佐賀・伊万里のCoffe & Whiskey & Music A-TRAINさん。
開業20周年に向け、快調に歩み続けていますが、街中なのに、未だにグーグル・マップで検索しても、全くヒットしないという都市伝説を持つお店。
久しぶりの再訪でしたが、マスターは相変わらず、即興を旨とするジャズ的会話を駆使し、役者ぶりを発揮。
そこに今回は、満席の常連さん達。男女比ほぼ半々。店内は極めて濃い味わいが絡み合い、まさに混沌(カオス)。
ただ、全体的に不思議な統一感、安心感も感じられるのは、類が友を呼んでいるせい?
ソファ席で、ヤイリのミニ・ギターでポップスやニューミュージック等を爪弾く男性。
そこに、ボーカルで絡む若い女性。
カウンター席の常連さん達を相手に、給仕をしながらボケをかまし、ツッコんだかと思えば無茶ぶりしてみたりと、軽く明るいリズムのまま絶えず店内を盛り上げ、ちょっと手が空いたかと思えば、アコギでバッキングに回り、コーラスまで歌い出すマスター。
カウンター席は、そんな音楽をBGM替わりに思い思いにしゃべったり、気合いのこもった演奏はちゃんと聴いていたり。
何だか、面白いなぁ。(いくら大音量でジャズを流していても全くジャズを感じられないお店もあるのに)このお店って、妙にジャズだよなぁ、と思っていたら、
『今日、この店には一切ジャズは流れていない。でも、この雰囲気のどこかがジャズだといいな。そう思う』
等と、ボソっと嘯くマスター。
『KNOW MUSIC, KNOW LIFE.』
これは、このお店のキャッチ・フレーズであり、特製Tシャツ等にも書かれた言葉。
No Music,No Life という宣伝文句の単なるパロディかと思っていたのですが、
『音楽がわかれば、人生もわかる』という、実は深い意味を持った言葉。
『1950~60年代生まれのジャズ・ファンの特権は、自分の誕生日に録音された曲があること』
これは九州ジャズ・ガイド第③号に向けて、書いていただいた色紙のお言葉。
『その音楽がジャズかどうかの見極め方は、心の琴線が震えるかどうか』
『ジャズは(音楽そのものが雄弁だから)ただ、その音楽に語らせればいい。言葉はいらない』
これらは他日、マスターが呟いた台詞の一部ですが、その感性、言葉のセンスの繊細で鋭いこと。
このマスターの飄々とした風情やご発言に騙されると、思いも寄らないカッコいい言葉や、奥の深い一言に唸らされること必至。
そして、その日に来たお客さんが発しているもの、響き方次第で反応を全く変えていく辺りも、実にジャズ。
そして。。。それがクセになると、抜けれなくなるお店。
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【以下、2019/06の記事を転載、22.9.30一部追記/改訂・写真追加】
佐賀・伊万里にあるCoffe & Whiskey & Music A-TRAINさん。
今回、私が長崎弾丸ツアー(注1)に出るキッカケとなったお店。
というのも、全国のジャズ☆スポットを現時点で約630軒ご訪問された神戸のらうさんから「伊万里のこのお店、ご存知ですか?」と興奮気味にご連絡をいただいたから。
らうさん情報にハズレなし、と全面的に彼の感性を信じている私としては、居ても立っても居られなくなった訳です。
このお店は、JR/松浦鉄道 伊万里駅から徒歩約3分の『伊万里一の繁華街』の中のビルの2階にあります。
ただ、今時どうやったらこんなことが出来るのかよくわかりませんが、グーグル・マップで検索しても、全くヒットしません(注2)。
何とかその辺りに行ってみたものの、その目印となるべき看板が本当に目立たない。
長崎・思案橋のdjango(ジャンゴ)さんの「繁華街一のやる気のない看板」もかなりのものでしたが、このお店は場所情報があやふやだっただけに、危うく見落として帰るところでした。
何とか看板を見つけ、お店の存在は確認したものの、階段の上り口にあるこの黒板を見たところで、警戒アラーム発令。
どんなお店なんだろう、ここ?
どんどん不安感が高まる中、目の間に現れたこの扉。
何だか、アングラっぽい???
でも、ここまで来たら行くのがジャズ。思い切って入店。
え?!何、この明るいお店。
カウンターに座らせていただいてからも、全く想定を裏切られっぱなしだったこのお店。
今年還暦を迎えられたこのマスターですが、本当にお若く、全くそのお歳には見えません。
先の長崎・djangoさんとは違い、今回は店内が明るかったので間違いないと思います。
ご両親から引き継がれた酒屋さんをご閉店されて、このお店をご開業されたのは今から15年前(注3)。
奥様の反対を押し切ってジャズ・バーへご転進されたのだそうですが、今ではすっかり音楽好きの溜まり場に。
飲み物は全て1コイン500円という設定ですが『単価の高いものは量で調整』、今の人はJazzを知らないので『A-TRAINという店名は有田行電車という意味』と説明、新婚旅行先を北海道方面にしたのは『そのついでに岩手・一関のジャズ喫茶の名店ベイシーさんに寄りたかったから(注4)』等とおっしゃったかと思えば、その口で心に残るこんな名言も。
『常連とは、いつ来たか、どの程度来るか、いくら落としたか、ではなく、自分とのキョリの問題』
これまで『』で囲んだ言葉は全てマスターのものですが、虚構と真実の間を彷徨う言葉、即興を旨とするジャズ的会話、予定調和を嫌うと見せかけて逆に予定調和で終わらせる駆け引き等々、その鋭い感性、言葉のセンス、役者ぶりには完全に脱帽。
ということで、何か引っ掛かった方は是非一度、ご訪問の上、お確かめください。
私はちょっとハマってしまったので、再訪出来る日を今から楽しみにしています。
【駐車場:無(近隣にコインパーキング有)、喫煙:可】
(注1)長崎弾丸ツアー2019春:金曜日の夕方に出発して日曜日の夕食頃帰宅するまでの約50時間の間に、熊本→長崎【島原・Salle a manger(サラマンジェ) さん→市内(さろまにあんさん→django(ジャンゴ)さん→マイルストーンさん)→琴海(1軒)→西海(1軒)→伊万里(このお店)→波佐見(1軒)】→佐賀【七山(1軒)→鳥栖(1軒)】→福岡【大牟田(1軒)】→熊本まで、計11軒を回った今回のツアー。その詳細については、後日別途アップしますので、乞うご期待です。
(注2)もしグーグル・マップを頼りにこのお店に行きたい方は、その左隣にある「ラーメン太郎伊万里店」、もしくは下記住所をご入力されることをおススメいたします。
うまく読み取れれば、下記QRコードが一番早いも思いますが。
(注3)酒屋さん時代から佐賀・七山のファニーナナヤマさんの常連さんだったそうで、らうさんはファニーナナヤマさんに教えられて、ご訪問されたのだそうです。
(注4)オーディオ・マニアのマスターとは、私の敬愛する故・菅野沖彦先生ご提唱の「レコード演奏家」というお言葉等で盛り上がったりもしましたが、現在そのマニア熱自体は下火。。。よって、その部分についての過剰な期待はご禁物。
ただ他の記事も同様ですが、本記事の情報は全て私の訪問時点のものですので、ご了承願います。
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