鹿児島市内・JBLさろん ガールトーク18/09+19/01


鹿児島市内の中心街 天文館から南に徒歩15分程の場所にあるJBLさろん ガールトークさんは、昨年の九州ジャズ・ロード踏破ツアーの中で鹿児島を巡った際、時間の都合で訪ねられなかったお店。

恥ずかしながら、私は昨年秋惜しまれて閉店したジャズ喫茶の老舗 門さんが「鹿児島市内最後のジャズ喫茶」というネット情報を信じてしまい、このお店のことをJazz喫茶 順刻堂(ジュンコクドウ) さんと同様、新しくオープンしているのに「ジャズ喫茶」として認知してもらえなかった可哀想なお店だと思い込んでいました。

でも到着してみると、お店はきれいな一軒家ですが、店内の雰囲気も含め、何だか風格十分?!とてもこの10年以内に新規に出店したお店ではなさそう。

まずカウンターとテーブルのフロアがあり、カウンター向こうにはいい顔をしたJBLのスピーカーLE14がこちらを向いてお出迎え。

カウンター席に座らせていただき、ちょうどランチタイムで家族連れのお客さんのご接待をされておられるマスターにカレーセットを注文。マスターが調理されておられる間に、お店の中をちょっと探検。

お店の奥は少し下がったフロアになっており、そこに鎮座するJBLのスピーカーとオーディオ機器群。そしてそこにはオーディオ鑑賞用のテーブル席が用意してあるのですが、まるでオーディオ好きのリビングルームのような落ち着いた雰囲気。そして静かに流れる上質なジャズ。。。その佇まいは昔ながらのジャズ喫茶というよりは、ゆったりとした時間を提供する居心地抜群の喫茶店。

とは言いつつも、そのオーディオ機器をチェックしようと思って近づいてみたのですが。。。何のことはない、一目瞭然。

このお店のマスターは絶対にオーディオ・マニア!笑

JBLの自作スピーカーとその外に置かれたネットワーク、マークレビンソンのプリ・アンプにこのお店のために作られたモノラル管球パワーアンプが2台、オーディオマニアのよくやる諸々の細かい音響対策等々。

それにしても、この管球パワーアンプの刻印は無茶苦茶カッコいい。

マスターにお聞きしたところ、このシステムに行き着くまでに相当機器を入れ替えてこられたとのことでしたが、オーディオ談義も相当お好きですので、オーディオ・マニアの方も是非ご訪問くださいませ。

今年77歳のマスターは元々印刷業を営んでおられた方ですが、ここに至るまでの道のりはドラマに出来るぐらい、波乱万丈。。。

まずは中学時代にまで話は遡るのですが、一人の音楽の先生が赴任。コンクールにも出場していたというその浦上洋子先生は休み時間でもピアノを弾かれ、先生にその曲名を聞きに行ったりしている内に「音楽っていいな」と感じるようになられたのだとか。

その内、マスターは「音楽と生きることは同じ」「音楽はその人の人生そのもの、その人の生き様を表したもの」という考えに辿り着かれ、時間が流れていく中で、ジャズにハマり、それを鳴らすオーディオに興味を持ち、理論はわからないものの、自分の好みの音を求めてアンプやスピーカーを自作されるようになり、そして自ずとこの道に。。。と、ここでその道だけに真っ直ぐに向かわれなかったことから、これまで聞いたことがなかったようなドラマが始まります。

マスターが元々、印刷業を生業とされておられたのは先ほども書いたとおりですが、とても商才豊かな方。工場経営も順調だった27歳の時、音楽好きの仲間4人と共同経営でお店を出店。経営は順調だったものの、ビル建て替えで立ち退きとなり、残念ながら閉店。

その後、次は一人でお店を経営したいと思うようになられた頃、あるキッカケから再度出店。今のお店とは違う場所ですが、名前は今の「ガールトーク」。

名前の由来はもちろんジャズの名曲から、ですが。。。更にもう一つの意味があって、女性を4人雇ってカウンターに配備するという「ガールズ喫茶」にされたのだそうです。つまり、今で言うところのガールズ・バーと同じ発想ですが、これが想像以上の大ヒット!

先見の明のあるマスターはこの後も快進撃を続けます。

印刷業の他に、今の店舗と合わせて2つの店舗の経営者となった頃、時代の流行はインベーダーゲーム。。。いち早くゲーム機を導入し、これまた大ヒット。

ちなみに、この頃印刷業をご親族に譲られたのですが、その時に作られたマッチ。。。山ほど作ったため、まだまだ残っているのだそうですが、昔ながらのジャズ喫茶と言えばそのお店のマッチ。ありがたく頂戴した次第です。

さてその後、近所に出来たファミリーレストランに対抗して始めた宅配弁当がこれまた大ヒット。。。ところが!

朝から夜中まで鳴り止まない電話のお客さんをさばくため、従業員を増員し、車やバイクを買う等、急激な事業拡大に合わせて設備投資。。。原価計算を考える余裕すらなかったそうなのですが、元々そのサービス内容と単価が合っていなかった上、その単価をそのままにしての投資としては額が大き過ぎた。気がつけば、大変な債務超過。

そこでマスターが考えられたこと。地道にやり直そう。

こうして今のジャズ喫茶店のマスターとして再スタートを切られた、とのことでしたが、ここに至るまでの経緯は本当に紆余曲折。

マスターはコルトレーンがお好きで、「その目標を決めて突き進んだ人生が好き」とおっしゃられるのですが、確かにその時その時の目標に向けて突き進まれた凄まじいまでのパワーはコルトレーン譲りだったのかもしれません。

ところで実は、この日は鹿児島ジャズ2018の2日目。午後の部「天文館ステージ」から聴くつもりで、かなり余裕を持ってこのお店に入ったのですが。。。

結局、そのお話があまりにも面白過ぎてふと気づいたら「あ!1stステージが終わる!?」と慌ててお店を辞した始末。

今回わかったことは、それこそ今となってはこのお店が「鹿児島市内にある最古のジャズ喫茶」と呼ばれるべき老舗であるということ。

こんな味わい深いマスターと巡り会うことが出来、本当に幸せでした。。。聴けなかった鹿児島ジャズの1stステージが今年一番の目玉ステージだったにせよ、これもジャズ、です。笑

マスター、また伺いますので、今後ともよろしくお願いいたします。また、くれぐれもご健康にはお気をつけください。

【駐車場:有、喫煙:可、マッチ:あり!】


<追記>ここで記した今のお店に至るまでの経緯はあらすじだけで、その詳細な場面場面での逸話やお考えはとても私の筆では描き切れませんでした。唯一残念なことは、そこを描けなかったことで、このマスターがとても人情味豊かな方であることを伝えられなかったこと。。。ということで、この言葉で代用させていただきます。笑

他のジャズ喫茶/バーのマスター達とはまた違った面白いお話が聞けますので、ご興味を持たれた方は、ご来店の上、直接マスターから伺ってくださいませ。

尚、店内に飾られている上の写真のトルソーやデッサン等はお孫さんの作品だそうです。


【2019.2.1追記】八代~鹿児島・超強行弾丸ツアー2019Jan.の最後に再訪してきましたが、何とマスターがオーディオ・システムと格闘中!

オーディオ仲間の素晴らしい音を聴かれたらしく、久しぶりにオーディオ・マニアの血が騒ぎ出したそうですが、複雑な配線のこのお店のシステムを変えるのは大変。。。さて、このシステム変更で音がどう変わるのか、次回を楽しみにしたいと思います。


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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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