今年も早いもので、もう年の瀬。
4月以降も宮崎駿監督のまさかの新作「君たちはどう生きるか?」上映、藤井聡太六冠(当時)が奇跡的に最短の道筋を通り抜け、前人未到の八冠達成、二刀流・大谷翔平選手の大活躍(手術の成功を祈ります!)等、心が浮き立つニュースもあった一方、落とし所の見当も全くつかず、ただただ、その残忍さに心が痛くて仕方がない国際情勢、世界各国で次々と起きる自然災害等々から、我が身を振り返ると、財布の中身が気になって仕方がない物価高騰まで、その混沌ぶり・先行きの不透明さも相変わらずですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
個人的には、長らく住み馴染んだ九州を離れて、岐阜・中津川へ転勤し、様々な転機が訪れた年。
思い返すに、色々なことがありました(注1) 。
でも、何はともあれ、遠く離れてみて、改めて思ったこと。
それは、九州のジャズ・スポットの特異性。
曰く、古き良き日本のジャズ・スポットの香り、その面影を現時点で一番残しているのは、やはり九州では?
これは良くも悪くも、だと思いますが、あの独特の雰囲気。。。
まだこれが残っている限り、私は離れきれませんでした。
もちろん、岐阜からかなり距離があるので、悩みはしたのですが。
この演奏会は、全国見渡しても他にはない独特な運営スタイルで頑張っていること、その会員さん達がとても素敵なこと、そしてここでしか聴けないレベルの高い演奏、とこちらもやっぱり縁が切れない。
と決断したことから、とりあえず年に4回の九州訪問を確保。
それに併せて、何が出来るのかを試した結果。
今年は、81歳のマスター・トリオ(小倉・ジャズストリート52、鳥栖・コルトレーンコルトレーン※、中津・ぐる~びぃ)のお店を始めとして、タイミング的にうまく行けたお店を再訪。
こうして、旧交を温めることの出来る嬉しさ・有難さをしみじみと噛みしめることが出来たことも、4月以降の大きな喜びの一つでした。
※コルトレーンコルトレーンさんは、マスターが足を怪我されたそうで、現在ご休業中。ちょっと心配ですが、ご無事のご復活を祈念いたしております。
それにしても、思い出し始めるととても書き切れないことが山ほどあったこの一年。
そしてここに来て、ツイているのに、何故か流れが悪いという不思議な年の瀬。
来年もまたゆるゆる頑張っていきますが、
さて、どんな一年になりますことやら。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。
(注1)さて、今年あった色々なことを書けるだけ書いてみましょう。
今年はクラシック演奏会の大当たり年で16回、ジャズライブは5回(注2) 。
名著「九州ジャズロード」の著者であり、来春「ジャズロード テイク2」を刊行なさるという敬愛する田代俊一郎さんから「新しい土地でジャズの旅を続けていらっしゃいますか?」と問われ、困った場面があったのですが。。。
よくよく数えてみたら、今年行ったジャズ・スポットは77軒。
その内、46軒が3月までの九州での駆け込み訪問(笑)でしたが、逆に言うと、それでも31軒は中津川から出向いたということ。我ながら頑張ったと褒めてあげてもいいのでは?とも思った次第。
ちなみに、弊著「九州ジャズ・ガイド」は現在も発売中(詳細は下記リンクにて)。
有難いことに、まだ細々とではありますが、売上を伸ばしております。
現時点の全発行部数は820部(①号:308部、②号:234部、③号:198部、総集編:80部)。
売上部数も600部を超え、633部(①号:247部、②号:176部、③号:148部、総集編:62部)となりました。
ご購入/ご覧いただいた皆様、どうもありがとうございました。
また特に精力的に販売していただいた福岡柳川・Groovy(グルーヴィ)のマスター・ママ、そして、大分竹田・一粒万倍(イチリュウマンバイ)のママに、心から感謝・御礼を申し上げます。
また、新たな土地 中津川で開拓した食。
その内、ご紹介いたしますが、お店とそのマスター。
とても感じが良い文化施設「ひと・まち テラス」。
そして、温泉には癒されました。
その他にも、自宅用・単身赴任用に、新たな二つのAVシステムの組み直し。
オーディオ愛好家としては、やはり新しい条件の中で組み上げていく新システムは面白く、楽しい時間でもありました。
その一方、生まれて初めての長期にわたる体調不良。
そして、それは未だに続いておりますが、初めて身に沁みてわかった当事者にしかわからない痛み。
そして、数々の老朽化。
中でも、愛車ロードスターは何と22万kmを突破。
更に車検を受けたまでは良かったのですが、この年末。。。
オルタネーターの故障らしいのですが、ディーラーは年末休みで見てもらうことも出来ず。
それぞれ、いったい、どうなりますことやら?苦笑
といった心境です。
ところで、最近放映されたNHKプロフェッショナル 仕事の流儀「ジブリと宮﨑駿の2399日」は、謎めいたストーリー展開のタネ明かしという意味でも印象的な番組でしたが、私は別の意味で衝撃を受けました。
それは、数々の栄誉も過去のものでしかなく、今を生きるために必死でもがく宮崎監督の苦悩ぶり。
昨年のアントニオ猪木さんの生き様を見せつけられた時もそうでしたが、更に今年、私が10代の頃、大きく影響を受けた谷村新司さんと上岡龍太郎さんがご逝去されたこともあり、まさに今後、「どう生きるか」について考えさせられた年でもありました。
(注2) 演奏会・ライブの感想はキリがないので、特に凄かったもののみ記載します。。。それでも長いですが。
直方室内楽定期演奏会では、まず1月の寺神戸亮さんのバッハ無伴奏ヴァイオリン演奏会第二夜。曲順に演奏されたのですが、妻の突然の逝去を嘆く短調が4曲並んだ後、初めて長調に転じるソナタ第3番がそのクライマックスであるという素晴らしい解釈に落涙。
3月の山本亜希子さん(P)&田島高宏さん(Vn)のDUO。ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番他で聴かせたレベルの高いアンサンブルは第50回記念の演奏会に相応しく、もっと言えば、「やっぱりこの回で最後にすれば良かった?」とつい思ってしまったほど、素晴らしかった。
でも、その後の6月のクァルテット・エクセルシオがまた弩級の演奏を披露。エクによる直方におけるベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏達成記念という特別な演奏会ではありましたが、「エク、凄過ぎ」の一言。こんな演奏を聴ける喜びを手放さずに良かった!と思えた会でもありました。
6月と7月の山田和樹指揮バーミンガム市交響楽団では、山田和樹さん十八番のラフマニノフ 交響曲第2番。初めて聴いたエルガーの交響曲第1番、樫本大進さん(Vn)とのブラームスのヴァイオリン協奏曲、チョ・ソンジンさん(p)とのショパンのピアノ協奏曲第2番にも魅せられましたが、元々この指揮者をちゃんと聴きたくて追いかけたこの演奏会。十八番には十八番の意味があると初めて認識(山本剛さんのミスティで認識してたはずだったのに?笑)し、存分に山田和樹さんを味わえたこのラフマニノフ。行って良かった。
更に7月は、私の同世代を代表するピアニストの一人 田部京子(P)さんのシューベルト ピアノソナタ18番他のCDデビュー30周年記念@名古屋の誇るとても素敵な宗次ホール。
藤岡幸夫さんのエンター・ザ・ミュージックで「吉松隆=シューベルトのピアノソナタ21番の協奏曲編曲」で知った演奏会。吉松さんのメモ・フローラのCDを聴いて以来、録音で聴き馴染んできたこのピアニストでしたが、初めての生体験。その美しい響きと知的な演奏に感激。また改めて悲運の天才シューベルトに興味を抱いた演奏会でもありました。
8月は第49回木曽音楽祭3日目。白井圭、水谷晃(Vn)、村上淳一郎、大島亮(Vla)、山崎伸子、伝田正則(Vc) のブラームス 弦楽六重奏曲2番が本当に素晴らしく、近年進行しているブラームスの室内楽曲愛に拍車がかかりました。
9月は湖国が生んだ打楽器奏者の協演「 ライヒ ドラミング」で初めて聴いた生ドラミング。。。初めてラジオで聴いて衝撃を受けて以来、40年越しで味わう面白さ?やはりライブでないとわからないことが多いと改めて実感。
10月は「関西から世界へ」とNHKで紹介された小川響子(Vn)、伊東裕(Vc)、秋元孝介(p)の三人による葵トリオ。メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲1番他でしたが、よくぞこんな場所でやってくれたと、多治見の企画者に感謝!マルチヌーの曲がまた面白く、やはり現代音楽は生に尽きると実感。更に、目一杯歌うヴァイオリンに好感を抱いた小川さんが私の地元出身ということもあり、今後も応援したい若者達発見!の会でもありました。
10月はクァルテット・エクセルシオの京都定期演奏会に初参戦。ホールでの演奏会、直方室内楽定期演奏会との雰囲気の違い等もわかって、実にいい勉強になりました。
そしてダメ押しは、この12月に行われた新田ユリ指揮 愛知室内管弦楽団「シベリウスの夕べ」@廃館が決まり、とても残念なしらかわホール。ポヒョラの娘、タピオラ、孤独なシュプール、吟遊詩人と素敵な演奏が続いた後、響いた交響曲第7番の圧倒的だったこと。中でも、右前に配された川本嘉子さんが率いるヴィオラの強烈で濃密な表現には思わず涙。
私が40数年間、ずっと変わらず聴いてきたシベリウス。
来年、一度ちゃんと書いてみようと考えておりますので、もしよろしければおつき合いくださいませ。
尚、ジャズでは、1月のitayoN’eri(大野えり(vo)、板橋 文夫(pf)、米木康志(B))@北九州・風土。九州・西日本ツアー2023の初日でしたが、この3人が揃った時の凄さを満喫。平日にはるばる遠征した甲斐のあるライブでした。
そして最後は11月に名古屋・栄The WIZで行われたライブ。デューク・エリントンのちょっと類を見ないカッコいいアルバムでその才能を遺憾なく発揮された大野えりさん(vo)&the EROSメンバー(これまた後藤節炸裂の美しいソロ・アルバムを発売されたばかりの後藤浩二さん(p)、加藤雅史さん(b))という私の大好きなミュージシャン同士の初顔合わせ。
一体どうなるのかと思ったものの、
一流同士が演奏すると新たな何かが生まれる。それがジャズ。
と改めて思い知らされた一夜となりました。
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