延原武春 指揮 フィルハーモニア福岡 第36回定期演奏会@アクロス福岡 (ハイドン・オックスフォード&ブラームス交響曲2)

毎回楽しみにしている延原武春指揮 フィルハーモニア福岡の定期演奏会をアクロス福岡に聴きに行ってきました。

通い始めてもう7回目になりましたが、前回、シューベルトのザ・グレートの超怪演を披露してくれたこのコンビが、今回はどんな演奏を繰り広げてくれるのか楽しみにしていました。

1曲目のモーツァルトの歌劇「劇場支配人」序曲は、TV「題名のない音楽会」のオープニング曲で馴染みのある曲ですが、モーツァルトらしい明るく軽快な響きで奏でて終了。そして、いつもの延原さんのマイク・パフォーマンス。

2曲目はハイドンの交響曲第92番「オックスフォード」でしたが、「その交響曲の中でも均整の取れた良く出来た作品で、品のいいおかしさも兼ね備えている」とのご紹介をそのまま具現化したような会心の演奏。

この小型オケならではの俊敏性を生かした指揮者の素晴らしい解釈と、この指揮者のやりたいことを何としてでも体現しようとするオケ。

ハイドンらしい響きと楽しさ、所々にキズはあったものの、フルートを始め聴かせ所はちゃんと押さえ、指揮者の意図どおり、バランスを失うことなく、軽やかにメロディを受け渡し、鮮やかにダイナミクスやテンポを切り替え続け、このオケの底力を遺憾なく発揮。思わずブラヴォー!

あまり馴染みがなかったこの曲ですが、これまでこのコンビで聴いてきたモーツァルトやメンデルスゾーン等と同様、新しい耳で聴くことが出来るようになりました。

これはこのコンビの定期演奏会ならではのことで、いつもありがたく思っています。

そして、延原さんの「特に第2楽章が難しい曲。明るいだけではなく、暗く、悲しい面も伝えられたら」というご紹介で始まったメインのブラームスの交響曲第2番。

軽快なテンポとは言うものの、決して牧歌的な明るい響きは出さず、微妙なアクセント・ニュアンスを込めたメロディの歌わせ方が印象的な第一楽章の開始部から、明るい響きのまま駆け足で走り去った第4楽章のフィナーレまで、精一杯の熱演ぶりに、ほぼ8分入り(3階席は締切)という多くのお客さんからブラヴォーも含めた大きな拍手。

アンコールは、いつものバッハのエアーで温かく、終了。


次回の定期演奏会から、生誕250周年という節目を来年に控え、盛り上がっているベートーヴェンの交響曲チクルス(全曲演奏会)が始まる模様で、延原武春という名指揮者が辿り着いたベートーヴェンがこの福岡で聴けるという嬉しい企画。

尚、今回延原さんがマイク・パフォーマンスでおっしゃった一言は、この楽団にとっても嬉しいお言葉だったと思います。

「ブラームスの交響曲第2番はともかく難しい。でも、この楽団もここまで演奏を積み上げてきて、この楽団固有の音を持つようになり、ようやく演奏出来るようになりました」

まずは8月11日(日)、交響曲第2番と第5番「運命」。期待しております。


【追記】前日は大分 別府・しいきアルゲリッチ・ハウスで竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタルを聴き、来週はかんまーむじーく のおがた主催の直方谷尾美術館室内楽定期演奏会(前回のクァルテット・エクセルシオ「わが生涯」等の感想はこちら)。。。今年は、クラシック三昧のスタートです。

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