【紹介:使い勝手抜群の小さなジャズ・バー】長崎・django(ジャンゴ) 22/11

長崎市内のジャズ・バー django(ジャンゴ)さん。

長崎電気軌道・思案橋駅から北東に徒歩2分、繁華街の通りに面したビルの2階にあるにも関わらず、本当に場所がわかりづらい、まさに「隠れ家」。



ウィットに富んだ当意即妙な会話も楽しい百戦錬磨のこのマスター。

その穏やかな雰囲気からは伺い知れないものの、ここに至るまでの経緯は波乱万丈の苦労人。



コロナ自粛が始まる前のことですから、もう3年前のこと。この店の常連&御歳87歳にして、日頃、5~10cmのヒールを履きこなし、颯爽と飲み屋をハシゴするという異常に元気な姐さんとたまたまご同席。



マスターは、前川清さんで有名なクール・ファイブが専属バンドだったキャバレー銀馬車等での歌手活動が問題になり高校を中退された方ですが、何と彼女はその当時、このマスターの追っかけをしていたとのこと。。。長崎は狭いというべきか?

「あの頃のマスターは~」と、その縁の不思議さを肴に大盛り上がりしたのも懐かしい思い出です。



尚、久しぶりに訪問した先日のこと、今年卒寿を迎えられるこの姐さんのことをふと思い出して、マスターにお聞きしたところ、「相変わらずお元気ですよ。最近『歳を取るのって、イヤね』とおっしゃっておられました」とのこと。

「これまで風邪を引いたこともない」とおっしゃる、バイタリティの塊のようなこの姐さん。さすがの一言ですが、次回来た時、またお会い出来たらいいなぁ、と思った次第です。



ということで、ここは長崎・思案橋。

使い勝手抜群のお店ですので、様々なご用途でご利用ください。


追記: このお店は、別途紹介した「さろまにあん」さんから徒歩1分です。


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【以下、2019/05の記事を転載】

長崎市内のジャズ・バー django(ジャンゴ)さんは、今回初めて訪問させていただきましたが、使い勝手抜群の「小さなジャズ・バー」。

長崎電気軌道・思案橋駅から北東に徒歩2分、繁華街の右手のビルの2階にあるこのお店ですが、何故かその場所がわかりづらく、隠れ家という言葉がぴったり。



今回の長崎弾丸ツアー(注1)初日3軒目になる24時過ぎ。2軒目のさろまにあんさんからは思案橋駅に向かって同じ道を南東に約70m下った所の左手にあるはず。。。でも、グーグル・マップの「到着しました!」の声は響けど、どこ?!


右往左往した挙句にようやく発見しましたが、「この界隈で一番のやる気のない看板(マスター談)」の独特な存在感、恐るべしです。苦笑



ビルの細い階段を上がりようやく到着した入口は何とも優し気な雰囲気で、初訪問の緊張感も思わず解ける程。

でも、やっぱり初訪問店では気を抜いてはいけなかった。。。



何の気なしにそのまま扉を開けたところ、目に飛び込んできた光景は薄暗い照明の中、長細い店内、きれいなカウンターとバックバー。。。もしかして、間違えてオーセンティック・バーに入った?と一瞬狼狽。



控えめな音量ながらもちゃんと腰の入ったジャズと、それを鳴らすマッキントッシュのアンプ、バックバーに置かれたJBL4318がそうではないことを主張していて安心しましたが、それにしても、全く想定していなかったこのお洒落でしっとりと上品な雰囲気には参りました。



ありそうで実際にはお目にかかったことのなかったジャズ・バー。

こんなに色んなシーンが思い浮かぶジャズ・バーはちょっと思い当たりません。



外界の時間の流れとは隔絶した雰囲気の中、一人でふらっと来て、黙って飲むも良し、マスターとおしゃべりしながら気楽に過ごすも良し。

お気に入りの女性を連れて来て「ありがとう、こんな素敵なバーに連れてきてもらって!」と株を上げるも良し、奥のソファー席で仲間2~3名と少し声を潜めつつもしっぽり語り合うも良し。



こんなお店を作りあげられたマスターは若々しくて、とてもそうは見えない63歳。

そうお伝えすると、「この照明の暗さは歳を隠すためで、日中お会いしても、私とはわかりませんよ?」と即答される等、ウィットに富んだ当意即妙な会話も楽しい方ですが、ここに至るまでの経緯はその穏やかな笑顔からは考えられない波乱万丈なもの。



あの前川清さんが所属しているクール・ファイブが専属バンドだったことでも有名な銀馬車というキャバレー(注2)等での歌手活動が問題になり高校をご中退、そのままずっとケントスというライブハウス等で歌い続けられたものの、30台半ばでトラック運転手にご転身。

そうこうしている内にまたこの業界へカムバックされ、ちょうど50歳になられた時、5坪と小さいながらもそれまで出してみたかったというジャズ・バーをご出店され、もうすぐ13年になるとのこと。


「小さなジャズ・バー」はその当時のキャッチ・フレーズですが、その4年後にはビルの建て替えをキッカケに今のお店にお引越し。

バー経営者にとって極めて厳しいこの時代にこれは並大抵のことではなかったと思います。


django(ジャンゴ)というお店の名前が名ギタリストやMJQの名盤に由来するのはもちろんですが、Dから始まる綴りがジャズを知らない方には読めないのも気に入ってるとおっしゃるマスター。

その口で「ジャズは初心者で何もわからない」と言い張られるのですが(笑)、今回教えていただいたアルバムも面白かったこと。



途中でかけていただいたこのアルバムのミルト・ジャクソンのヴィヴラフォンに引っ掛かったことから、デイヴ・パイク・カルテットとビル・エヴァンスのパイクス・ピーク等、ヴィヴラフォン特集に。



この歳になると強い音圧はなくてもいいから美しく聴きたくなってきた、スピーカーにタンノイの導入を検討しているとのご発言にタンノイ・ユーザーである私は思わず握手を求めたり、この間やって来られた外国人の方は世界中のジャズ・バーの2/3を回っていると言っていたというスケールの大きな話等を伺っている内に、あっという間に閉店時間の26時前。

この日は最後もう1軒、近くにあるお馴染みのマイルストーンさんにも顔を出そうと思っていたので、慌てて御礼と再訪の意を告げて移動しましたが。。。本当に楽しかった!



ちなみに、女性を口数少なく口説くのにも良さそうなこのお店。

マスターにそうお聞きしてみたところ、そんな時はもちろん黒子に徹しますよ!とのことですが、サービス精神旺盛なこのマスターのこと。きっと音楽もその展開にあったものに切り替え、強力なアシストがもらえるはず。

ということで、ここは異国情緒溢れる長崎・思案橋。そんなご用途でもどうぞご利用くださいませ!笑

【駐車場:無(近隣にコインパーキング多数有)、喫煙:可】



(注1)長崎弾丸ツアー2019春:金曜日の夕方に出発して日曜日の夕食頃帰宅するまでの約50時間の間に、熊本→長崎【島原・Salle a manger(サラマンジェ) さん→市内(さろまにあんさん→このお店→マイルストーンさん)→琴海(1軒)→西海(1軒)→伊万里(1軒)→波佐見(1軒)】→佐賀【七山(1軒)→鳥栖(1軒)】→福岡【大牟田(1軒)】→熊本まで、計11軒を回った今回のツアー。その詳細については、後日別途アップしますので、乞うご期待です。



(注2)ところで皆さん、キャバレーって、ご存知ですか?私はその最後を辛うじて知っている世代ですが、最初で最後のキャバレー体験は名古屋の老舗のキャバレーが閉店すると聞き、会社の同僚2人と行った時のこと。

そのお店のNo.1ホステスさんをつけてあげると入口で言われ、喜び勇んでテーブルで待っていたところ、いらっしゃったのは何と御歳70数歳!笑

何故その方がNo.1なのか?曰く、若い時についていたお客さん達が偉くなり、今までずっと指名し続けてくれたから。。。ただ、往年の面影(失礼!)はともかく、その聞き上手には大層感心したことを覚えています。

尚、マスターによると、キャバレーで一番の美人さんは大体No.3で、No.1は聞き上手、おしゃべり上手、新聞チェックを欠かさない方だったそうです。ご参考まで。



※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第②号( ↓ )」掲載店です。

こちらもよろしくお願いいたします。 

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑