渋谷さんは福岡・柳川の老舗ジャズ・バー ファンクールのマスターが大好きだとおっしゃったこともあり、私が是非聴いてみたかったジャズ・ピアノ界のレジェンドのお一人。昨年、大分・いとうさんまで聴きに行った菅野邦彦さんの時にも驚きましたが、とても今年79歳とは思えぬ健在ぶり。
この日は渋谷さんのピアノと栗田さんの鍵盤ハーモニカ(俗に言うピアニカですが、白鍵も黒いものをご使用されていて、お洒落!)のDUO。。。でしたが、個人的に一番面白かったのは、後半最初にそれぞれがご披露された渋谷さんと栗田さんのピアノ・ソロ。
渋谷さんの深くやわらかく落ち着きのある心地良い響き・淀みないリズム・スイング感はこれぞジャズ・ピアノといった趣きで、あぁ、いいものを聴いたなぁ、という満足感。
一方の栗田さんは右手のゆったりとしたメロディラインに対し、軽やかに飛び跳ねる左手がとても印象的で、多用された硬質な響きや大切にされた余韻も含め、思わず惹き込まれる魅力を持った独特な世界感。
とても対照的で、同じピアノなのに響きがこんなに違んだ、と今更ながらに感心した次第。
本題のDUOですが、渋谷さんお得意のデューク・エリントンあり、栗田さんオリジナルあり、「ハイキング」という印象的なメロディの曲ありと盛り沢山でしたが、一番気に入ったのは、ヘンリー・マンシーニの「Soldier In The Rain(雨の中の兵隊).」。
全てを包み込むような温かく美しい音色で情感豊かな伴奏をつける渋谷さんと哀愁を帯びた鍵盤ハーモニカでメロディを切なく歌い上げる栗田さん。ゆったりと流れる贅沢な時間を満喫させていただきました。
アンコールは渋谷さんのBeyond The Flames。
「仕事ではたくさん曲を書いているけど、自分の演奏用はあまりない」とのMCの後、始められたのですが、Youtubeでも聴くことが出来るこの名曲を聴けて大満足。
「真夏の3daysジャズ・ライブfrom東京」の初日、無事、終了。
尚、栗田さんのSolo Pianoアルバム『忽骨 ko-tsu-ko-tsu』にサインしていただきましたが、川埜(カワノ)龍三さんという造形作家さんのデザインも秀逸なこのアルバム、この日垣間見ることが出来た栗田ワールドが満開で、何だか不思議でどこか懐かしく、恐らくはご本人の性格でしょうか?ちょっとお茶目な所があったりとずっと流しておきたい素敵なものでした。
そしてこの日、唯一残念だったのは、渋谷さんのサインをもらいそびれたこと。
渋谷さんがご自身の販売用CDをホテルに置き忘れて来られたこともありましたが、今後サインが欲しい時は自宅から1枚は持って行こうと堅く心に誓いました。笑
さて、「真夏の3daysジャズ・ライブfrom東京」の2日目は明日、またおくらさんで行われる金澤英明さん(b)&栗林すみれさん(p)の「二重奏」。佐賀・シネマテークさんで聴いた金澤さんと石井彰さん(p)の「裏二重奏」とどう違うのか?栗田さんともご共演されておられる栗林さんですが、このおくらさんのピアノからどんな響きを奏でられるのか?こちらも楽しみです。
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