奥村和彦セッションwith中瀬亨,西田千穂@熊本・酔ing18/10

先日、熊本・酔ingさんで行われた奥村和彦セッション。。。前回おくらさんで聴いてとても良かった奥村和彦さん(p)&西田千穂さん(vo)のDUOに、これまで中牟礼貞則さん(g)のトリオ中村健さん(ds)のクインテットで聴かせていただき、好感を持っていたベテラン・ベーシスト中瀬亨さんが加わったこのメンバーでのライブ、とても楽しみにしていました。

千穂さん(親しみを込めて!)の歌の世界も前回同様、聴き応え十分(注1)でしたが、今回はその他にもあれこれ色んなことがあり、楽しくも色々考えさせられたライブとなりました。

そのあれこれの第一弾は、途中で飛び入り参加されたアマチュア・ドラマー 有田正博さん(注2)。。。奥村さんにこの小柄で初老の男性がコールされた瞬間、思ったこと。

やけにお洒落な方だけど、腕前は大丈夫かなぁ?

ところがそんな心配もどこ吹く風といった感じで、実に心地の好いドラミングをご披露。それまでの流れと全く違和感のない世界を構築され、トリオやカルテットの豪華な音をしっかり楽しませていただきました。

ここで改めて教えられたのは、周りの音をしっかり聴くことと、ドラム・ソロを始め、自分の力量の範囲で一番いい部分を魅せる余裕(注3)の大切さ。

そして何より、やはりライブは目でも楽しむものだということ。有田さんが演奏中に魅せられた程よい緊張感と生き生きとした躍動感、演奏後の充実感いっぱいの笑顔には、観ている側もいい気分にさせていただきました。

あれこれの第二弾は、途中で飛び入り参加されたボーカリスト 狩場正弘さん(注4)。。。奥村さんにこの大柄でやけに存在感がある男性がコールされた瞬間、思ったこと。

やけに場慣れして、雰囲気のある方ではあるけど、大丈夫かなぁ?

ところがこちらもそんな心配はご無用とばかり、実に気持ちのこもった歌をご披露。千穂さんとはまた違う世界を気持ち良く楽しませていただきました。

それにしても、彼らが飛び入り参加したことでよくわかりましたが、さり気なくも実に上手いサポートぶりを魅せた奥村さんと中瀬さんはさすが!の一言。

そんな熟練の技を魅せてくれたベテラン二人が、ボーカルのレギュラー・メンバーとして千穂さんを起用し続けていることが意味することは何か?

元々レギュラー・メンバーとは、目指す音楽の方向性が同じで、お互いに高めていけると認めた者同士が組むものだと思いますが、一方、今回のようにベテランがまだ集客力のない若手と組む場合。。。これはその若手が、自分の手で磨いてみたい、開花させたいと思わせてくれる原石でないと続かないのではないでしょうか?

千穂さんの場合、その人間性の良さ、更にはアフター・ライブの楽しさだけでつき合っている可能性も完全には否定出来ませんが(笑)、恐らく彼らから見ても、千穂さんは育て甲斐のある逸材。

千穂さんが彼らの期待に応え、大きく羽ばたかれる日を楽しみに、引き続きウォッチしていきたいと思います。

(注1) この日のライブは、奥村さんと中瀬さんの熟練のDUOで始まり、雰囲気作りは満点。この日も落ち着いた服装で登場した千穂さん、しっとりとした曲の情感に合わせて歌いながら手や体全体の表現で訴えかける等、この日も見事にその世界を構築。気持ち良く酔わせていただきました。

また今回も楽しみにしていた千穂流スタンド・バイ・ミーは、中瀬さんが入ったことで前回とはまた違う雰囲気に。。。大切に歌い込んで育ててほしい一曲です。

(注2)実はこの有田正博さん。。。セレクト・ショップというジャンルを切り開かれた先駆者としてその業界では名高い方で、熊本・下通りにもあるセレクト・ショップ「パーマネント・モダン(注5)」の社長さん。

ライブ後も色々お話を伺ったのですが、そのお言葉で一番印象的だったのは「ライブによく行くけど、ミュージシャンが聴きに来ていることはほとんどない。自分はファッション・ショーは気になるし、あちらこちらに観に行くけど、何でなんだろう」

凄まじい激動の業界をそのセンスの良さで生き抜いて来られた方だけに、この向上心や感性があの演奏にも反映されていたのかと妙に納得した次第です。

(注3)自分の力量の範囲で一番いい部分を魅せる余裕。。。若い内は、自分の持っているものを全てをぶつけて晒せばいいと思いますが、今回、持てる実力の一番いい部分だけをそっと差し出されたその余裕ぶりに大人の魅力を感じ、カッコいいと思いました。

(注4)実はこの狩場さん。。。詳しくは教えていただけませんでしたが、色んな業種を経て来られた異色の起業家で、実は数年前、病で左半身や言葉が不自由になられた時期があったのだそうです。

その闊達なステージぶりからはとてもそんなご苦労があったとは思えませんでしたが、その左半身のリハビリとしてギターを猛練習して克服されたお話には驚嘆。そして「脳の1/10が死んだ状態になったけど、残りの9/10で補えばいい」という医師の言葉を前向きに受け止め、話すより難しい歌、歌の中でもアドリブやフェイクがあって難しいジャズを選んで猛特訓、遂に言葉の不自由さまで克服されたお話には敬意をいただいてしまいました。

また、あのプロ顔負けのアドリブ・フェイク混じりの迫力のある歌いっぷりにも納得した次第です。

(注5)後日、どうしても気になって、熊本・下通りの少し先にあるパーマネント・モダンさんを訪問してきました。というのも、有田さんがおっしゃった「その人の人間性を気に入っても、作品の評価とは別。作品が気に入らなければ絶対に取引することはない」「99人が左を選んでも、もし違うと思ったら躊躇なく右を選ぶ。自分の信じたものだけを扱う」というプロとしてのお言葉がとても気持ち良かったので。

このお店の大半は女性ものですが、男性ものも置いてあり、あれやこれや見せていただきましたが、有田さんがセレクトされた服は実に独特の世界。店員さんによると一度その世界にハマると病みつきになってしまうのだとか。

そして、縫い目が異常に詰まったシャツや英国王室ご用達の縫い目のない靴下等々に驚かされている内に、私も一枚、とても気に入ってしまい、思い切って購入。このとてもお洒落な一枚に合わせてコーディネイトを考えるなんて。。。何だかオシャレな人になった気分です。笑


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九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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