北九州 黒崎・Jazz Spot 風土 ⑤20/01

北九州・黒崎の老舗 Jazz Spot 風土さんは、その居心地の好さ、空気感において格別なお店の一つ。

68歳のマスターが31歳の時にご開業されたお店ですので、現在38年目。

このお店に限らず、長年積み重ねて来られた歴史が醸し出す何か。。。ジャズ☆スポットを巡る楽しみの中でもこれを味わう楽しみは堪えられないものがあります。

マスターの優しいお人柄そのまま、としか言い様のないゆるやかで温かい雰囲気は、初めてのジャズ・バーとしてもおススメ。

でも何度行っても、マスターのジャズを始めとした見識の高さは刺激的。そのソフトで押しつけがましくないものの心に沁み入る語り口も説得力があり、多くのお言葉が心に残っています。

特に印象深いのは、「ジャズは楽しいものなので、感覚的に聴いても別に問題はない。でも、もっと深く理解したいのなら、黒人公民権獲得運動やベトナム戦争、アパルトヘイト等の時代背景、歴史を正しく認識した方がいい」というお考えに基づくこの一連のお話。

・ジャズはアメリカという国の不条理の産物=嘆き、悲しみ、ブルース。

・黒人ミュージシャンが生み出したものを白人ミュージシャンが搾取(真似、商業化)し、黒人ミュージシャンがまた新しいものを生み出していったという歴史。

・ジャズで歌われる ♪あの人が私のことを振り向いてくれない等といった恋愛の歌詞の中にこめられているのは、単純に男女の話だけではなく、黒人から白人への憧れ、強い想い、恨み等。

・アメリカの正義とは?西洋の価値観はそんなに正しいのか?という既存の概念への反発。

・そんなバックボーンが強ければ強いほど、音に力があった。音楽に緊張感・緊迫感があった。それがジャズだった。

・一方、欧州では、ジャズのリズム・ビートが聴衆を魅了したことも理解しておいていい。

・その当時の欧州のジャズを聴く聴衆の写真を見たら、如何にみんなが惹きつけられたかがよくわかる。

・ジャズの定義(ジャズは社会的背景がないとダメ?単なるスタイル?等)が時代と共に移り変わっていくのは当然。

このようなお考えの下、未だに新しい音源を発掘し続けておられる探求心の強さにも感心させられるばかり。

そんなマスターのおススメにハズレがないことは、私の経験(注1)上、間違いがないところですが、年末に自宅のCD棚を眺めていて改めて驚きました。

教えていただいたアルバムの購入率が何とも高いこと。。。ぱっと目についたものだけを抜き出してみたのですが、ジミー・ジュフリーのトラベリン・ライト、ジョン・コルトレーンのクレッセントから始まり、ミッシェル・ペトルチアーニ&エディ・ルイス(org)やシーラ・ジョーダン(vo)&ハーヴィー・シュワルツ(b)のDUOライブ等を経由し、最近では、エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パスの東京ライブ盤、ディジー・ガレスピーのミュージック・サファリ等々、どれも今では私の愛聴盤。

更には、ジャズをジャズらしく聴ける音響設備と空間も含め、ちょっと距離が遠くても通わせる魅力たっぷり(注2)。。。しかも、私が応援している直方美術館室内定期演奏会のある直方市がこのお店から近いので、なおさらです。


なかなか新年のご挨拶にも伺えず申し訳ございませんが、引き続き、今年もお世話になりますので、よろしくお願いいたします。

【駐車場:無(近隣にコインパーキング多数有)、喫煙:可】

(注1)マスターのオススメにハズレなし、と言えば、一つにはこのお店で開催されるライブ。

私は板橋文夫さん中本マリさん&吉岡秀晃さん達をここで聴かせていただきましたが、40年近いこのお店の歴史の中で壁にサインされた方々のお名前を見れば、一目瞭然。その錚々たること。

また、おススメいただいたミュージシャンの一人は、先日阿蘇・山頭火さんまで聴きに行ったドラマー 奥平真吾さん

更には、スペインの名ギタリスト パコ・デ・ルシアが出演している映画「フラメンコ・フラメンコ」等々。

その信頼度の高さは、抜群です。

(注2)このお店の魅力と言えば、個性的な常連さんもその一つ。元中学校名物教諭のHさんもそのお一人。

「夢がなければ生きている意味はないが、努力しても叶うものではない」

これまで色々お話を伺ってきた中でも、その生き様から放たれたこのお言葉の味わい深さは秀逸。私のこのお店での思い出として、欠かせない1コマでもあります。


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風土さんで聴いたライブ観戦記 中本マリ&吉岡秀晃17/02 板橋文夫他17/11 

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汝が欲するがままをなせ

九州でのジャズ冒険を中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。 ♪新しい秩序、様式が生まれる時代の幕開けです。この混沌を積極的に楽しんでいきましょう。危ぶむなかれ、行けばわかるさ、です。笑