福岡 大宰府・Jazz Inn DOLPHY's(ドルフィーズ) ③18/07

先日、久しぶりにマスターのお話をじっくり伺ってきました福岡・大宰府のJazz Inn DOLPHY's(ドルフィーズ)さん。いつも知見の深さから来る穏やかさを感じさせてくれるこのマスターですが、今回も知的好奇心を刺激するお話から面白い情報までたくさんいただいてきました。

やはりこのお店は楽しい!

まずマスターは久留米のご出身。ということで、地元の「大」老舗ジャズ喫茶ルーレットの初代マスターの薫陶を受けたお一人。

同じく久留米の老舗ジャズ喫茶エイトモダンのマスターや柳川のGroovy(グルーヴィ)のマスターのようにご修行された訳ではなく、高校時代に通われ、ママにまかないのお昼ご飯をご馳走になったり、峰厚介や鈴木勲といった往年のスター達の福岡でのライブに連れて行ってもらったり(注1)と、九州ジャズもん列伝で取り上げた久留米ジャズ・クラブ代表の江越さん同様、とてもかわいがってもらわれたそうです。

マスターに今のジャズについて話を振ってみたところ、ミュージシャンが新しいことを求める余り、客を置き去りにして難しくなり過ぎているのではないか?テクニック先行で聴いていて、「So What?」と言いたくなるとの辛口のご意見。

マイルス・デイビスの口癖を引用した冗談が言いたかっただけかもしれませんが、こんなマスターが以前から面白いとおっしゃるのは、20~40年代のジャズ黎明期。

アート・テイタムを教えていただいたぐらいで、まだまだ教えていただかなくては。。。これも熊本からでもこのお店に通わざるを得ない理由の一つですが、マスターの戦略にハマっているだけかもしれません。笑

ところで先回の記事で書きましたが、マスターご夫妻の今年の春休みに東南アジアに行って来られたられたのですが、11年程前、大宰府公演で縁を得た「カンボジア・サーカス・ファー」から展開されたお話も実に興味深かったです。

ファー・ ポンルー・セルパク(Phare Ponleu Selpak、通称PPS)というサーカスや音楽等を教える学校があり、現在生徒数は約1200名いるそうですが全員無料で、政府からの援助は一切なし。。。この費用は全て、サーカスの収益で賄われており、独立採算性が驚くほどうまくいっていたそうです。(注2)

尚、下のyoutubeにそのサーカスの一部(1分50秒~)が映っていましたので、ご参考まで。

このお話から「経済(お金儲け)と文化(芸術)のバランス」の難しさに話は転じ、「どちらかに片寄るのは簡単だが、そのバランスを必死で取り続けるのが人間」とジャズ・バー経営にも通ずるお話に。。。この穏やかながらも筋の通ったマスターの見識と意地を見たような気がしました。


その他、「(団塊の世代からの)知の断絶(注3)」や京都の面白いお店等のお話もありましたが、中でも「ジャズが自由な芸術である理由」は特に興味深く、別途「九州ジャズもんの一言」で取り上げていますので、是非そちらもご覧ください。

【駐車場:有、喫煙:可】


(注1)福岡でのライブに連れて行ってもらったお話は確かにそのとおりなのですが、その後、会場が満員だからとグランド・ピアノの下で聴かされ、夜はマスター達は「飲んで帰るから」と一人で西鉄電車で帰られたとか。。。大らかないい時代ですね。笑

(注2)カンボジアでもアンコール・ワットで有名なシェムリアップにある「カンボジア・サーカス・ファー」ですが、その入場料は一番高い席でも35ドル。でも、それはカンボジアで一人が1ヶ月程生活出来る金額なのだそうです。

ちなみに、ファー・ ポンルー・セルパクはそこから離れた地雷原で有名なバッタンバンにあるポル・ポト政権の大虐殺で孤児となってしまった子供達のために作られた学校(今では照明から美術に至るまでの総合芸術学校みたいになっているそうです)で、クメール語で「芸術の光」を意味するのだそうです。

(注3)「(団塊の世代からの)知の断絶」。。。昨今再燃している死刑議論について「この議論は70年代に散々議論したもの。そこに立脚して新しい議論かと思えば、また最初からやっている」とのご認識も含め、「団塊の世代の人達の知見が今に全く伝わっていないのではないか?」というもの。。。このお話は個人的にとても肌で感じていたものですが、この状況を一刀両断にされたこの言葉にはとても力がありました。結局は、就職氷河期というバブルの後に作ってしまった期間の副産物?もう取り返しがつかない?この伝えなかった、伝えられなかった責任はもう恐らく誰も咎めることも出来ない?いずれにせよ、これからの世代でまた新たに築き上げていくしかないと思うですが、この混沌とした闇の中を、自信もないまま手探りで歩む我々が後世にどう評価されるのかはわかりませんが、精一杯最善を尽くして進むしかないと考えています。


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汝が欲するがままをなせ

九州ジャズ・ロード巡りを中心に興味の赴くままジャズ・クラシック等について不定期に掲載。 タイトルはM・エンデ「はてしない物語」の含蓄に富んだ言葉で、サイト主の座右の銘。

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