【宮崎・FAR CRY特別編】マスター みやおさんのお別れ会 23/03

とある夏、宮崎・FAR CRYさんを訪問した時のこと。

マスターのみやおさんが言いました。



この間、窓や入口の戸を開けながら、カウンターで作業してたんだけどさ。

何だか生温い風が入るなぁと思ってたら、どこかから小さい声で俺を呼ぶ声がしたの。

みやお~、って。

びっくりして、その辺りを見回したけど、誰もいない。

空耳だったかな?と思って作業に戻ったら、また呼ぶ声が聞こえる!


あっちこっち、見てみたものの、誰もいない。。。

そして、書斎の奥の暗がりの中。

ようやく見つけたのは、小さな黒猫だったとか。。。



それがいつの間にやらお店の置物になって、ずっとみやおさんと一緒にいたのは知る人ぞ知る話。

そして、「みやおさんのお別れ会」で私と目が合ったと思ったら、そのままうちにやって来て、早数週間。

ずっと前からいたかのように馴染んでしまったこの小さな黒猫。

その名は、みやぉ。



ちなみに。。。もうお気づきのこととは思いますが、本日4月1日はエイプリルフール。

毎年、同じ様なことを書いておりますが、以上の記事を信じるか信じないかも貴方次第ですので、為念。



さて、ここからは、3/17(日)に行われた「みやおさんのお別れ会」初日のご報告。



この会の発起人は、みやおさんの遺言執行人にして、古くからの常連の弁護士さん。

実行委員会は、弁護士さんの「遺言には書かれていないのでやる必要はない会だけど、心情的にどうしてもやりたい」との熱い思いにご賛同されたコアな常連さん達が結集して発足。



そして、この会が開催されたのですが、遠くから参加する身としては不安がいっぱい。

そもそもこのお店は、みやおさんとの1対1のつながりが深過ぎる余り、横への広がりが比較的薄いのが、その特徴。



というのも、みやおさんの守備範囲がともかく無茶苦茶広かった。

ジャズ、落語、映画、小説までならよくある話ですが、声明、焼き物、サイクリング等々、脈絡もないそのどこかに魅力を感じた人がその話がしたくて常連になっていく、といった風情のお店。

うちの客でジャズを聴くのは3人しかいない、と言われ、驚かされたのも懐かしい。



てんでバラバラで収拾のつかない集いになり、この会を開催していただいた実行委員会の皆さんが更にご苦労され、「だから、何もしなくていい、と言っただろう」とみやおさんに呆れられるのでは?

これが私の心配でした。



ところが、案ずるより生むが易しとはよく言ったもの。

見たことがないぐらいの満員御礼、かつ、どなたが仕切る訳でもなく、それぞれが和気藹々と楽し気な店内。

しかも、日曜日夜の開催ということもあり、ポツポツと帰られる方もおられましたが、その後もポツポツといらっしゃる方があり、結局お開きの24時を過ぎても雰囲気は変わらず。



この日、カウンターを切り盛りされておられたのは、兵庫・川西のJAZZ BAR FAR CRY Ⅱ(注)のマスター。

お手伝いに回られた実行委員会の皆さん達に指示されながら、淀みのないきれいな運営をされておられたのは、さすがにプロの技でした。



今回、この会に参加させていただき、気づいたこと。

それは、みやおさんの発信されておられた波長に合う人同士は、また波長が合うということ。

みやおさんの笑顔が見えたような気がしました。



みやおさんの若かりし頃、27歳。

まだ八丈島のホテルで働いておられた1979年の「現代百人一首」。



そこに選ばれたこの短歌。

この後、みやおさんは自由韻律の俳句にフィールドを移されますが、口に乗せた時、如何にきれいに響くかを大切にしておられたその感性は昔から同じ。



今回、実行委員会の皆さんがお忙しい中にも関わらず、ご作成されたのが、この句集。

ずっと出版したいと願っていたものの、叶わなかったみやおさんの夢。

「正式版は検討中です」とのことですが、このような形でその句をまとめていただいたのは、本当に嬉しいお話。



そして、とても面白いことに、これらの句を読むと、頭の中で、みやおさんの温かく優しい声が響く。

一瞬が永遠の命を得るということ。

みやおさんといい時間を過ごさせていただいたことを改めて有難くも感謝した次第です。



最後は、このお店恒例のこれで〆。

みやおさんを慕う多くの方々の誠意と善意が積み重なった奇跡のような素敵な会。

実行委員会の皆さん、本当にありがとうございました。



【追記1】この日、一番遠方から駆けつけたのは、山形から。このお店でこの名前を知らない常連はいないという伝説のアイドル的存在だったNMさん。私自身、ようやくお会いすることが出来、感激した次第です。



【追記2】「みやおさんのお別れ会」2日目が開催されたのは、3/20(水・祝)。この日の様子は、個人的なメッセージではありますが、私が九州ジャズ・スポット巡りをしている中で得た最高の友人にして、今回の実行委員会の一人であるK氏からの文章をそのまま転載させていただきます。

昨夜の会では、八丈島のホテルで一緒に働いていた方が群馬から来られました。若かりし時から、喫茶コーナーのカウンターで従業員やタクシー運転手の愚痴こぼしや相談に乗っていたなんて話をしてくださいました。すでに僕らが知っている宮夫さんの姿が伺えました。生前、親しかった歌人の大御所を来てくれて、これまた濃密な話ができました。その方曰く、宮夫さんが「すでに自分が死後の世界にいる感覚から詠んだと思われる」句を朗詠され、店内が厳粛な雰囲気に包まれたのが印象的でした。句集に関しては「出さんといかん」という話の流れになってきています。自分が積極的に動くべき事案かなと思いながら二日酔いの今日を過ごしています。



(注)JAZZ BAR FAR CRY Ⅱ

宮崎勤務時代にみやおさんにお世話になったマスターが、地元の兵庫・川西市でお店をご開業される際、みやおさんに名前をもらったというこのお店。

今回、3月中旬以降の忙しい最中にも関わらず、お店を数日間空けて、わざわざお越しくださいましたが、このお別れ会が無事に終わったのは、このマスターの功績も大きかったのではないでしょうか。どうもお疲れ様でした。

これも、みやおさんがつないでくださったご縁の一つ。また機会を作って伺いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑