藤山E.T.英一郎  E.T.session Vol:1【ジャズ・アルバム紹介②】

ジャズ・アルバム紹介の第2回は、先日のKURUME JAZZ Interaction 2018で入手し、サインしていただいた藤山E.T.英一郎さん(ds)のE.T.session Vol:1。

今回のアルバムのタイトルにも使われている「E.T.session」とは、E.T.さんがリーダーで行うライブのタイトル。その予定調和を良しとしない姿勢から、時にどう展開するのか納めるのか、ハラハラドキドキ出来る全力投球の演奏はまさにジャズ。

私は昨年末、門司港・六曜館のマスターに教えていただいたのですが、それ以来、完全にハマってしまい、そのいくつかは記事としてアップしてきたとおりです。

そのE.T.さんが仲間達と満を持して出す今回のアルバム。。。他に同じような楽しみを味わえるアルバムもないことから、発売される前からとても楽しみにしていました。

それでは早速、アルバム紹介に移ります。

このアルバムはスタジオ録音であり、現実のライブではあり得ないような編成で演奏(注1)されていたりもしますが、私のおススメはE.T.sessionのライブそのものだと思って聴くこと。というのも、そのライブはまさにこんな感じなので、この紹介もその流れで進めていきます。

尚、ここで使っている写真は今まで聴いてきたE.T.sessionのもの(注2)で、今回のメンバーである西尾健一さん(tp)、浦ヒロノリさん(sax)、小森陽子さん(org、以下親しみを込めて、こもちゃん)達との演奏ですので、ライブはこんなイメージかな?と思いながら見ていただけると幸いです。

まずワクワクするような軽やかでカッコいい出だしの1曲目First Lightは、途中のチャッ、チャッ、チャッ、チャッというリズムでお馴染みのライブでも定番の曲。

軽快で切れの良いリズム・セクションとオルガンに支えられ、カッコ良く決めるホーン、ギターが聴きどころの一つで、この後に期待感を抱かせる1曲。

裏技的な聴き方ですが、こもちゃんのオルガンの音を中心に聴くとまたとても気持ちのいい曲でもあります。

打って変わってゆったりとした夕暮れの北海道を思わせる進行の2曲目は、E.T.さんの師匠 日野元彦さんの名曲Ryuhyo。

ライブでも取り上げられますが、今回は迫力で押さず、西尾さんのトランペット、浦さんのソプラノ・サックス、荻原亮さんのギターの魅力を前面に押し出した演奏で、聴けば聴くほど味わい深い1曲。

1st.ステージ中盤から終盤に当たる3曲目と4曲目はE.T.さんのメロディアスな曲で、西尾さんのフリューゲル・ホーンと浦さんのサックスでリードするTOKO DOCO、2台のオルガン、エレキ・ギター、エレキ・ベースの絡みに着目して聴いても楽しいBlue Heart。

これらをしっとりじっくり聴かせた後、1st.ステージ最後の曲となる5曲目、E.T.さんの代名詞とも言うべきAnimal Walk。

私にとっては初めて聴いたE.T.sessionの最後の曲で思い出深くもあり、この曲自体、どんな編成であっても熱い演奏になること必至の名曲なのですが、今回はスペシャル編成の豪華な演奏(注1)。大きく盛り上がって、1st.ステージ終了。

2ndステージ最初の曲となる6曲目は、E.T.さんのロマンチックな名曲Natural Stone。

その豪快さが売り物だと言われることの多いE.T.さんですが、こうやってアルバムで聴くとその繊細さがよくわかります。また西尾さんのトランペットと浦さんのサックスの優しい掛け合いが気持ちいい1曲でもあります。

7曲目から9曲目にかけてのライブ終盤は世界が変わり過ぎて、もう振り回されっ放し。

まず7曲目はセネガルの有名なバンドToure KundaのDaker To Ziguinchorという曲ですが、前曲Natural Stoneに気持ち良く酔っていた脳は完全に叩き起こされ、E.T.さんが傾倒しているアフリカ音楽の世界に見事に連れ去られます。

そして次の8曲目Stevie WanderさんのOver Joyedは、アフリカのリズムが気持ち良くなった脳をまた無理やり元の世界に引き戻す強烈な演奏。メリハリを利かせたリズミックでスピーディーな序奏/エンディングとスローで甘いメロディー。。。本当に強引極まりないやり方ですが、そのお陰で、ライブ最後の曲を受け入れる準備が出来ます。笑

9曲目、ライブ最後の曲はE.T.さんのセンスの良さに感心したTaken Away。ジャズ的魅力満載のしっかり聴かせる曲で、通奏低音的に鳴らされている内田壮志さんのエレキ・ベースの上で各プレイヤーがそれぞれの魅せ場をクールに決めて、フィニッシュ。

そしてアンコールは、本編最後の10曲目、こもちゃんのE.T.B.(E.T.ブルース)。

今年初めのニューコンボのアンコール曲でもあり、その時の説明によれば、こもちゃんが何かに苦しんでいるE.T.さんを見ながらブルースを書いたら「出来ちゃった」のだとか。。。タイトルとは裏腹に何故かやけに明るく楽しい曲で、全員のノリのいい演奏にあっという間にライブ終了!

ということで、他のどこでも味わえないE.T.sessionの世界が初めてアルバムになったこの1枚。録音もとてもいいので、その迫力を味わい尽くすためにも、細かい音も聴き取るためにも、大音量で聴いた方がいい一枚でもあります。

尚、11曲目にボーナストラックとしてW杯セネガル応援ソングが入っていますが、7曲目のDaker To Ziguinchorをアレンジしたもので、これもまた楽しい一曲です。


藤山E.T.英一郎  E.T.session Vol:1

[メンバー] 藤山E.T.英一郎(ds,per)、西尾健一(tp)、浦ヒロノリ(sax)、荻原亮(g)、小森陽子(p,org)、内田壮志(eb)、Special Guest: Latyr Sy(vo,per) 、Wagane Ndiaye Rose(per)、日野'JINO'賢二(eb)、宮川純(org)

[収録曲] 1.First Light(Freddie Hubbard)、2.Ryuhyo(日野元彦)、3.TOKO DOCO(藤山英一郎)、4.Blue Heart(藤山英一郎)、5.Animal Walk(藤山英一郎)、6.Natural Stone(藤山英一郎)、7.Daker To Ziguinchor(Toure Kunda)、8.Over Joyed(Stevie Wander)、9.Taken Away(藤山英一郎)、10.E.T.B.(小森陽子)、11.Senegal(Toure Kunda)

[発売日] 18/7/30

[その他] 発売に至る経緯・購入方法については、下記フェースブックをご参照ください。

(注1)現実のライブではあり得ないような編成。。。特に5曲目のAnimal Walkが顕著ですが、Special Guestも全員入った14人編成、かつ、E.T.さんがドラムにサバールにパーカッション等を叩き、西尾さんがトランペットとフリューゲル・ホーン、浦さんは4本のサックスを吹く等、実際の音は何人編成なのか、録音マジックでよくわかりません。笑


(注2)E.T.sessionのこれまでの記事

★藤山"E.T."英一郎&小森陽子DUO@六曜館GIG 17/12:紹介

★E.T.SESSION feat.西尾健一@ニューコンボ 18/01:紹介

★E2+徳永英彰(g)@門司港・六曜館GIG 18/06:紹介

★MAYUMI&E-Threeライブ@熊本・酔ing 18/07:紹介


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九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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