【紹介:素敵な名前を持つお店】大阪・放出(ハナテン) JAZZ喫茶 DEAR LOAD(ディアロード) 22/09

昨年の11月、無事に10周年を迎えられた大阪・JR放出(ハナテン)駅前にあるJAZZ喫茶 DEAR LOAD(ディア・ロード)さん。

【お店のHPはこちら

今回ようやく再訪することが出来ましたが、改めてこのお店には感心させられました。

基本的に、ママがお一人で切り盛りしておられますが、このコロナ禍自粛が続く荒波の中をしっかりと乗り切られたお店。

しかもそれが本格的なジャズ喫茶として、更には多くの常連さんにちゃんと支えられて、というのが、本当に凄い。

確かにJR学研都市線/おおさか東線は便利がいいし、その駅前なので立地条件はいい※と思います。

とは言っても、このお店のためだけに、この放出駅まで通ってもらうには、相当な魅力がないとやはり成り立ちません。

※「エレベーター無しのビルの4階」には驚かされましたが。

今回、私が見たこのお店の光景をまとめてみるとこんな感じでしょうか。

1.店内

(1)長細い縦長方向の奥に据え付けられたスピーカー。そこに向いて並べられた全ての椅子

(2)このお店の空間に対して適切な音量。パリッとした端正な音で生き生きと鳴るジャズ

(3)それを鳴らしているのは、JBLの中型スピーカー4319※

※このスピーカー自体は初めてでしたが、それ以前に「しっかりとしたスピーカー台を使用し、壁から離れた場所に設置/スピーカーの間に何も置かない、周りにも出来るだけ置かない」をちゃんと実践しておられてビックリ。。。他にもそんなお店をご存知でしたら、下のコメント欄でご教示くださいませ。

2.常連さん

(1)こんにちは!と挨拶をしながら、真っ直ぐ自分の席(?)に着席。オーダーも取らずに、さっと珈琲を淹れて運ぶママ。黙ってそれを飲みながらレコードを聴く皆さん。

(2)中でも印象的だったのは、すっとスピーカーと正三角形の位置にある一番いい席に座り、黙ってレコードを2面程聴いた後、小さな声でご馳走様と言いながら珈琲チケットをさらっと置いて、去って行かれた常連さん。

とても美しく、衝撃的でした。

3.ケーキ

(1)メニューに掲載されたどれもこれもが、何とも美味しそうで本格的。

(2)注文すると、お店の目の前にあるケーキ屋さんがすぐに配達してくれるというスペシャルで素敵な業務提携!

4.新メニュー「ミックス・ジュース」

(1)「ここは大阪やから、一応揃えとかんと、と思って」とはママの弁。

(2)関西出身の私にとっては、まさに懐かしの味でしたが、私の様な他府県からのお客さんが増えたということでしょうか?

5.余談

(1)「大声を出さない」

いくつかのテーブルの上に置いてあるこの注意喚起。

こんなに徹底されているお店を見たことがなく、さすが大阪の店は違うなぁ。。。

等と思って、よくよく見たら、政府からのお願い?!

あまりのことに、一人で大笑いしてしまいました。

(2)お店の名前

実はこのお店の名前「DEAR LOAD(ディアロード)」を決められたのは、ご主人。

もちろんコルトレーンの名曲で本当に素敵な名前※ですが、ママが挙げられた候補にはもう一つの強力な対抗馬が。。。現実にその名前のお店もありますので、それはそれでいいのですが、きっと全く違うお店になっていたような気がします。

※個人的にこの曲を含むTransitionのA面が大好きなので、余計にそう思うのかもしれませんが。

以上、これまで私があまり見たことのない光景が繰り広げられましたが、これらもこのお店の魅力であり、その成果なのでしょう。

でも、私がこのお店で一番凄いなぁ、面白いなぁと思ったのは、ママが鳴らされたレコードのラインナップであり、センスのいい選曲。

「私、ジャズのこと、あんまりわからないので」とおっしゃるママですが、どうにもおかしい。

そんな方が、あんなにさらっと、新旧織り交ぜながらも、全く違和感のないジャズを鳴らせるはずがない。

そんなことを思いながら色々お聞きしたところ、大学時代のバイト先がジャズ喫茶?!

しかもその当時はジャズ全盛期。かつ、場所もジャズ喫茶が一大文化を築いていた頃の京都?!

その後、「子育て期間中、全然聴いていなかったから」とおっしゃいますが、いやいやいや。。。

何のことはない。やっぱり本物(注)でした。

やっぱり大阪はコワいコワい。。。

と苦笑しながら、お店を後にしたのですが、後日、更なる笑撃の事実を発見。

交通新聞社から発売されている『日本ジャズ地図』をご存知でしょうか?

全国のジャズ喫茶が69軒紹介されている本ですが、何とこのお店も掲載されておりました。

その記事が下記のとおりネットでも読めますので、併せて、ご覧くださいませ。

ちなみにママによると、ご主人は九州へのご出張の多い方とのことで、あちらこちらの九州のジャズ・スポットへ顔を出しておられるとのこと。

どこかのお店でお会い出来るのでは?とこちらも楽しみにいたしております。

(注)実は、「このママは本物」だと思った逸話がもう一つあります。

「これ、いいですね!どなたのアルバムですか?」とお聞きすると、何と、この8月、突然ご逝去されたジャズ・ピアニストの細川正彦さん。

そのアルバムは、下のHPでその思い出を語っておられる納浩一さん(b)とのDUO「Little Song Book」。

細川さんはこのお店のご開業間もない時期から、ずっと年に1回、ライブをご開催。

次のアルバムももうすぐ出る予定だったのに、惜しい!悔しい!とお嘆きになるママ※。

※その訃報からまだ2週間ちょっとしか経っていない時期の訪問でした。

その細川さんの初来店=初対面の時のお話。

ご開業して間もないある日、ママが1階の店先に飾られたのは、このお気に入りアルバム。

どういう経緯かはわかりませんが、これをご覧になられた細川さんがご入店。

細川さんもこのアルバムが好きだったそうで、すぐに意気投合されたのだそうですが、ちょっと普通ではあり得ない話だと思った次第です。

私自身は、細川さんを生では一度しか聴くことが出来ませんでしたが、鮮やかに記憶に残っている熱いライブでした。

遅まきながら、謹んでここにご冥福をお祈り申し上げます。


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【以下、2019/06の記事を転載】

大阪・放出(ハナテン)にあるJAZZ喫茶 DEAR LOAD(ディア・ロード)さん

2011年にご開業されたお店ですが、この大阪ジャズ喫茶mapを作って配布される等、熱い活動をご展開されており、是非訪問したかったお店。

今回、急遽決まったとは言え、折角の大阪遠征ということで連絡を取ったのは、お馴染みの全国のジャズ☆スポットを約630軒ご訪問された神戸のらうさん

3月の九州ジャズユニオン以来でしたが、機嫌良く応じていただき、このお店で無事に再会。

ただこの日は、ちょうど大阪ジャズ同好会さんの開催日。

超短時間の滞在でも構わないので、是非!と私がお願いして決めた訪問でしたので、大阪ジャズ同好会の皆様には失礼してしまいましたが、お店の雰囲気を拝見することが出来て良かったです。

次回はゆっくり訪問させていただきますので、その節もよろしくお願いいたします。

【駐車場:無(近隣にコインパーキング多数有)、喫煙:不可】

【追記】お店で発売中のCDを見たところ、熱演を聴きに行ったばかりの細川正彦さんのものが何枚か置かれている。

このお店でもよくライブをされるご縁だそうですが、何と!昨夜、京都のJAZZ IN ろくでなしさんでずっと聴いていたベースの船戸博史さんとのDUOが?!

その縁の面白さに思わず購入してしまいました。。。

また、らうさんもご執筆されておられる関西ジャズ愛好家ご用達のフリー・ジャズ情報誌「WAY OUT WEST」のポスターですが、これはカッコいい!

このお店のマグネットといい、色々発見の多いお店でもあります。

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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・スポット巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑