西田千穂(vo)&奥村和彦(p)DUO@熊本・おくら18/09


熊本・おくらさんで行われた西田千穂(vo)奥村和彦(p)DUOに行ってきました。

三連休の最終日の20時スタートという悪条件も重なり、定刻になってもほとんどお客さんが集まらず、「もしかしてこれはヤバいかも!?」と妙にドキドキしてしまいました。

というのも、千穂さん(親しみを込めてこう呼ばせていただきます)は、先日の鹿児島ジャズ2018八代・ファーストのマスターの縁でたまたま知り合った気さくで気遣いの出来る素敵な女性であり、Gelia Zillha(ギラ・ジルカ)さん(vo)等のステージを真剣に観戦するその姿から真っ向からジャズに取り組んでおられる姿勢が感じられ、とても印象が良かった方ですが、歌手としての実力は全く別物、全く不明。

ピアノの奥村さんが評判のいい方なので「まぁ、大丈夫だろう」と思いつつも、「いざとなったら、1stステージだけで失礼したらいいや」と軽い気持ちで来たのですが。。。さすがにこの人数では、途中で抜けれない?!笑

ということで、祈るような気分でライブがスタート。

奥村さんのピアノ・ソロがジャズ・ライブらしいいい雰囲気を演出、出だしは上々。そして2曲目、シックな黒い服を着た千穂さんが登場。。。そして歌い始めた瞬間、しみじみ思いました。「あぁ、良かった!」

そう、結局 勝手に一人でヤキモキしていただけなのですが、それにしても千穂さんの話し声とは全く違う歌声が魅力的でびっくり。しかも、このおくらさんという比較的小さなハコだから出来ることとは言え、マイクから少し離れた位置から歌い始めて効果的に地声を聴かせる等、ステージ度胸も立派なもの。

全曲にわたって気持ち良く聴かせてもらいましたが、中でも、千穂さんがとても好きだとおっしゃって始められたガーシュインの「Embraceable You」は、少し肌寒くなり出したこの時期にぴったりのしみじみ聴かせる佳演。

ハスキー・ヴォイスで憂いを帯びた中低域が大人びた欧米人シンガーのような艶っぽさを醸し出す一方、丁寧に想いを込め、響きを大切にする日本人らしい細やかさもいい感じで混じり合った千穂さんのバラード、私はとても好感が持てました。

そしてこの日の白眉は、前日にこのお二人がご出演された鹿児島・MBCラジオ「スマイリー園田のライブ・アライブ」という番組で歌ってやはり評判になったという「Stand By Me」。

この曲をラブソングとして解釈し、ゴスペル風にゆったり聴かせるというアレンジは「奥村マジック」ということでしたが、千穂さんの曲想にぴったり合った素敵な歌声で披露されると説得力抜群。とても印象深く、ちょっと忘れられない逸品でした。

千穂さん、次にCDを出す時は絶対に入れてくださいね!

今回、奥村さんのピアノを初めて聴かせていただきましたが(注)、その大きな体から楽々と繰り出される暗く重量感のある音は女性ピアニストにはなかなか出し得ないもの。

この日はその音色をメインに温かく千穂さんをサポートされておられましたが、ピアノと歌の同系色の響きがとても気持ちの良いDUOだと思った次第です。

また、初めて聴かせていただき、とてもいい時間を過ごさせていただいた千穂さんですが、もしかすると大きく飛躍する前のまだ潜在能力を秘めた状態の歌姫かも?というワクワク感を抱かせていただきました。

今回は季節に合わせた「バラードの夕べ」でその魅力の一部しか堪能することが出来ませんでしたが、他にどんな歌の引き出しをお持ちなのか聴いてみたい、更には見る角度によって大きくイメージの変わるこの美人さんが他の曲ではどんな表情、身振り手振り等で表現されるのか、もっとそのステージに魅せられたいと強く期待させられましたので。

ということで、また次回を楽しみにしています!

(注)実は奥村さんのピアノは先日宮崎・都城で行われた堀内誠さん(ds)の「棒切れもって40年 はえもんじゃ祭り!」にてお聴きしていたはずなのですが。。。あのライブはピアノがエレピで聴こえにくく、場内満席、かつ、ピアノから遠い席でピアニストも見えず、と全く印象に残っておらず、やっぱり今回が初めてと書かざるを得ません。ごめんなさい。

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑