先月、久しぶりに訪問してきた鳥栖の老舗ジャズ喫茶 jazz corner コルトレーン・コルトレーンさん。
カウンターに飾ってあったこのお二人の写真、とても素敵ですが、変わらずお元気そうで何よりでした。
ただ、さすがにメニューは飲み物だけに絞られたとのこと。
少しでも長く営業を継続していただくことが第一なので、やむを得ません※1。
※1:が、正直なところ、「あのホットサンド、もう一度食べたかったなぁ」です。笑
今年81歳を迎えられたマスター※2。
「案外、なかなか聴く機会もないでしょうから、たまにはこんな名盤もいかがですか?」
と、いつもの調子で、いつものように思い掛けない選曲で、心地好く楽しいジャズの世界に誘ってくださるのが、嬉しい限り。
※2:私の知る限りですが、九州のジャズ・スポットで今年81歳を迎えられたマスターは、北九州・小倉のJazz Street 52さん、大分・中津のぐる~びぃさんと合わせて3人。
皆さん、凄いなぁと本当に感心させられてしまいます。
今年の5月、突然ご逝去された直木賞作家の原尞さん。
マスターの弟さんであり、このお店のレギュラー・ジャズ・バンド ブルートレインズのピアニスト(この写真では、SAXを吹くマスターの真後ろなので、残念ながら雰囲気しかわかりませんが)。
その小説の主人公 私立探偵・沢崎ファンとしては、このお店を訪問する度、1冊ずつサイン本を買うのを楽しみにしていましたが、もう新作が買えないということ。
悲しい。
そして一番気掛かりだったのは、マスター、ママのモチベーションでしたが、こちらは何とか持ち直された模様。
これは本当に良かったです。
ただ、私自身、ジャズ・ピアニストとしての原尞さんをよく知らなかったので、今回は特にお願いして、色々教えていただきました。
ニュー・ジャズ・シンジケートというフリー・ジャズのバンドとしてのアルバム、ソロ・アルバム、出演アルバムとずらっと見せていただきましたが、やはりこの時代のジャケットはカッコいい。そのデザインは、ブルーノート、プレステージといった時代を象徴するレーベルを彷彿させるもの。
また、代表曲を数曲をかけてくださいましたが、やはりジャズは時代の空気感を映すものだと痛感。このお店で聴いたから、なおさらそう感じたのかもしれませんが、実に興味深く聴かせていただきました。
また面白かったのは、このレコードの予約者の名前がジャケットに印字されていること。
これは一例ですが、Special Thanks toの記載の中にHARA AKIRAとマスターのお名前も。
あと、驚かされたのが、このカッコいい記事。
全日空の機内誌「翼の王国」の連載ですが、
何と、マスターとママの作ったお昼ご飯が、堂々の掲載!
そして、お店を出る時のこと。
ついいつもの癖で、「また来ます!」と元気良く言ってしまいました。。。
まぁでも、これもまた、ジャズ?!
「行く行く」詐欺にならないよう、頑張ってまた行かなきゃ、等と考えている次第です。
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【以下、2022/09の記事を転載】
鳥栖の老舗ジャズ喫茶 jazz corner コルトレーン・コルトレーンさん。
このお店もあと5年?8年?二人で一人前のマスター、ママ、揃ってのことで、どちらかが欠けてもそこまで。
80歳という節目の歳が見えて来たマスターとママですが、以前マスターがおっしゃった名言「ジャズ喫茶は一代限り」のとおり、このお店のフィナーレを見据えてのお言葉(注)。
マスターとママが二人三脚で歩む老舗、沈みゆく太陽の輝きの如し。
今の私が都合のつく限り、通っている店。
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【以下、2021/11の記事を転載】
※20.6.6に初出後、10月までに何度か再訪し、11/1追記改訂しました。
佐賀のJR鳥栖駅近くにある jazz corner コルトレーン・コルトレーンさんは、もう少しで40周年を迎えられる老舗ジャズ喫茶。
マスター、ママは相変わらずお元気で、新型コロナ第二波の様子を見ながら短縮時間で営業して来られましたが、実験的にライブも復活され、徐々に通常営業に戻しつつあります。
とは言え、その日のお客さんの入り次第で流動的ですので、遠くからご訪問される方は閉店時間を電話でご確認いただいた方が無難です。ご注意くださいませ。
前回からこれまでの間に何度か訪問した結果、色んなネタが溜まってしまいました。
ということで、今回はスナップ写真風にご紹介させていただきます。
【お店の日常風景】
・お店に入ると流れていたのは、何とアルバート・アイラーのFirst Recording。
その後もマイルス・デイヴィスのスマイルズ等々をさんざんかけられた後に一言、「今日はハードなのばかりかけてるから、(他のお客さんも聴きやすい)ジャズらしいのを一枚」。。。いつも私が知らなさそうな、でも気に入りそうな名盤をかけていただき、感謝いたしております。
・とは言うものの?アルバート・アイラーであろうが何であろうが、どんなレコードが流れていても動揺することもなく、そっとやって来て挨拶の言葉を交わし、思い思いの時間を過ごして帰られる常連さん。さすがというべき、なのでしょうね。
・カウンターに座ったマスターと常連さん2人と私。4人全員が喫煙者。。。昭和にタイム・スリップでもしたかのような光景に我ながら苦笑。
・天気のいい昼下がりに、珍しく若いカップルが訪問。どちらから?とマスターが軽くお声をかけられるのはいつもどおり。
でも、とてもさわやかな受け答えをした彼らにマスターと常連さん達がサービス・トークを展開した皆さん。通常見ることが出来ない浮かれた感じがとても面白かったです。
【マスターとママの会話】
・このお店の入口付近に置かれた手書きディスク一覧。その几帳面さは特筆ものですが、それはB型のなせる業とのこと。
でも、(ご家業として営んでおられた)塩の伝票はなかなか書かなかったのにね、と笑いながら回想されるママ。ちなみに、家族全員がB型なのだそうです。
・オリジナル・モノ盤コルトレーンのインプレッションズ。
激しく力強く怒涛のように押し寄せるサックス。
その直後、ママが寄って来て一言。「30年前の主人はさっきのような演奏をしてたのよ。うちの子供がうるさい!と耳塞いでたけど」
答えてマスター曰く、「一瞬でもそんな音が出したくて」
いつもならこの2曲目アフター・レインに優しく癒されながら、「コルトレーンってやっぱりいいよなぁ」等と思うところですが、あまりの展開にウケてしまい、それどころではなくなってしまいました。
・マスターとママの仲の良さはご一緒にお店をやって来た同志という面もあるのでしょうか?
いつも感心すると共に羨ましくも思います。
【レコード関連】
・ライオネル・ハンプトンのスターダスト:特別な盤ではないけど、モノ盤らしい感じでいいでしょ?とちょっぴりドヤ顔のマスター。
私の大好きな一枚ですが、一発でノック・アウト。実に存在感のあるいい音で惚れ直しました。
・モーニン:ステレオ盤が出だした時代のステレオ・オリジナル。
モノが欲しかったが、30数年買えず。商品がある時は金がなく、金がある時には商品がない。これが中古オリジナル盤の世界。
・ルディ・ヴァン・ゲルダーの音はジャズの雰囲気を伝える録音。ピアノとドラムの音が下手とけなす人がいるけど、ちゃんとした盤※を聴いていないことにも一因があるのでは?と辛口コメントを挟まれるマスター。
※ルディ・ヴァン・ゲルダー自身が責任を持ったカッティングには「RVG Cutting」「RVG」等の刻印をしてあるんだよと何枚か見せていただき、その後、オリジナル盤の色の少しの違いをサキ・コロ、マイ・フェバ、小川のマイルス等でご教示いただきました。
・先に挙げた「ジャズらしい一枚」ですが、そうおっしゃって言ってかけられたのは、デクスター・ゴードンのア・スインギン・アフェアー 。
その代名詞とも言うべき名盤GOの2日後に同じメンバーで録音されたという姉妹盤ともいうべき一枚で、これもいいアルバム。A面2曲目のビリー・ホリデーの持ち歌Don't Explain~言い訳しないで~がお気に入りとのことでしたが、堪能させていただきました。
【マスターの矜持】
・うちはお店を始めるのが遅かったから50年にはどうやってもいかない。
・オーディオも知識がなく他人任せで、ベイシーのオーディオもない。
・知識とオリジナル盤で戦うしかない。
・モノ針+オリジナル盤に語らせるだけ。
・時間だけはあったから、これで勉強して来た。
そうおっしゃって、特別に見せていただいたのですが、お店のバックヤードにずらっときれいに並んだジャズ批評等にこのマスターの矜持を垣間見たような思いがしました。
現在終活中で、一時期4千枚近くまで保管されていたレコードも売却し整理し始められたこのお店。
行ける時にはちゃんと行く。今の私にとって、コルトレーンコルトレーンさんはそんな大切なお店です。
【駐車場:有、喫煙:可】
(注)このお店のフィナーレを見据えてのお言葉等を掲載した頁
③20/02:その他、最初のお店について等
その他のコルトレーン・コルトレーンさんのページへ
※このお店は弊著「九州ジャズ・ガイド 第①号( ↓ )」にも掲載されておりますので、よろしくお願いいたします。
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