。日本古謡=日本を意識させた後、真紅の落ち着いた感じのドレスで葵さんが登場。そしてMy Favorite Thingsで満場の客をあっさり捉まえ、2曲目はオリヴァー・ネルソン のStolen Moments。この曲はシネマテークさんで購入した彼女のCD「Swing in Strings~弦楽カルテットで紡ぐJazz」にも入っていた曲で、大宰府のドルフィーズのマスターが絶賛されたナンバーでもありますが、弦楽四重奏の巧みな演奏をバックに一気に築き上げられたジャジーな世界感。

そして弦楽四重奏のメンバーが退場された後、ヴィブラフォンがメインのバックにしみじみとセロニアス・モンクのRound Midnightを歌い上げられたかと思えば、次は早春賦から朧月夜と古き良き日本の風情を歌いながらステージを降り客席を回られ、時には握手までされたりして。。。ちなみにこの日のお客さんの平均年齢は恐らく60歳超。この演歌歌手顔負けの演出には、きっと私以上にご満足されたことと思います。笑

その後はまたジャジーにWillow Weep For Me、What's Going Onと続けられ、1stステージ終了。変幻自在のセットリスト(曲の選択と演奏順)と伴奏形態を変える演出で、客を全く飽きさせず翻弄し続けた葵さん、お見事でした。

後半はスタンダード・ジャズをメインに進められた前半とは違って、「バラエティ豊かな音楽鍋」とパンフレットでご紹介されておられたとおり、様々なジャンルに富んだセットリスト。但し、「3.11」というこの日だからこそ、という統一性はあって、「震災を風化させたくない(注4)」という彼女の強い想いが込められたステージ。

「花は咲く」という東北地方太平洋沖地震の被災者支援のために書かれたチャリティーソングのインストゥルメンタルから始まり、真っ黒なドレスに着替えた彼女が歌った最初の曲、とても印象的な武満徹の映画音楽「WALTZ〜他人の顔」。。。これが私にとって、この日の白眉。弦楽四重奏、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、そしてカホンをバックに妖しい魅力を放つ葵さん。ゾクゾクしました。素晴しかった!

そして一転してサプライズ、美空ひばりの車屋さん。桜の花びらが舞った扇子と衣装で歌い踊られ、会場を艷やかに魅了。その後、上を向いて歩こう(英語)、悲しみの終わりに、鳥の歌とメッセージ性の強い歌を祈るように語りかけるように歌った彼女。その想いの深さが伝わり、感動的ですらありました。

最後の曲とアンコールは先に挙げたCD「Swing in Strings~弦楽カルテットで紡ぐJazz」から明るく軽快なLover,Come Back To Me、葵さんの特にお気に入りの曲?(注5) PEOPLE、マレーシア元首相もお気に入りという中村八大さんの黄昏のビギンの3曲。きっちり締めくくられ、大きな拍手と共に終了。

あっという間の2時間強でしたが大満足でしたので、また1枚、CDを買ってしまいました。

その「Aoi Yamaguchi featuring Bill Mays&Friends」を聴きながらこの記事を書いていますが、このCD、バックも充実した全面的にジャズで、売り子をやられていたお姉さんのオススメに従って良かったと感謝している次第です。

ところで余談ですが、この日、驚いたことがもう一つ。。。スタッフをやっておられた方の中に、ジャズ・ボーカリストの轟かおりさん(上の写真の左、右は葵さん@太宰府・ドルフィーズさん)もいらっしゃって、お客さんの入場整理に大わらわ。どうもお疲れ様でした。今度のライブ、楽しみにしていますね!

(注1)メンバー:山口葵(vo)塚本美樹(p)丹羽肇(b)伊藤公了(dr)松本さくら(Vn)森下香蘭(vla)中西弾(Vn)香取良彦(vib)(注2)

(注2)ヴィブラフォンを演奏され、また今回のアレンジも担当されたとおっしゃる香取良彦さんは昔、NHK教育で山下洋輔さんがメインでやっておられた画期的番組「ジャズの掟」のカトリヤン教授!知る人ぞ知るで恐縮ですが、その番組を見ていた私としてはちょっと興奮してしまいました。

(注3)最終的なお客さんの数は何と、370人!葵さんはFM等のメディアで宣伝されただけでなく、ライブハウス等への飛び込み営業?歌を披露→チケット販売というドサ回り的なことまでされたとか。。。しかしよくよく考えたら、私自身、その中であっさり釣られた一人でした。

(注4)葵さんはJIM-NETという団体の理事 佐藤真紀さんとご懇意になさっておられるそうで、1stステージの終わりにその支援活動の一環であるこの「チョコ募金」のご案内をされたのですが、その後の休憩時間にあっという間に完売。喫煙ルームに行っていた私は完全に出遅れ、購入出来ませんでした。残念。

(注5)このBob MerrillのPEOPLEは、アレンジは違うものの私の購入した2枚のCD「Swing in Strings~弦楽カルテットで紡ぐJazz」、「Aoi Yamaguchi featuring Bill Mays&Friends」のどちらにも入っていること、歌詞が人と人とのつながりの大切さをテーマとしており、葵さんの想いと一致していると思われること、そして何より、その思い入れたっぷりの歌いっぷりから、そう勝手に判断しました。笑


「クラシック演奏会/ジャズ・ライブ」の目次へ戻る

九州のジャズ・バー/喫茶のご紹介」ページへ戻る

汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

0コメント

  • 1000 / 1000