【紹介:あーでん劇場・20/10閉館】大分・由布院 Living Cafe あーでん

大分・由布院のLiving Cafe あーでんさんのご営業日は残すところ、この週末、10/31土曜日のみ。

昨年末にご閉店のお知らせを出されて以来、色んな方が立候補なさったようですが、ママの御眼鏡に適う方が現れ、このお店の建屋と銘スピーカー JBLパラゴンを引き取られることになった(注1)ことから、惜しまれつつもご予定どおりこの10月末で23年の歴史に幕を降すことにされたこのお店。

これは以前2階席から撮った俯瞰写真※ですが、Living Cafeという看板どおりご自宅の居間を解放されたかのようなこのお店に癒しを求めてご来店された方も多かったはず。

※暗くてよく見えませんが、奥の両端にでん!と鎮座していた私の憧れのスピーカー タンノイRHR。。。懐かしい。

ママ特製こだわりのカレーライス。

甘酸っぱい付け合わせも好きでした。

いつもホッと落ち着く美味しい珈琲。

これがもう食べれないのかと思うと残念で仕方のないアップルパイ。

そして、音楽。。。私が最初にこのお店を訪問した時の印象は、癒される空間、緩やかに流れる時間をご演出されるための軽やかさ、伸びやかさが身上。

近くに住んでいたら、あの居心地の良い空間を求めて、常連になっていたことは間違いありません。

ところが、その音質については色々な毀誉褒貶があったとのこと。

私としてはお店の看板にジャズやオーディオ等という謳い文句もないのだからと思うのですが、ママは一見おとなしく我慢強そうに見えるものの、実は根っからの負けず嫌い。

音作りにも随分ご腐心されたようで、いつの間にか「その音楽を聴きに行きたいお店」になっていました。(注2)

温かい常連さんに恵まれたこのお店。

個人的にもとても思い出深いこのお店。

2020年10月31日土曜日。あーでん・ファイナル。

残念ながら私は訪問出来ませんが、ママと多くの方々の素敵な想いで溢れる一日になりますことを心から祈念いたしております。

【駐車場:有、喫煙:不可】

(注1)このお店の建屋と銘スピーカー JBLパラゴンはまた新たなお店として再出発することになるそうです。

マスターがどんな方なのか?どんな方向性を打ち出されるのか?また情報が入り次第、報告いたしますので、乞うご期待。

(注2)私が今回訪問したのは、ママとゆっくりお話の出来る最終日前の平日。

前回このお店に来たのは、コロナ自粛前の2月。あの時も音が進化していると感心しましたが、またあの時から音の趣きが変わっていて、びっくり。

ママの積み重ねてこられた23年間の集大成(注3)。

音質について思い悩まれ、体調を崩されたことまであったそうですが、最終的に辿り着かれたのは神々しいまでの美しい響き(※1)、躍動感のある生々しいボーカル(※2)、その音楽を聴きに行きたいと思わせてくれたお店。

パラゴンやそれを駆動するマークレビンソンといった機器の性能・相性の良さ。

そして、このお店ならではのスピーカー側から放射線上の伸びる高い天井、ほぼ四半世紀かけて鳴りが良くなってきたと思われる天井の米松、部屋全体の響きの良さ。

それらの相乗効果でしょうか?

それほど音が大きい訳でもないのに過不足なく聴ける、他のどこに行っても聴くことが出来ないあーでんさんならではの音楽、ママならではのレコード演奏。

この言葉のとおり、ママを映したこのお店の音楽。

心ゆくまで堪能させていただきました。

※1 この日お店に入った時にかかっていたのは、ママが最近ご愛聴しておられるというクルト・ザンテルリンクがミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したこのアルバム。

趣味のいいアルバムを聴かれるんだなぁ等と感心して聴いていたものの、その清冽な美しさに思わず惹き込まれ、没入してしまったバッハのヴァイオリン協奏曲。更に魅せられたのが、続いて演奏されたブラームスの交響曲第4番。その第2楽章の美しさたるやまさに天上的。

少し肌寒くなった秋の夕暮れ。温かく穏やかに緩やかに過ぎ行く極上の時間に胸がいっぱいになってしまいました。

尚、このアルバムはこのお店の常連さんからの贈呈品。

実にいい音楽の聴き手であることを偲ばせると同時にママへの優しさの滲み出た解説付きで、このお店での温かい交流ぶりの一端を垣間見たような気になりました。

※2 ママが最近よく聴いておられるジャズが聴きたいとのリクエストに応えていただいたのが、このアルバム。 

お客さんに教えてもらって買ったという若い実力派シンガー ヘイリー・ロレンのライブ盤。

パラゴン前の通称王様の席からカウンターに席を移動し、時折ママのお話を伺いながらこの気持ちのいいアルバムを聴かせていただきましたが、特にお気に入りだというアカペラのハイ・ヒール・ブルースのカッコ良かったこと。。。この生々しく浮かび上がったボーカルとママの楽しそうな表情がこの日の白眉でした。

(注3)ママが積み重ねてこられた年月。。。東京で写真現像のお店を営んでおられたというママ。今回初めて知ったのですが、このお店に飾られた数々の写真はママの作品でした。

20代後半で地元に戻られ、JR由布院駅前で喫茶店をご開業。3年経過した段階で満を持してこの地に建屋を新築し、お店を始められたのが23年前。

ママの叔父様は大分では有名な中古オーディオ・ショップのオーナーで、あれこれ相談しながら家作り、お店作りをされたそうですが、その新規オープンの際、お店に置かれたスピーカーが英タンノイの銘スピーカー アーデン,。このお店の名前の由来です。

2年半後にその叔父様が急死。叔父様のパラゴンを譲り受けられ、その二代目オーナーとなられたのですが、それがママの御苦労の始まりだったかもしれません。

当初ママの目指しておられたLiving Cafe。音にも十分こだわった音楽を流すとは言ったものの、それはあくまで一要素だったはず。ところが、由布院という九州でも有数の観光地に唯一無二の人気スピーカーを置いたことで、状況は一変。全国各地からわざわざお越しになられるお客さんの興味の大半は、当然ながら音。

そんな状況の中、ツッパリ続け、走り続けた約20年。もちろん経営的な面を考えると、良くも悪くもだったとは思いますが、そんなお客さんとの勝負はその時一回限り。しかも突然の来店が当たり前。その緊張感・重圧は半端なかったのではないかと推察します。

今回ママが、閉店を決断した理由としておっしゃった「もうカッコいいことが出来ない歳になってきたから」とのお言葉も素直に受け止めてしまった次第です。

ただ、今回喫茶店部門はご閉店されるものの、このお店の自家焙煎珈琲を卸しているお客さんもおられるとのことで、再びJR由布院駅前に戻って、珈琲豆屋あーでんをご開業されるとのこと!

意外な展開に少し驚きましたが、今後もこの美味しい珈琲が飲むことが出来るようで良かったです。

【追記~BGMはこの名盤よりシネマ・パラダイスで~】

ママへ

23年間、どうもお疲れ様でした。

もう今から7年程前になりますが、通い始めた福岡・JABさんで田代俊一郎さんの名著「九州ジャズロード」を知り、ジャズ・スポット巡りとして初めて訪問したお店が貴店でした。

ちょうど仕事で近辺に出張があったことが直接のキッカケですが、やはりパラゴンとタンノイRHRを置いているお店が気になったのは事実です。

ママもややこしいオーディオ・マニアが来たのでは?!と構えておられたと思いますが、それ以上に気負っていたのは私自身。

今回の訪問ではあの頃の感覚が鮮明に蘇り、妙に甘酸っぱい懐かしさも感じておりました。

親しくお話をさせていただけるようになったのが今年に入ってからだったことや、楽しみにしていたイベントがコロナ自粛で延期となったままで開催されなかったこともとても残念でしたが、せっかくのご縁です。

また何かの機会を作ってお話させていただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑