福岡 大宰府・Jazz工房Nishimura(ニシムラ)さん。
西鉄二日市駅東口から徒歩三分、坂を少し登った東側高台の住宅街の中にあるこの店は、現在代替わりの最中。
通常営業はマスターの息子がチーフ・バーテンダーとして切り盛りしておられますが、常連客は既に攻略済み。更にはジャズに拘らない若い感性を武器に新たな客層を切り拓こうと奮闘中です。
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【以下、2017/09の記事を転載】
ドルフィーズさんに続いて大宰府詣でで、今回はJazz工房Nishimuraさん。
こちらも2年前に訪れたのですが、ちょうど日本酒の利き酒イベントの日であえなく退散。二度目の訪問となりますが、駐車場がお店の前に1台だけしか置けないので、西鉄二日市駅前のイオンの駐車場に車を停めて、坂を少し登った住宅街の中にあるお店へ。。。
以前、このお店に入った時も音響の良さそうな空間だと思っていたのですが、今回、じっくり聴かせていただいて、本気で驚きました。
コンサート・ホールのように広がるように高い天井、その高さに見合った適度に広いフロアの奥にある凝りに凝ったアルテックの強力なスピーカー群。
このお店の基本的な音源はCDなので、無理を言って持ち込んだデヴィッド・マレイの「LOVERS」のCDをかけていただいたのですが、このSAXカルテットの音源がものの見事にハマり、その再現性は抜群!ピアノやドラム、コントラバスがそこに置いてあるのですが、まさにそれがそこで響いている錯覚に陥るぐらい。。。
そして特に素晴らしかったのが、即興で演奏が盛り上がり、テーマに戻る手前でふと訪れる無音の瞬間。音響のいいコンサート・ホールで聴いている時にしか味わいにくい、ゾクゾクと鳥肌が立つようなあの静寂、空気感。。。素晴らしかったですし、この1曲で十分満足してしまいました。笑
それにしても、驚きました。
演奏家の素晴らしい演奏によって、ホールにいる1,500人の客が身じろぎも出来ず、引きづり込まれる静寂、ホールに立ち昇って消えていく音の余韻(注)、これらを味わえる幸せはクラシックの醍醐味の一つですので、このようなコンサート・ホールみたいな音響再生を狙うのは、クラシック愛好家なら王道だと思います。でもまさか、そんな感動がジャズ・バーで味わえるだなんて?!です。
しかも、マスターはクラシックをお聴きにならないのに、このような音が好みだとおっしゃるので、完全に頭が混乱。不思議。
ジャズの情熱とかリズム等を表現するのに、音はもっと前に飛んでくるような方がいいと思っていましたし、それがジャズ・オーディオの王道だと思っていました。
でも、マスター曰く「その録音がちゃんとそう録られていたら、ちゃんとそう聴こえる」
これは、同じくアルテックのスピーカーを鳴らされておられる長崎 波佐見のDougのマスターがおっしゃったことと意味は同じものの、向かっている方向性は全く逆だと思うのですが。。。いや、違うのかな?その先にあるものは同じ、ということかもしれません。
それにしても、本当に興味深い経験をさせていただきました。
部屋の空間が似ている大分のあーでんさんは、空気感の素晴らしさは同じですが鳴っている音の圧力が全然違うので、全然違う音楽が鳴っていますし、南阿蘇のウッドサイド・ベイシーさんで聴かせていただいた静寂も素晴らしかったですが、ここのふわっと匂い立つような、それこそホールで聴けるような静寂ともまたちょっと違う。
「いいシステムはジャンルを問わない」とおっしゃるお店が揃ってアルテックを起用されていることも意味がありそうですし、本当にオーディオは奥が深い。。。
ちなみにこのお店のHPで、マスターご自作のパワーアンプやアルテックのスピーカー等のシステム詳細やお店に飾っておられるスペインの画家J.Torrents Liadoの絵等を見ることが出来ますので、ご参考まで。
最後に、また一つ残念なことが。。。
このお店でもライブをされておられるのですが、録音までは手が回らず、されていないとのこと。このお店でも無理ということならば、生録を聴かせていただこう!という試みは、実はハードルが高いことなのかもしれません。苦笑
尚、次回のライブに来させていただこうと思ったのですが、都合が合わず残念。
あと、クラシックも聴けると教えていただいた鳥栖の音楽小屋さんにも行ってみます。どうもありがとうございました。
(注)だから、クラシックの演奏会で、感動的に静かに終わった曲の後、すぐに拍手する人(指揮者が棒を下ろす前なら言語道断!笑)を嫌います。音がなくなってからの余韻が至福の一時ですし、本当に感動している時はすぐに反応出来ません。。。例えば、こんなコンサートを聴いた時、周りが拍手し始めてもすぐには動けなかったりします。
【駐車場:1台、喫煙:不可】
※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第③号( ↓ )」にも掲載されておりますので、よろしくお願いいたします。
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